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[ Symbolizm ] Decode of the Matrix 2


Codeの元

 前回、我々にプログラムされたCodeは”常識”であることと、その常識は””から生じることを述べました。人間はCodeをプログラムされると認識に影響を及ぼし、自ら実在を歪めるMatrixを生み出してしまいます。または民法などの呼称から民衆のためのような衣を纏っておりますが、実際は”罰則を伴う戒律”であるとも述べました。では、罰則を伴う戒律の元ってなんでしょう?

つまりCodeの元とは?



Decode of the Matrix

船の名

 どういうものが人間を動かすCodeとなるのか?映画では人間が乗る船の名まえで象徴されています。まずは例として主人公の乗る船で見方を綴ります。その後例に倣い、残りの船の名と象徴を順にご説明申し上げます。

・ネブカドネザル

「The Exile of the Jews from Canaan to Babylon」
「カナンからバビロンへのユダヤ人の追放」

 主人公Neoが初めて乗船した船の名は「ネブカドネザル」。この名はバビロン捕囚を行ったネブカドネザル2世から。この古き王の名が何を示すのかと申しますと「ユダヤ教」です。なぜなら、ネブカドネザルが行ったバビロン捕囚でとっ捕まったユダ王国のユダヤ人が、解放されたのちに成立した宗教がユダヤ教だからです。映画と現実をこじつけ過ぎだと思われますか?では英語で「バビロン捕囚」のことを何と表すかご存知ですか?「The Exile / エグザイル / 追放者」です。映画のキーとなる人々も「エグザイル」って呼ばれてますでしょ?



・トリニティ

 もう少し重ねますと、ネブカドネザルの乗組員であり主人公のパートナーである「トリニティ」。この名が示すは「キリスト教」です。キリスト教では「父と子と聖霊のなになに」って言って「Trinity / 三位一体」に祈るからです。キリスト教はユダヤ教から派生したものですから、ユダヤ教を象徴する船にキリスト教の象徴が乗っているというのは、誠にうまい象徴の仕方だと思いました。



・ネオ

 よくキアヌがイエスに似てるから、主人公のNeoがイエスを、ひいてはキリスト教を象徴していると考える人がおりますが違います。「Neo」の名前のアナグラムは「One」と「Eon」です。The One は 「Chosen person / 選ばれし者」、Eon はAeonと同義で「永劫・時代」を示します。「Neo / Eon / One」をまとめると「新しい時代の選ばれしもの」となります。

「Aeone / アイオーン」

 何とも説明の難しき概念ですが、分かりやすく乱暴に言ってしまえば、「ユダヤ教→キリスト教→One教」という流れの、One教を導く救世主と言ったところ。陰謀論的表現をするなら世界統一政府。これからやってくる「新しい時代の象徴」って感じ。



まとめ

 「人間を動かすCode = 船の名」と言うことと、「船の名 = 宗教思想」と言うことがご理解いただけましたでしょうか?故に、法というものは”罰則を伴う戒律”の方が正確だと申し上げたのです我々が法と認識しているものは、宗教戒律から神性をとっぱらったものです。無神論者用のCodeですから神性はいらないでしょ?

 考えてみて。もの凄く高く俯瞰してみたら、カトリックから神性をとっぱらったものが共産主義で、プロテスタントから神性をとっぱらったものが資本主義だって考えられない?掟に従っていれば「天国に行ける(死後の褒賞)」ってのが、社会のルールに従ってれば「老後の社会保障を受けられる」になっただけ。思想は永遠普遍じゃないから時代に合わせてモデルチェンジするのよ永遠普遍の理の知識を扱う人々が、大衆をコントロールするために使用する魔法が思想なの

 では同様の視点でその他の船の名まえも見てみましょう。ビックリするくらいあらゆる思想が揃っております。もうすでに船の名前と思想が合致している人は「オラクル」の項までスキップしていただいて結構です。



