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主観的クローズドサークルの緊張感:映画「ある閉ざされた雪の山荘で」の魅力

公務員クエスト失敗おじさんの「ありのこ」です。

映画「ある閉ざされた雪の山荘で」を観ました。

この映画はまだまだ人気があるようなので今回note記事にします。

今回は映画「ある閉ざされた雪の山荘で」のネタバレなし
よって細かいストーリーには触れません。

メインの話は「演出家の独裁的なキャスティング」についてです。


映画「ある閉ざされた雪の山荘で」のストーリー まったく閉ざされてないし雪も降ってない一軒家で

人気作家・東野圭吾が1992年に発表した同名ベストセラー小説を、「禁じられた遊び」の重岡大毅主演で映画化したサスペンスミステリー。

劇団に所属する7人の役者のもとに、新作舞台の主演の座を争う最終オーディションへの招待状が届く。
オーディションは4日間の合宿で行われ、参加者たちは「大雪で閉ざされた山荘」という架空のシチュエーションで起こる連続殺人事件のシナリオを演じることに。
しかし出口のない密室で1人また1人と参加者が消えていき、彼らは互いに疑心暗鬼に陥っていく。

eiga.comの1月22日の記事より引用

原作は東野圭吾さんのミステリー小説。

講談社ノベルズからの出版は1992年。
だいぶ古い作品。

私は原作はまだ読んでいません。
映画を観た後、本屋さんで本を購入しました。

これから原作を読んでいきたいと思います。
1992年と2024年では変わっているところもあるでしょう。
楽しみです。

映画「ある閉ざされた雪の山荘で」。
タイトルは「閉ざされた」「雪の」となっています。

しかし実際は「閉ざされてませんし、雪も降ってません」

新作舞台の主演の座を争う最終オーディションが「大雪で閉ざされた山荘」で起こる連続殺人という架空のシチュエーション

実際には田舎の一軒家に7人が集まっているだけなので、出ていこうと思えば出ていけます

しかし途中で出ていけばオーディション失格になるので出ていくのを非常にためらう状況です。

ミステリーの王道に「クローズドサークル」があります。
「嵐の孤島」などに閉じ込められた、そして事件が起こっていく
例のおきまりのパターン。

「吹雪の山荘」も例のおきまりのパターン。
しかし映画「ある閉ざされた雪の山荘で」では客観的には閉じ込められてません

大雪は降っていない。
だから集められた7人はその家から出ることができます、客観的には。

しかし7人は出ていくことを躊躇ちゅうちょします。

なぜか?

劇団「水許」の演出家の東郷陣平の指示だからです。
東郷陣平は「途中で出ていったらオーディションは失格」と言っています。

若き役者7人は大切なチャンスを失いたくない
だからこの田舎にある家から出ていけない
主観の問題です。

客観的には閉ざされてないが、主観的には閉ざされている

こんなパターンの「クローズドサークル」を東野圭吾先生は1992年に考えていたんですね。
すごいです。

演出家・東郷陣平の独裁が生み出したクローズドサークル

客観的には閉ざされてないが、主観的には閉ざされている
こんな特殊なクローズドサークルができたのは「劇団における独裁」があったからです。

舞台のキャスティングは脚本家の東郷陣平が決めてたようです。
オーディションをして決定していた。

オーディションは「その役にふさわしい人を適切に選出をしている」ことを前提にしています。

純粋に「能力が適切に評価されている」べきなのがオーディションです。

しかしほんとうに純粋に「能力が適切に評価されていた」のか?

映画「ある閉ざされた雪の山荘で」におけるストーリーとは(あまり)関係ありませんが「過去のオーディションが適切だったのか?」という話が出てきます。

たとえば、集められた7人の中には女性もいます。
そして東郷陣平は男性です。
だとすると・・・もしかして・・・・

実際にどうだったのかは分かりません。

しかし集まった7人のうち1人は「親が金持ちで劇団に資金的援助している」状況です。

親が金持ちである若い役者は「自分の実力で役を取った」と思っていません。

私は劇団の事情はまったく知りません。
しかしこの手の話はなんとなくでも理解できます。

なぜなら「この手の話は世の中にあふれている」からです。

人への評価はゆがめられているのが普通

世の中では「人への評価」は純粋ではないのが普通です。

特に仕事では純粋ではありません。

受験だと1点・2点まで正確に評価してくれます。
大学受験だと1問の出題ミス、1点の採点ミスで大騒ぎになります。

しかし仕事の世界では「純粋に成果で評価される」ことはマレです。

せいぜい「飛び込みの営業職」くらいではないでしょうか。
飛び込みの営業職なら純粋な数字だけの評価ということもありえます。

私は2023年まで国家公務員をしていました。
国家公務員には「人事評価制度」があります。

決まったフォーマットに目標を書いて、期間が終ったら結果を書いていきます。
それを上司が評価します。

「人事評価が純粋に能力や成果を評価している」と思っている国家公務員は誰もいないでしょう。

だいたいの仕事が「人への評価がゆがめられている」のが現実です。

「昔からの慣習」「人間関係」「さまざまな忖度」などなど・・・これらによって人への評価はゆがめられます。

このゆがみに付け込もうとすると脚本家の東郷陣平に「あれや」「これや」をする若手の役者も出てくるだろう。

こういうことなんですね。

映画「ある閉ざされた雪の山荘で」はおもしろかったか?

映画「ある閉ざされた雪の山荘で」はおもしろかったと思います。

ミステリー好きには良いと思います。
しかし「ミステリー好き」と言っても色々な人がいると思います。

「2時間サスペンス」や「名探偵コナン」が好きな人だとちょっと「はずれ」に感じるかもしれません。

そもそも「単純なクローズドサークル」のミステリーではないからです。

「綾辻行人原作・十角館の殺人の実写化に驚き、歓喜する」タイプの人だと映画「ある閉ざされた雪の山荘で」はおもしろいと思います。



「十角館の殺人」をどのように映像化するのでしょうか?
作り手は大変だと思います。

映画「ある閉ざされた雪の山荘で」も作り手は大変だったと思いますが、出演者も大変だったと思います。

劇団所属の役者を演じるのは難しかったと思います。

全員良かったと思います。

たとえば久我和幸を演じているのは重岡大毅しげおかだいきさん。
「舞台役者だけど1人だけ劇団・水許に所属していない」という難しい役でしたが、上手だったと思います。

私は「芸能に詳しくないおじさん」なのですが重岡大毅しげおかだいきさんは旧ジャニーズ事務所(スマイルアップ)所属なのだそうです。

おじさんになると旧ジャニーズ事務所も「嵐」が知っている限界になってしまいます(苦笑

これから原作「ある閉ざされた雪の山荘で」を読む!

映画館からの帰り道にさっそく東野圭吾「ある閉ざされた雪の山荘で」を買いました!

これから読みます!
楽しみです!

読み終わったら原作・映画の比較記事を書くかもしれません。
ネタバレありバージョンの記事を書くかもしれません。

<以下は2024年2月1日に追記>

原作・映画の比較記事を書きました。

<以上が2024年2月1日に追記した部分>

note記事は以上です。

お読みいただきありがとうございました。

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