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地域の挑戦者インタビュー Vo.9 株式会社賀陽技研 代表取締役 平松稔さん

今回お話を伺ったのは、株式会社賀陽技研の代表取締役である平松稔さん。賀陽技研の設立後、会社の広報に取り組む上で実践型インターンシップを2度活用されています。また、インターン生の作った「賀陽技研ニュース」という広報の仕組みは今でも継続されています。
  インターンシップの受け入れ経緯や、活用メリット、今後の目標までお話していただきました。

平松稔さん  1971年岡山県高梁市生まれ。1991年、賀陽技研の前身である平松精工有限会社に入社。同社の賀陽工場の工場長を経て、2012年分社化し、賀陽工場を㈱賀陽技研として設立し、現職。

社員は0→1の仕組みを作る時間が取れない


〇賀陽技研設立までの経緯をお聞かせください。

元々は、父親がやっている賀陽工場の責任者で、自動車の部品関係を担当していました。私は、自動車部品の注文数が増えると予想していたため、会社の規模を大きくして生産体制を整えたいと思っていました。しかし、父親は会社の規模を大きくすることを考えていませんでした。そこで、私が担当していた工場を分社化して賀陽技研を設立しました。
 設立当時は、金属プレス加工・プレス金型製作・自動機製作の3本柱で操業しようと思っていました。しかし、利益構造を考慮し、当面は金属プレス加工を主力でやっていくことを決心しました。

〇インターンシップの受け入れ経緯をお聞かせください。

当時、会社を立ち上げて5、6年目でした。会社名を売っていく必要があり、そのためには広報が必要だと考え、「広報」の具体化にインターン生と一緒に取り組みました。当社は、お客様から図面を貰って図面の通りに作るという仕事内容であったため、自社をアピールできる製品がありません。また、会社のパンフレットはありましたが、パンフレットは一度営業で渡したらそれっきりであるため、何か別の案を考える必要がありました。そこで、毎月新しい情報を持っていけるように、「賀陽技研ニュース」の発行を決めました。自社の社員は本業があってなかなかニュースの制作に時間をかけられず、インターン生が活躍してくれました。

〇インターンシップの活用法もお聞かせください。

インターンの仕組みは今までに2回活用しました。
 一回目は、広報・プロモーションの活動です。先程申し上げたように「賀陽技研ニュース」の制作など、インターネットを用いた広報の仕組みづくりに挑戦してもらいました。
 二回目は、コロナが流行っていた時期であったためオンラインで行いました。地元の高校生へ自社の魅力を発信するために、社員インタビューを行い、採用webとパンフレットを作るという内容でした。

インターン生の作った仕組みは継続する


〇インターン生受け入れのメリットをお聞かせください。

0から1を生み出すことに、たっぷりと時間をかけられることです。社員は本業を疎かにできないため、なかなか時間をかけられません。
 また、インターン生が作ってくれた仕組み作りは継続するというメリットもあります。賀陽技研ニュースは現在、社員が引き継いで発行しています。自分たちで作った仕組みであれば止めやすいですが、「当時のインターン生が作ってくれた」という想いがあり、忙しくても辞めずに発行できています。
 更に、社員インタビューをした際、社員同士でインタビューするよりも大学生がインタビューする方が、真剣に改まって答えるという場面もありました。

作成した社内報を手にしているインターン生と平松社長

〇インターン受け入れに当たって大変だったこともお聞かせください。

対面の時は、交通の便をサポートすることが大変でした。バス停から会社まで2kmかつ、バスの本数も少ないため、インターン生を会社に送り迎えしていました。
 オンラインの時は、インターン生のモチベーションを維持することが大変でした。実際、約束の時間に遅れてしまったり、期日までにお願いしていたものを終わらせられなかったりということがありました。対面であれば、表情で心情を読み取れたり、心が折れそうなときに声をかけてあげたりということも可能でしたが、オンラインだとサポートするのが難しかったです。

オンラインインターンではインターン生の時間管理能力を重要視


〇インターン生にはどのような能力を求めていらっしゃいますか。

一つ目は、「0から1を作り上げよう」、「アイデアを形にしよう」という積極性です。二つ目は、時間管理能力です。特にオンラインの場合重要です。三つ目は、最後までやりきる力です。

〇最後に今後の目標をお聞かせください。

本業については、自動車関連の金属プレス加工は薄利多売であるため、安定した収入を得るために多くの自動車メーカーとの関わりを増やしていきたいです。また、現在の大量生産のベースを維持しながら、プレス板金の試作や板金加工など利益を残せる事業や、利益効率の観点から諦めてしまったプレス金型の販売も再度挑戦していきたいです。

 また、新卒採用にも力を入れていきます。自社では、2014年から新卒採用を毎年行っています。中途採用の人は、前の会社をスタンダードだと思ってしまい、馴染めず離職してしまう人もいます。新卒採用の人は、何もわからない状態で来るので、入社時から自社のやり方で仕事をできます。新卒の退職率が低いのはこれが要因であると考えています。

 インターンの活用については、「小・中学生の職場体験を企画する」という内容をやったら面白いのではないかと考えています。この地域には中学校が一つしかなく、高校は一つもありません。いったん高校に出ると、この地域に戻ってこないことが多いです。そのため、自社に就職してもらうとしたら、小・中学校を対象に職場体験してもらう必要があると考えています。社員で企画を練るのは大変なので、インターン生にお願いすることもいいのではないかと思っています。

今後の目標について語る平松社長(左)とインタビュワー髙木(右)

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