見出し画像

Rory Pilgrim:認知行動と思考

Rory Pilgrim:認知行動と思考


ローリー・ピルグリム(Rory Pilgrim)

ローリー・ピルグリム(Rory Pilgrim,1988- /インスタレーション、具象絵画、映像、パフォーマンス…/UK-ロンドン在住)

Rory Pilgrim

ローリー・ピルグリムの実践の中心は

ローリー・ピルグリムの実践の中心は、文化的、社会的、そして世界的な責任の問題を問うことだろう・・・
ローリー・ピルグリムは、個人的にも集団的にも、私たちが信じ込んでいることをどのように認知するかを探求する。
彼らが出席しているかどうかにかかわらず、ピルグリムは世界中のさまざまなグループや個人と協力することを目指している。
その結果、パフォーマンス、ハプニング、ビデオ作品、ポスターが生まれた。それらは、変革のためのスペースと言える・・

Seeds Upon The Dance Floor (2014), Exhibition and Performance, sic! Raum für Kunst, Luzern, Switzerland
Rory Pilgrim wins 2019 Prix de Rome - Announcements  

「解放」を軸にした作品を制作し・・・・

もう少し具体的に探ると、
そのローリー・ピルグリムは、「解放」を軸にした作品を制作し、アクテビィズム(積極行動主義:社会的・政治的変化をもたらすために特定の思想に基づいて意図的な行動をする)やスピリチュアリティ(霊性、精神性)、音楽、コミュニティなどの関係や時間の探求を通して、私的また政治的な問いを表現している。ローリー・ピルグリム自身は、アクティヴィストやフェミニスト、また*ソーシャリー・エンゲージド・アート(*SEA:アーティストが対話や討論、コミュニティへの参加や協同といった実践を行なうことで社会的価値観の変革をうながす活動)の起源に強く影響を受け、ライヴ・パフォーマンスや映像、テキスト、ワークショップ、音楽の作曲にいたるまで、幅広いメディアで作品を発表している。
特に、人が集う手法として作曲を手掛け、音楽が苦境や祝祭の場面において、または人びとの意志を伝えるため、どのように扱われてきたのかをていねいにリサーチしている。

(註)*ソーシャリー・エンゲージド・アート(SEA-socially engaged art):アーティストが対話や討論、コミュニティへの参加や協同といった実践を行なうことで社会的価値観の変革をうながす活動

Rory Pilgrim – ‘Activism can come from a space of joy’ | Tate

 8:34min

ローリー・ピルグリム(Rory Pilgrim)経歴

ロンドン芸術大学チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ(芸術学)卒、2008 -2010年までオランダのアムステルダムで開催された 「De Ateliers」(ザ・スタジオ)レジデンシー・プログラムに参加。
個展に、"THE OPEN SKY" (Flat Time House, ロンドン/Site Gallery, Sheffield, 2016)、"Violently Speaking" (Andriesse-Eyck Gallery, アムステルダム, 2015)がある。また、映像作品の上映に加え、アムステルダム市立美術館でのパフォーマンスや、2015年には広州トリエンナーレにも参加している。

THE OPEN SKY
THE OPEN SKY
THE OPEN SKY
THE OPEN SKY (2016)、HDフィルムからのスチル

AIT(Arts Initiative Tokyo)

AIT(Arts Initiative Tokyo)のレジデンス・プログラム(アーティストが、派遣先の提携機関に一定期間滞在しながら、制作やリサーチを行うプログラム)では、"ERASURE"(消去・抹消)と題名付けられた新しい作品制作のためにリサーチを行う。これは、急速に進む地球環境破壊や、人間と非人間の種の融合、超近代性(ハイパー・モダニティー/現代性の逆転を反映する社会)と呼ばれる時代における機械などを参照し、行動・実践が行われる私たちの身体に着目している。日本におけるフェミニズム運動やアクテヴィズム、*SEA(*ソーシャリー・エンゲージド・アート)に関する実践についてのリサーチや意見交換を通して、振付の方法論や音楽が、環境保護主義者らにどのような社会的、政治的解放の基礎を与えているかを探った。

RAFTS

絵画作品でも、知られるローリー・ピルグリムだが、今回、ターナー賞の最終候補にノミネートされたのは、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリー(The Serpentine Galleries)および、Barking Hallの依頼で制作された「RAFTS」だ。パフォーマンス、サウンド、映像で構成されるこの作品は、ウィルス禍の時代の連帯感やメンタルヘルスについて考察している。

RAFTS-LIVE_Banner-Image
RAFTS LIVE - Serpentine Galleries

Rafts: Live 2022 Trailer│Serpentine

45sec

RAFTS, Rory Pilgrim 2022 (Clip)│Serpentine

5:11min

評価-Artoday

ターナー賞2023最終候補のローリー・ピルグリムの実践の中心は、文化的、社会的、そして世界的な責任の問題を問うことだが、その手法は、実に様々なエリアに渡っており、従来型のアート思考では、解釈しきれない部分もあるかも知れない。

次回は、ターナー賞2023の最終候補のバーバラ・ウォーカー(Barbara Walker)に、ついて考察してみたいと存じます。

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?