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転職後1年で見えてきた、プロダクトマネジメントの全体像とヘルスケア領域における課題

こんにちは。aritakuです。

今の会社に移って、プロダクトマネージャーとして働き始めもうすぐ1年が経とうとしていますが、ようやくプロダクトマネジメントの全体像が見え始めてきたので、整理をしようと思います。

また合わせて、通常のサービスのプロダクトマネジメントと比較して特にヘルスケア領域のプロダクト開発ではどの要素がボトルネックになりやすいのかも自分の中の整理も兼ねてまとめたいと思います。

プロダクトマネジメントのコア要素

まずはプロダクトマネジメントの全体像から整理を始めたいと思います。

どんなプロジェクトでも必要になるであろうプロダクトマネジメントのコア要素は以下のように整理をしています。

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Why: なぜやるのか?, What: 何をやるべきか, How: どのように実現するのかという観点で、3階層で表現しています。

Why
・顧客課題の発見

What
・サービス企画
・マーケットリサーチ
・プロトタイピング
・MVP/仮設検証

How
・プロジェクト管理
・要件定義/仕様作成
・ロードマップ策定
・マーケティング戦略
・PL管理
・プロダクトビジョン
・グロース施策

もしかするとプロダクトマネージャーだけでなく、事業責任者やマーケター、経営層も含めて一緒に取り組む領域もあるかもしれませんが、サービスの立ち上げから成長させていくまで全ての過程を考え上記の要素を列挙させてもらいました。

プロダクトマネジメントの全体像

次に、関連要素やスキル的な部分も含めた考えうる全要素を整理します。

ここは会社/組織によってカバーするべき領域が全く異なってくると思うので、重要な要素であっても+αという形で整理を行いました。

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+αの要素として以下のものを列挙しています。
・チームマネジメント
・ドキュメンテーション
・アジャイル管理
・組織間調整/交渉
・技術理解
・戦略提示/伝播
・心構え
・データ分析
・契約管理
・アライアンス
・コミュニティ形成
・PR
・事業管理/事業計画
・UI/UX
・採用/リソース確保
・ファシリテーション
・法律理解

ヘルスケア領域ではどこがボトルネックになりやすいのか?

次に、上記で整理したプロダクトマネジメントの各要素の中でも、ヘルスケア領域に限定するといくつか領域特有の難しさが考えられます。

それらをコア要素、全体要素でそれぞれ整理をすると以下のようになるのではと考えています。

コア要素のボトルネック

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1. 課題の発見
・変えられるものと変えられないものの区別をつけられるか。業界構造は簡単には変わらないことが多い。
・果たしてそれは本当に顧客課題か、臨床課題と混同していないか

2. サービス企画
・デジタルプロダクトが本当にターゲットにマッチしているのか
・法律面の制約などの条件を踏まえた上で、本当に実現可能か?
・ユーザーに対する提供価値は、本当に課題解決につながっているか?
ex: 食事管理をすれば本当に疾患改善や体調コントロールにつながるの?

3. マーケットリサーチ
・本当にそのマーケット選定で大丈夫なのか?本当に利益上がる?toCやデータ販売ってそんなに簡単ではないよ?

4. 要件定義/仕様策定
・ステークホルダーの多く要件がまとまりにくい。あれもこれもになりがち。
・医療情報に対する知識ないと使用詳細の定義に時間がかかる事がある。

5. グロース/KPI
・toB, BtoBtoCなど、ビジネス形態とサービス提供形態が複雑になることもあるので、KPI設計の腕の差が現れやすい。
・エンドユーザーのLTVがサービスモデル上KPIツリーの中に入ってこない事も考えられる。
・KPIに患者の医療行動などが含まれる場合は測定と評価の難易度が特に上がりやすい。

+αの要素のボトルネック

6. 心構え
・医療は公共的な側面があり、ある程度の責任と覚悟は問われる。
・倫理観/死生観/最低限の医療・化学リテラシー。これらがしっかりしていないと、炎上プロダクトに仕上がってしまう。
ex: WELQ, コロナ簡易検査キット, 水素水など

7. チーム/組織マネジメント
・IT業界でのプロダクト開発だけではないメンバーが入ってくるため、そこに対してどう向き合うか。どんな文化を作るのか。

8. 組織間調整/交渉
・業界からある程度の同意を得られるか。業界に風穴を開けると意気込んで、突拍子もないことをやれば良いという領域ではない。既存構造との共存が必要。

9. 技術理解
・主にセキュリティ面と、医療情報システム周りの理解。物によっては専門知識も必要(バイオ、医薬品、医療機器)

10. データ分析
・匿名加工、医療統計、個人情報保護、エビデンス化など。
・WebメディアのようにGoogle Analyticsの測定だけでデータ分析がうまくいくことはほとんどない。

ボトルネックとなりやすい要素にどう向き合うのか?

以上、列挙させてもらった10の要素についてどう向き合えば良いのでしょうか?

理想は全ての領域を自分自身である程度はカバーできる経験と知識を身に付けるべきだと考えています。

しかしそうは言ってもハードルが高い領域も大きいと思うので、他の領域以上に、プロダクトに合わせた適切なチームを作れるかどうかがプロダクトを成功に導けるかどうか大きな要素を占めるのではと思っています。

ヘルスケアのサービス作りは新規参入者が一朝一夜で取り組めるものではなく、ある程度経験と知識を踏まえたメンバーを集めたチームがあって初めて成果を出せる領域なのではないかなと常々思います。

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