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出会って、別れる。出会って、別れる。そしてわたしたちは。

もはやご存知だと思うが、この2年間、映画を作ってきた。『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』という長編ドキュメンタリー映画である。

映画の一場面から


自分でもどうしてこんなに一生懸命になれるのかわからないまま、とにかく「映画」というゴールに向かって突っ走り続けてきた。

振り返れば2019年の冬、友人の紹介で白鳥建二さんという人物と出会った。
全盲の人で、美術を見るのが好きな人だった。それが自分の人生でどういう意味合いを持つかも知らないまま、拙い言葉とともに美術館をめぐった。
さまざまな複雑な感情をもたらす出会いだった。
戸惑いと違和感と喜びと。

あれから、本を書き、映画を作った。
誰かのためとか、社会のためとか、そういう理由ではない。ただ、自分の中にある狭い部屋を叩き壊して、もっと自由に、しなやかな自分に近づくためだったように思う。

アートを前にたくさんの言葉が生まれた。多くのことを考え続けた。アートや文化の可能性と力。障害とは何か。出会いがもたらすもの。自分の中の偏見。そして、きっとこの世の誰かがこの物語を必要とするのではないかという予感に突き動かされて、あれから本と映画を作るという旅を続けてきた。

この映画は、誰かと話すことで世界の輪郭を探る面白さ、誰かと人生の瞬間を共にすることの尊さ、アートの会話の可能性を思い出させてくれるのではないかと思う。

私たちは、他の誰とも違う孤独な存在だ。
誰かといても、実はひとりきりで日常を重ねている。そして、誰かと出会い、しばしジャズ・セッションのように音楽を奏でる。和音が響けば友人となり、不協和音が鳴れば別れていく。出会って、別れる。出会って、別れる。そしてひとはまたひとりに戻る。わかりあえない少しの寂しさを抱えながら、それでも誰かをわかろうと願う。そんなとても普通の人生が私は好きだ。誰とも違う自分、一人ひとりの生き方、愛するもの、その存在をその人のままに肯定したいと思う。

孤独といえば、本にせよ、映画をせよ、物を作る作業はどこか孤独な作業だ。答えはないから、ひとつひとつ自分で決めて、その後はそれでよかったと信じることしかできない。この映画の場合は、共同監督で映像作家の三好大輔と一緒に作ってきて、私たちはとりあえず自分たちが作ったものを信じることにした。

長く静かに走り続けていると、時に息がきれそうになる。
そろそろ誰かに応援してもらえたらとてもいいなあと強く思ったりする。旅路の沿道から声をかけてもらえたら嬉しいし、しばし隣で走ってくれたらさらにいい。

さて、いまクラウドファンディングに挑戦している。

どういう経緯でこの映画を作り、どういう経緯で自主配給の道を選び、どういう経緯でクラウドファンディングを始めることになったのか。全てをこのクラファンページに書き尽くした。
これがとても長い文章になってしまった。

よかったら最後まで読んでもらえるととても嬉しい。
そして、もしよければ私たちの映画という長い旅路に同行してもらえたら。


いまクラウドファンディングのスタートから1週間が経ち、77人の方に計1,351,988円のご支援をいただいた。あとわずか1%で60%に達しようとしている。この1週間、毎日がジェットコースターのようだ。

自主配給で色々不安も多いので、応援が心強い。とはいえ、自分たちでなんでも決めていくのは冒険のようで面白くもある。おかげさまで
なんとか映画が世に届けられるのかも、という希望が見えてきた。

というわけで、引き続き応援お願いします!

川内有緒

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