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レスポンシブLED道路、積水ハウス、Rhino、テキストからメタバース、リモートキス、Winnyの話(コンワダさん69週目)

 こんにちは、株式会社アーキロイドのコンワダです。今週も社内で話題になった事例(コンワダさん)からいくつかをご紹介します。バックナンバーはこちら

世界初のレスポンシブLED道路

 近未来的な衝撃の映像ですね。道路に埋め込まれたLEDによって道路が様々な表示をします。法学者のローレンス・レッシグは著書『CODE』の中で、人間のふるまいを規制する4つとして、法律、規範、市場、コード(アーキテクチャ)を上げました。アーキテクチャの例として、ドアに鍵をかけたり、敷地に柵を設けるなど、"物理的な環境”によって人間の行動を規制することができます。このLED道路もその時々の事象に応じて”視覚的な環境”を作り出すことで、その環境内にいる人に対して影響を与えることができます(警告や行動の規定)。アフォーダンスですね。先に挙げた4つはどれも強い影響力をもたらす"環境"ですが、消して堅牢で不変なものでもありません。法律は立法によって書き換えられ、規範も移り行く。市場は常に動的だし、物理的な環境も解体再構築されます。プロトタイピングの頻度や社会実装するまでのハードルは様々ですが、確実にアップデートされていきます。本動画のように、アイデンティティに関係なく誰もが便益性安全性を享受できるこうした仕組みは、どんどん社会実装されていくといいですね。
 なお、この映像はCGではなく、実際にセットを組んで作られた1/1のプロトタイプだそうです。繰り返しになりますが、この事例はビジュアルとしてワクワクする世界観と、都市に生きる人類が共通に得られる便益があって非常にいい事例だと思いました。

積水ハウスが基礎工事を提供

 積水ハウスがシャーウッドシリーズで採用している「基礎ダイレクトジョイント工法」の尺モジュール版を開発し、地域ビルダー向けに工事提供するそうです。職人不足に一石を投じるだけでなく、優れた耐震性を持つ同工法を普及するなどのメリットがあります。
 ハウスメーカーが地域ビルダーに物理的に協力、それも自社が下請けという形でビジネスにかかわる例というのは非常に珍しいように思います。個人的には”基礎”というのが”ミソ”で、自動車のプラットフォームや、PCのマザーボードのような可能性を秘めていると感じます。

AIとかロボットの事例

Rhino×ChatGPT

 建築、都市計画、土木、プロダクト、幅広い分野で使われている3DモデラーであるRhino。その汎用性の高さとプラグイン開発方法の多様さで広く使われているソフトウェアです。(我々も学生時代からずっとお世話になっています)そのRhinoのコマンドラインをChatGPTと接続する事例です。Rhinoはもともと全機能がコマンドベースでも操作可能で、多くのユーザーがコマンドのUIに親しんでいることから親和性は高そうです。他にもコマンドベースの操作が可能なCADはありますので、ユーザーがすでに慣れ親しんでいるという観点から、めちゃくちゃ威力を発揮する可能性はあります。(本連載でも以前、Rhinoで動かすpythonコードをChatGPTに教えてもらう試行をしました。そのnoteはこちら。)

テキストからメタバースを生成

 テキストから〇〇生成系の話題も未だにつきませんね。今度はテキストからメタバース空間の生成だそうです。ゲームや映像のクリエイティブもますます手軽になっていきそうです。

遠距離恋愛でも「リアルなキス」ができるリモートデバイス

 スマートフォンを通じてキスの感触を共有できるリモートデバイスが中国で発表されました。すごい時代だ…。ほかの人のキスを試す機能もあるらしく、それについては賛否両論あるようです。こうした身体的に繊細な感覚に感覚にかかわるデバイスを見ると、義体化も近いか!?とすぐそっちに発想が行ってしまいます…

Winny

 昨日公開の映画。2002年に金子勇氏によって公開されたファイル共有ソフトWinny。多くの違法アップロードコンテンツがはびこったことや、ワームによる被害で企業や自治体、警察、自衛隊、裁判所などのデータが流出する社会問題になりました。記者会見で当時の安倍官房長官がWinnyを使用しないように呼び掛けるほど広く使われていました。
本作は2004年には開発者の金子氏が逮捕され、そこから最高裁で無罪判決が出るまでを映画化した作品です。まだ幼かった私は当時の報じられ方などをあまり知りません。現在はこの事件の逮捕・起訴によって日本のインターネットは10年遅れた、革新的な技術が大きな力につぶされた例だ、という風潮が強いと感じます。すでに金子氏は他界されていますが「ブロックチェーンの開発者サトシ・ナカモトは金子氏だったのではないか」という説(※)が上がるほど、ネットの世界に今も多くのファンがいる伝説の人物となっています。公開前から多くの注目を浴びている作品でしたので、私も時間を見つけて観に行こうと思います。
※前後関係や年齢的に今はその可能性は低いとされているらしいが、支持者の多い言説である。

まとめ

 今週も最後まで読んでくださりありがとうございました。週刊連載の励みになりますので、ぜひ「スキ♡」をお願いします。

 最後に面白い映像を見つけたのでシェアしておきます。大学の授業で教授が「プログラムは書いたとおりにしか動きません」と何度も言っていたのを思い出しました。そしてプログラムに限らず「仕様を決める」ことの重要さ、とりわけ想像力を働かせて明確に指示することの重要さがわかります。あとはこの姉弟が、今後の人生で常に細かすぎる指示を出して厄介がられない応用力、をも身につけて育っていったら最高ですね(私もそう育ちたい、アラサー)。一方で「ピーナツバターサンドを作って」の指示だけで、子供でも誰もがイメージしているピーナツバターサンドを作れるんですから、人間の学習能力は素晴らしいですね。(ChatGPTも肉体を持ったら同じことができそうですが)


「今週、社内で話題になった事例」 について
株式会社アーキロイドの社内で話題になった事例(ニュース、リリース、書籍、動画、論文などなど)のうち、いくつかをご紹介します。元記事の配信時期は必ずしも今週とは限りません。数ヶ月前、数年前のものもあるかもしれません。

社外にこれを発信することで、
①アーキロイドメンバーが日々どのようなことに目を向けているのか、を知ってもらいたい。
②せっかく読んでもらえるなら有益な情報をお届けするために、自分たちの情報感度をもっと高めていきたい。
という目論見があります。

メンバーも大半が30代に差し掛かってきたので、備忘録という意味合いが一番強いかも。ご笑覧ください。

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