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量子コンピュータを数式は使わずに説明する 〜量子力学の実用例〜

量子力学に関する書籍を購入して、読み進めながら勉強して、内容をまとめてみました。これまで2記事を上げてきました。

古典物理学とは相反する、まさに新しい物理学とも言える量子力学。そのポイントをまとめると、全部で4つありました(先ほどの記事で説明しました)。

・物質は粒子と波動の性質を併せ持つ
・観測するまで実在を考えない
・位置と速度が同時に決まらない
・エネルギーの壁をすり抜ける

ミクロな物理学と称される量子力学ですが、実際にどのような役に立てているのでしょうか。今回はその有名な例として、量子コンピュータについて説明したいと思います。

現代の科学技術で大活躍していることを知れば、量子力学が身近に感じられること間違い無しです。

量子コンピュータについて

おそらく名前は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。計算処理速度が高いことが特徴で、様々な難しい問題を高速で解けると期待されています。

従来のコンピュータは「ビット」と呼ばれる0と1の組み合わせから、物事を認識します。それに対して、量子コンピュータは「量子ビット」と呼ばれる0と1の可能性を重ね合わせた状態から、物事を認識します。

ここで「0と1の可能性を重ね合わせた状態」というのは、以前に扱いました「不確定性」と呼ばれる量子力学の重要な特徴のひとつです。

量子コンピュータは複数の可能性同士を上手く組み合わせることで、高速に計算処理を行います。上手く組み合わせるとは、1つの可能性を絞ると別の可能性も絞られるようなことを意味します。

これは「量子もつれ」と呼ばれる量子力学の重要な性質です。量子もつれとは、片方の量子の状態が確定すると他方の量子の状態も確定することを言います。

つまり、量子コンピュータは「重ね合わせ」「量子もつれ」を利用することにより、高速な計算処理を可能としています。

量子コンピュータが得意な分野

量子コンピュータは様々な可能性を持つ量子を集め、同時に様々な処理を行うことで高速計算を実現します。

特に活躍が期待されている分野の一例として、素因数分解の話があります。素因数分解とは、ある整数を素数の積で表すことです。

量子ビットをたくさん集めて、上手く量子もつれを使えれば、高速で計算できることが知られています(従来のコンピュータでは難しい課題のひとつでした)。

この素因数分解が速くなることで、どんなメリットがあるでしょうか。例えば、現在使われている銀行のパスワードなど、多くの暗号方式には素因数分解が絡んでいます。量子コンピュータを利用すれば、より高精度な暗号化技術に寄与すると考えられます。

量子コンピュータには、従来のコンピュータでは難しい課題を解決できる可能性が大いに秘められています。そのため、国を上げての研究と実用化が進められている最中なのです。

おわりに

今回は量子力学の実用例として、量子コンピュータについて説明しました。

量子コンピュータは計算処理こそ速くできますが、物理的な観点でまだまだ課題が残されているので、今後の技術革新が期待されています。

量子力学は本格的に取り組むと難しい数式が並んでしまうので、なかなか難易度の高い分野のひとつです。ただし、今回のように数式を省いた形でも十分な説明はできることが分かりました。

より先々が気になる方は、ぜひ自力で量子力学の扉を開いてみてください。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございます。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに寄り添えたら幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

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