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今日は昨日に続き、認知症と香りについてです。
昨日は認知症について、その種類と特徴などについてお伝えしました。

身近な人が認知症になると、ご本人だけでなく、周囲の人にも負担が増えます。

今回このテーマで書こうと思ったのは、仕事と介護の両立で疲弊している方のお役に立ちたいという想いと、接客業の方はわりと認知症の方に接する機会が多く、現場で苦労されていることもあると知ったからです。

今は新型コロナの流行で、接客業の方は特に他人と接する頻度が高い為、家の中にウイルスを持ち込まないよう気を張られたり、逆にそれ以外のお仕事は、リモートで一日中家から出られないからこそ、ケアしている方がいたとしても身近で様子を見て落ち込んでしまうことも考えられます。

認知症は薬の開発も進んでいるとはいいづらく、ご本人もご家族も長い闘いになります。

今日お伝えする内容は、「〇〇の精油で記憶力がアップしたよ!」「認知症の予防には〇〇の精油!」といったことではありません。

今まで出されている文献や他スクールの生徒様の経験談から、参考にしていただけたら、と感じたものをご紹介します。

また、もしご家族の認知症にアロマテラピーを取り入れたいと考えている方は、是非最後までご覧ください。


認知症とアロマテラピーに関する文献情報

2019年、日本看護会研究学会雑誌にて、「我が国における認知症高齢者に対するアロマテラピーを用いた看護実践に関する文献検討」について報告されました。

2008年~2018年の文献について、11の文献を対象として分析され、

認知症高齢者のアロマセラピーを用いた看護実践に関する研究では,BPSD や不安・ストレスの軽減が図れる可能性が示唆されており,アロマテラピーを用いた看護実践によって認知症高齢者の QOL を高めることができると考える。

日本看護研究学会雑誌 Vol. 42 No. 3 2019

と締めくくられています。

*BPSD:「認知症の行動・心理症状」「認知症の周辺症状」興奮したり落ち着かなく歩き回ったりといった不穏症状
*QOL:「生活の質」「人生の質」生活や人生が豊かであるということの指標となる概念

この分析では問題点についてもしっかりと指摘されていて、 事例数・対象者の少なさや対象者が限定されている事、マッサージや他のケアとの関連が厳格になされていない事、対象者の疾患や服薬状況など個別性を考慮した検証が十分でない点が挙げられています。

また、課題点としてエビデンスが高い研究方法と、個別性を考慮した介入方法の検討を行う必要性も示唆されています。

分析された文献内での介入方法では「マッサージ」が一番多く、「芳香浴」「塗布」「足浴」もありました。
使用された精油は、近年認知症予防に良いとされ、テレビで一躍名の知れた「ローズマリー」かと思いきや、「ラベンダー」が最も多く、11件中8 件で使用。「スィートオレンジ」「ローズマリー」等も使用されています。


元文献もいくつか拝読しましたが、個人的にとても気になった点をお伝えすると、

・朝/夕各2時間ほどディフューズしたという記載有
・「副作用がないことがわかり、安全性も確認できた」の記載有

上記2点が気になりました。

日本では長時間ディフューズされることが多いが、血中にまで入り込んでいく精油を2時間も拡散する必要があったのかどうか。

50名以下の対象者で副作用がない・安全性が確認できたという記載は、知識の無い人たちが都合よく誤った情報を広げることにならないか。


以前他校の生徒さんの経験がシェアされたのですが、『高齢者施設に入っているお母様の為に、精油とディフューザーをお持ちになったお嬢さんが、顔のすぐ目の前で香りをディフューズし、お母様が咳こんでとても苦しそうにしていた』というお話がありました。

顔も赤くなり、皮膚が荒れてしまったとも聞いています。

テレビなどで取り上げられると、日本では雑貨として扱われている精油は誰にでも購入することができ、使い方を知らないと大変危険です。

良かれと思って自己流(じゃない場合もありますが)でやったことで、大切な人を傷つけることにもなりかねません。

下記のように課題を挙げている文献もあります。

さらなる効果の検証と安全性を確立するためには、大規模な調査が必要となる。アロマの適正な使用量や濃度については十分なデータが得られたわけではない為、今後も効果検証を重ねていく必要がある。

認知症対応型通所介護施設におけるアロマの効果と課題
立 花 直 樹


薬と同じく、適正な使用量・濃度については研究が進むとありがたい点でもあり、アロマテラピーの可能性やメリットだけでなく、アロマテラピーを取り入れる為の知識の啓蒙も急がれます。


多くの認知症患者では、記憶より先に嗅覚が衰え、興味深いことに、逆に嗅覚を刺激し続けることで脳の海馬領域の体積拡大や、神経細胞が新たに生まれる神経新生現象の活性化が報告され、嗅覚刺激が認知機能を改善する可能性があることが知られている。

これまで認知症患者の認知機能を、厳密な医科学的検証によってアロマテラピーが改善させたという報告はわれわれの知る限り諸外国でも認められていない。

アロマセラピーは、健常高齢者の認知機能改善に効果があるか?-ランダム化比較試験による検証-RIETI Discussion Paper Series 21-J-003

上記の検証では、可能性を示唆しながらも、やはり最後はさらなる検証が必要である点を指摘しています。


だいぶ前から「認知症にはアロマテラピー」という認識が広がっていますが、実際はまだまだ検証途中のテーマであると言えます。


その一方で、「タッチング」の効果か「アロマ」の効果か判断することは難しいのですが、『高齢者施設にいるお母様のため、アロマトリートメントのやり方を習い、週末通っていた女性が、「トリートメントをしている間だけ母が自分のことを思い出してくれる」と言っていた』という事例も聞いています。

検証はまだまだ必要ですが、希望も持てると感じたケースでした。


認知症の家族をケアしている人・お客様として対応している人

昨日からの記事をお読みいただいている方は、ご家族に認知症の方がいる人や、不安を抱えている人、家族ではないけど認知症の方と接する機会のある人ではないでしょうか?

繰り返しになりますが、認知症の方と接する場合、その種類と程度に差があれど、「興奮したり落ち着かなく歩き回ったりといった不穏症状」に悩まされることが多いく、日々神経をすり減らしていることが想像できます。

ご家族でも疲弊するのですから、もしお客様として接する場合、「ずっと怒鳴られ続ける」「どんどん相手がヒートアップしていく」など、一方的に攻撃的な態度を取られた時のストレスは半端なものではありません。


認知症とアロマテラピーについてはこれからも研究はされていくと思いますが、私がアロマテラピーをお勧めしたいのは、ケアしている側の方です。

アロマテラピーの得意分野はメンタルケア。

こちらは認知症との研究よりもずっと検証人数やパターンも多く、自律神経の働きを見る機械を使用した検証などもあり、「自律神経のバランスを正常化させる」ことが期待できます。

夜間は副交感神経が優位になることでしっかりと睡眠を取り、体を回復させることができますが、自律神経のバランスが崩れると、興奮状態が収まらずに不眠になったり、不眠になることで疲れがとれず、頭も体も働かない・・と負のループにハマることになります。

精油の芳香成分の中には、誘眠作用が期待できるものや、リラックス効果が期待できる成分が組み合わさったものが多くあります。

香りは快・不快といった本能を司る大脳辺縁系にダイレクトに伝わります。

アロマテラピーで上手にストレスケアをし、疲れを引きずらない生活を送っていただきたいと願っております。


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