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カサンドラを悩ませる「ASDの外モード」って、何?

夫は「外モード」で私に近づいてきた

私と夫は職場で知り合いました。

『真面目な人だな。無口な人だな。私語がない。冗談も言わない。
 仕事熱心だな。全然笑わないな。あ、時々笑うな。優しい人だな。』
なんていう第一印象。

寡黙で真面目で淡々と仕事のみをこなす人。
たまに天然的に面白いことを言うことがあるけど、
仕事に関してはミスなしパーフェクト。
さすがベテランさんだな、なんて思っていました。

これは、「外モード」でした。

みんなに優しい。私に対しても優しい。
ん?なんだか私に対してだけ特別優しい・・???
え・・!?真面目で優秀なあなたが、私なんかに気があるのですか???


家では「内モード」になった

結婚をしました。

あれれ、なんだか様子がおかしい時がある。
あの真面目で優しい彼が、優しくない時がある。
そして、真面目な彼が、親父ギャグのようなものを連発してくる。
え・・?私にだけ素の自分を見せてくれてるってことで良いのかな・・?

会社の愚痴もこぼすようになった。
結構ネガティブな発言もするんですね。
あれ、結構、言葉遣いも荒いのですね。
え、いくらなんでも、今までと変わりすぎでは!??

そうです、これが彼の「内モード」なのでした。


いったい何が起きたのか

説明しますね。

彼は、家の外では「社会に適応していた」のです。

「え?それってASDに限らずみんなやるよね?」

と思った方もいるかもしれませんが、
あのね、ASDさんの「外モード」は、
そうでない人の「外ヅラ」とか「いいこぶってる」とは全く別物なのです。

何が違うのかと言うと、ASDさんは、
「外モードをしないと生きていけないから外モードをしている」なのです。

私がやってる「先輩に気に入られるためにいい子ぶってる」とか
「友達とうまくやるために話を合わせてる」といった浅いものではなくて、
「生きるためにやっている」のです。


「外モード」をしなければどうなるのか

「外モード」の仕組みを私はこう分析しました。

彼は、親や先生に叱られて育った。「普通にしなさい!」
彼は周りから正解とされる行動を探り、それらしく振る舞うことで、
叱りから逃げてきた。「普通」を目指して「普通」っぽく振る舞い続けた。
そうすることで、彼にはものすごい適応力が身についた。
職場でも必死に適応してきた。「普通でいなければいけない」
その都度、彼なりの『こうすれば正解』を実践してきた。

即ち、
ASDさんの、生きづらい社会への適応力=「外モード」なのだと思います。


では、家でも夫が「外モード」をしてくれればうまくいくのか

夫に「外モードでいて」と言えば、挑戦してくれるとは思います。
でも、私が求めているのはそれではない。
外モードが「生きづらい社会に適応するために必死な彼」だと知った今、
彼にそれを強要するのは違う。

それに、「普通っぽく振る舞ってくれた」としても、
それは本来の彼の姿ではなく「擬態」である。

でも、私はその「擬態」を好きになって結婚した。

とても複雑な気持ちでした。

『第一次カサンドラ期』


「外モード」は悪なのか

最初から「外モード」なんてしないでよ!卑怯だよ!

そう思った時期もありました。

でも、彼の背景を考えるとそんなことは言えなくなる。

「ずっと叱られてきた」「普通を目指さないと生きていられなかった」

外モードができていなければ、
今の仕事に就くことは不可能だったと思う。

外モードができていなければ、
親から見放されていた恐れすらある。

彼の環境において「外モード」は生きるために必要なものであり、
それをしなければこの社会では生きることができなかった。

外モードは、ASDさんがこの社会で生きるために必要なことでした。


「外モード」によって傷つくカサンドラ妻たち

外モードは悪くない、という話をしてきましたが、
それによりカサンドラ妻が傷つく、ということは起こりまくっています。

じゃあやはり「外モード」は悪いってこと?

違うんです。

辛いのは、「それが外モードだと言うことを知らなかったから」なのです。


周りを傷つけないために必要なのは・・・

1.「自分が外モードで生き延びてきた」という自覚を持つこと

堂々と自覚して良い、すごいことだと思います。
だって、「外モード」ができない人もいます。

ほとんどの人が無自覚で生きるために必死にやっていることと思いますが、
これを自覚することで、周りを傷つけるリスクを減らせると思います。

2.「外モードをしています」と言える社会

ということは、「僕はASDです」を言える社会であるということ。
これも、堂々と言って良いこと。

言い方を変えれば、「僕はASDですが、それっぽく振る舞ってこの社会に適応することができます」ということ。

これも誇って良い素晴らしいことだと思うのですが、
これを堂々と言える社会にならないと、言えないですよね。

3.正しい理解をもって周りがそれを受け入れること

発達障害への理解が世の中に浸透し始めてきたとは思いますが、
もっともっと理解が進んで、
「それっぽく振る舞わないと社会から排除される人がいる」
ということを知らないといけない。

生き延びるための「それっぽく振る舞う」を理解して、
また、必要以上に「それっぽく振る舞う」を求めない社会に変えていく。


まとめ

誰も悪くない。
「外モード」も悪くない。

ただ、傷つく人を減らすためにも、
社会全体を変えていく必要があると私は思う。

「自分は外モードで生き延びてきたけど
 実はこういう特性があるんだよね」
と、自分の特性について自分で理解をしておいて、
大事なパートナーにはちゃんと結婚前にその話ができること。

そして、話をしたところで「え?発達障害?」と引かれることのないような
発達障害についての理解がある社会。


当事者さんや周りの人が発信していくことで
少しずつでも「みんなが生きやすい社会」になればいいなと思い、
「私と同じような悩みや傷つきを経験する人が減るといいな」という思いで
今日もnoteを書いています。

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いつもありがとうございます。

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