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広報・PRを外注するときのポイント<企業がビジネス相性を見極める質問集つき> VOL.2

発表案件においても、ミスマッチが多いように感じます。企業側からも広報PR側からも不満を聞くことが多い案件です。

本来は、メディア露出が容易な案件なのか、そうでない場合はどうすれば良いのか、またメディア露出が見込める場合、それを最大限に活かせるか、といった点を冷静に考え、双方ともに進める必要があります。しかし、これらの検討過程が省かれたり、共有されていないことが主な問題のように思います。

2.製品やサービスのローンチ、契約締結の発表が予定されている

製品やサービスのローンチや契約締結の発表が予定されている場合、注目を集めたいというのは企業にとって自然なことです。ただし、そのような場合でも、独自記事を獲得するのは容易ではないことが多くあります。

企業の担当者に「なぜ注目される必要があるのか」と尋ねると、「売り上げが必要だから」「社運がかかっているから」という回答されることが多くあります。同時に、企業側がなぜその発表にメディアが注目するのか、その理由を考えていないと思うこともよくあります。

実際、メディアの対象読者・視聴者が興味を持ちそうな点があるからこそ、それがニュースになるのです。また、企業側が重要だと思っていることでも、メディアからすれば十分なニュース価値がない場合もあります。

社内での分析が不十分な場合、どのようなメッセージや、メディアをターゲットにするのが良いか考えをまとめてくれるフリーランス広報PRに出会えれば、まず一つの運を手に入れたと言えると思います。不十分のまま、会場費、カメラマン代、MC代と準備を流れ作業のようにやっていくことはできますが、広報の立場の人が理解、咀嚼をせずにメディアと話すことは誰の頭にも心にも響かないことが多いのです。

さて、前置きが長くなりました。
複数のフリーランス広報PRに声をかけて、最も納得のいく人を選ぶのが良いアプローチです。複数人から話を聞くことで、学べることもあります。

まずは「発表の概要、日程(希望を含む)、予算、その他の条件」をブリーフィングシートにまとめましょう。概要は意図的にちょっと足らないぐらいで、「XXを使った新製品を開発した。その発表をしたい」くらいにしておきましょう。

そしてブリーフィングシートを提供する際に、以下の質問を加え、見積りとともに回答を求めてみてください。

  • より多くのメディアに取り上げてもらいたいと思っています。どのようなメディアをターゲットにするか、Tier1、Tier2に分けて考えをお聞かせください。

  • より多くのメディアに取り上げてもらうために、こちら側(発注企業)にてできることがあれば教えてください。

これらの質問の意図は、本当にメディアに取り上げてもらうために発注側の力になってくれるかどうかをみる質問です。回答時のチェックポイントを解説します。

最初の質問ですがTier1を大手メディア、Tier2を中小メディアと分類する場合は、あまりにも一般的すぎるので以下の質問も追加で行うと良いでしょう。

  • 最近、このTier1メディアでどのようなパブリシティや記事掲載を獲得しましたか?本当に弊社の記事を取り上げてもらうことは可能ですか?

どのような意図でTier1、Tier2を設定したのかを理解し、実現可能かどうかを見極めることが重要です。
ほとんどの企業が、より大きな、有名なメディアに出たいと思っています。Tier1を大手メディア、Tier2を中小メディアと答えておけば、フリーランス広報PR的には無難に切り抜けられる質問だと考えます。あえて意図を説明してもらうことで、自分たちが理解できる回答をしてくるのか判別します。同時に、本当にTier1を狙えるのか、相手の力量も確認してください。

2つ目の質問ですが、企業の状況やケースを考えていないフリーランス広報PRをスクリーニングするのには有効な質問です。ポイントは、前述の通りメディアに十分な魅力を説明する努力をするかどうかです。足りない情報を指摘してこなければ、相手はこの案件を流れ作業と考えている可能性があります。概要で理解しやすいように書きすぎると、この判別は難しくなり、そのため意図的に足りない情報で提出してみるということをおすすめしています。

また、もう一つ陥りやすいポイントがあります。

そして、広報PR側から「簡単に出せるタイプの発表ではない」という説明がある場合、ネガティブ、やる気がないと判断する企業もいますが、その理由を聞き、何か解決策があるかどうかを尋ねてみてください。判断する前に、さらに情報を収集することが重要です。結局のところ、良いことを言う人に惹かれがちで、ちゃんと問題を解決し、対話をできる相手なのかを見極めるステップが組み込まれていないことが問題なのです。

メディア発表後の結果から考えると、こんなこともあり得ます。

A.「取材獲得は難しい」と言ってきたフリーランス広報PRは、それゆえ地道で簡素なプレスリリース作成と本人が直接メディアへ投げ込むという提案をしてきた、それゆえコストは80万円だった

B.「取材獲得は可能です」と言ってきたフリーランス広報PRは、取材獲得するために会場はXX、MCはプロを雇いましょう、コストは800万円です、と言ってきたのでその通り支払った。会場に来たのは20人、メディアが多く参加したことに喜んだが、後日来場者の多くが広告営業担当者と判明した

A、Bのどちらを選んでも取材獲得は1件のみ。コストが全てではありませんが、未来の結果を知っていれば、どちらのフリーランス広報PRを選びましたか?

VOL.2 所感

世の中の広報PR職への理解が、「感覚的」「人付き合いが良くて顔が広い」「文章が書ける」といったものなのか、と漠然と思うことがあります。実際に性格的な要素として人付き合いが良いことは重要ですが、問題を解決していくタイプの人がいないチームは、当然ながら問題解決が難しいのです。

単に会場やMCの準備だけというものであれば、人を選びませんが、この発表をどのようにメディアに取り上げてもらうか、ということを真剣に考える場合(そしてそれが難しい場合)、頭で考える工程が絶対的に必要なのです。

記者などと仕事をしたことがあって面識があるからと言って、他のネタでも書いてもらえるという保証があるものではありません。特に大手メディアは記者の知り合いだから、持ち込んだものは書いてくれるという忖度はないでしょう。発注側の質問力が良い人を嗅ぎ分ける重要な要素なのです。

VOL.3に続きます。VOL.1はこちらから。


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