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モノクロ写真は世界を異化する

普段あまりモノクロでの撮影はしないのですが、FUJIFILM X-T5(カメラ)とPlanar 45mm f2(レンズ)の組み合わせがあまりに気に入りすぎて、モノクロでも撮ってみたところ、衝撃を得ました。

住宅街の木を何気なく移したのですが、この写真が出てきたとき、細い葉がまるで人間の髪の毛のように見えて、すごく心がザワザワしました。
肉眼で見るのとはまるで違う印象となることは、写真表現ではよくあることだけど(だから写真は面白い)、サッと撮って、ゾクッとくるこの感じは、モノクロの効果が大きい。

これまでモノクロ撮影をしなかったのは、カラーだと「そーでもない」写真が、モノクロにすると「なんかかっこいい」みたいなことになりがちで、まだまだ写真力を鍛える楽しみを味わおうとしている私は、安易にモノクロの「かっこいい効果」に走らないほうがいいなと、無意識的に避けてきたのかもしれない。

でも、上の写真が撮れたときは、もっと積極的にやってみよう!と思った。

ただし、FUJIFILMのカメラみたいに、色味のいいデジタルカメラを持っていると、なかなか「モノクロしばり」に自分を追い込むのって難しかったりもする。

取り壊し寸前の古いアパート

「別に、RAW現像で色の有無はあとで選べばいいじゃん」っていう話ではないんだ、これが。
やはり撮影するときのマインドというか、「今はモノクロでしか撮りません、撮れません」という目で被写体を捉えようとすると、どこか肉眼でも日常が異化されていく。

モノクロで不思議な威圧感が出た

「異化」なんてかっこいい言葉を使ったけれど、ドイツの劇作家ブレヒトが提唱した「異化効果」を、実に身近に感じられるのがモノクロ撮影だ。

スナップ写真の楽しさそのものも、異化効果に由来するところは大きいと思うのだけど、モノクロのもたらすエッジィなそれは絶大。

ライカのデジタルカメラが、わざわざモノクロに特化したモデルを製造し、それに何十万円も払って所有する人の「覚悟」みたいなことも、理解できるってもんだ(私は買わないけど・笑)。

今度は人物もモノクロで撮ってみたいな。親しいだれかの、別の顔を捉えることができるかもしれない。

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