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映画『ファーストラヴ』かき消された思いに、耳を傾けること。

今年、2021年のanan SEX特集の中で
性的同意・性交同意年齢について取り上げられていて、
そこでこの作品のドラマ版が紹介されていた。

妙に引き付けられてから約1ヶ月半
映画版がAmazonプライムビデオにて配信されていることを知り、
まずは映画から観てみようと思い
YouTubeで予告を視聴したのち
昨夜初見。

裕福な家庭に育ち、アナウンサー志望だった女子大生 聖山環菜(芳根京子)が父親(板尾創路)を刺殺した。

「動機はそちらで見つけてください」
そう彼女は言い放つ。

一見順風満帆な人生を歩んでいた女子大生がなぜ父親を手にかけたのか...

彼女の動機を探る為に公認心理士 真壁由紀(北川景子)を始め カメラマンの夫 我聞(窪塚洋介)の 弟で弁護士 庵野迦葉(中村倫也)が真相に迫っていくのだが、
そんな中 環菜 と共に 由紀自身も耐え難い過去に真正面から向き合うこととなる___




一言、辛かった。

環菜の閉塞感でいっぱいな少女時代が
あまりにも気の毒で胸が苦しくなった。

悪気はなかったとはいえ
子どもの頃から男性に望まない形で距離を詰められる環境に身を置くしかなかった苦痛さ、
長時間一斉に見つめられ続ける怖さ、
それらが嫌でたまらず気持ちを訴えるも本来一番の味方でいてほしい親に拒絶された悲しみ、声が届かない虚しさ...

そしてやっと居場所ができたかと思えば
欲をぶつけられて、
嫌われてまた拒絶されたくないから
見せかけの同意をしてしまった過去。

誰も彼女の本当の気持ちに気づかず、
気づいているのに目をそらした結果
環菜の心は蝕まれていった。

目一杯抱きしめたい気持ちにさせられた。


一方公認心理士 由紀、弁護士 迦葉、カメラマンの夫 我聞の過去・関係性も見ごたえがあった。

本音を話すこと、静かに耳を傾け包み込むこと、
この二人にとって我聞の存在はとても大きく、安らぎだったんだなと思った。

見習いたい。

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役者陣、登場人物について。

誰一人この作品の世界を乱すような人がおらず、
どっぷりと没入することができた。


〈北川景子さん〉
自らもトラウマを抱えながらも
懸命に環菜や自分自身と向き合う様子が印象的だった。
苦しむ姿がとてもリアルだった。

〈芳根京子さん〉
激しく揺れ動く環菜の心情を見事に体現されていた。
最初と最後ではぜんぜん違う、
蝕まれた心が徐々に徐々に治癒していく過程が表情に表れていた。

〈中村倫也さん〉
ほの暗く苦味のある過去が尾を引く、影のあるキャラクターがマッチしていた。
複雑な思いがにじみ出ていた。

〈窪塚洋介さん〉
包容力が凄かった。
由紀に寄り添う姿がやさしさの塊。

〈木村佳乃さん〉
負い目があるゆえに実の娘の気持ちは二の次で、夫を最優先に考え、自分の保身ばかりな母親がハマっていた。
己の弱さを誤魔化す為に 異常に人に厳しいタイプの人間そのもの。

〈板尾創路さん〉
キャスティングが絶妙だと思った。
勝手な先入観が覆された。

〈高岡早紀さん〉
たった数分の登場のインパクト。

〈石田法嗣さん〉
キーとなる人物。
この作品で初めて知った役者さん、
知らなかった分 先入観がなかったので
読めなかったのがかえって印象に残る形となった。


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思いがけず心の古傷が痛む瞬間もあったけれど、
不思議と癒しも感じた。

久々に映画で涙したし、
感想を綴らずにはいられない作品に出会えた。
Uruさんの歌も沁みた。

ドラマ版や原作もチェックしたいなと思う。


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