・ロゴス号

ヘラクレイトス

 ロゴスを唱えたのは古代ギリシアの哲学者ヘラクレイトス。彼の考え方にある、火の原理(ロゴス)・万物の流転(パンタ・レイ)・相反する力の統一(似て非なる対)など、カバラが色濃く残る古き教え。そんな船の名が象徴するのは「古代ギリシア哲学」です。ラファエロ・サンティの「アテナイの学堂」をイメージすると分かりやすいです。

アテナイの学堂

 船長のナイオビの名はギリシア神話の「Niobe / ニオべ」から。神話では、ニオべは浮気性のゼウスの初めての人間の愛人であり、色々とあって最終的にはゼウスの手により「」に変えられてしまいます。

ナイオビ

 そんなナイオビの彼氏は司令官の「Lock」です。彼は預言者の言葉を信じない人間で、Matrixから脱出していながら固定観念に「Lock」された人間。そしてその名をLeft から Rightへ一文字入れ替えれば「Rock / 岩」です。

ロック司令官

 ただ、ややっこしい事に、ロゴスと言う言葉の意味をキリスト教では塗り替えて「神の言葉」「神そのもの」としました。映画内でロゴス号は、後述するオシリス号(Animatrix)の最後のメッセージ(機械がZaionへ進んでいること)を届ける船でもあり、「神の言葉 / 神の警告」を届ける船としての象徴も含んでいます。ゆえに、ロゴス号が示す意味は「ギリシア哲学」と「キリスト教由来の神の言葉」と言う二つの象徴を含みます



・オシリス号

 もう説明不要ですね。もし分からない場合は「死にゆく神の物語」を216回読んできてくださいね。死神の名がついた船らしい最後を遂げます。Final Flight of the Osiris…



・イカルス号

 蝋で作った羽根を使い太陽に近づきすぎて羽が溶けてしまい、地上に落下し命を失ったギリシア神話の英雄イカロス。彼の名がそのままついた船であり古き多神教神話の「ギリシア神話」を象徴します。この船の船長の名Ajaxもギリシア神話の「Ajax the Great」からです。イカロスもアイアスも、思い上がり過ぎて命を落とした英雄です。



・ハンマー号

シャルル・マルテル

 ハンマー号の象徴は「シャルル・マルテル」の「マルテル / 鉄槌」から。船長の名のローランドは聖騎士ローランです。

「カール大帝(左)」と「カール大帝に忠誠を誓うローラン(右)」

 聖騎士ローランは「シャルルマーニュ / カール大帝」お抱えの筆頭騎士。この聖騎士ローランが仕えたシャルル・マーニュのおじいちゃんが船の名前になっているハンマーの象徴のシャルル・マルテルです。

 シャルルマーニュに仕えた聖騎士ローランには「聖剣伝説」が付随します。ブリテン島のアーサー王伝説の「エクスカリバー」と似たような「デュランダル」という「聖剣」の伝説。武器ってところがポイントです。続けて乗組員の名前も見てみましょう。

Mauser / モーゼル
Colt / コルト
AK / エーケイ

 みんな有名な銃の名前です。映画「Matrix Revolutions」を思い出して下さい。

 映画の中盤、機械の総攻撃にあうザイオンに、人間側の奥の手、つまり「最後の武器」としてEMP攻撃を行ったのは、「神の言葉 / 神の警告」を届けたロゴス号の船長ナイオビが操縦する、武器の象徴満載のハンマー号でした。



・ブラフマー号

「ブラフマー」と「カーリー」

 ブラフマー号の名が示すは、ヒンドゥー教の三位一体「維持・破壊・創造」の創造を司る神ブラフマーです。船長の名前は破壊を司るシヴァの嫁カーリーですから分かりやすいですね。



・グノーシス号

 グノーシス号の名はそのままですので説明は不要ですね。ただ、これまたキリスト教がややっこしくしてしまっている為、一口に「グノーシス」と言っても読者の皆様のグノーシスが全部一致するわけではありません。その定義について綴ると長くなりますので割愛します。リンク先の「メッシーナ提案」をよく理解してください。わたくしのグノーシスの定義は「秘教的知識」の歴史的カテゴリーです。故にわたくしの視点では、秘教的知識を探究する秘密結社は皆グノーシス的なのですよ。イエズス会やカタリ派、薔薇十字やフリーメイソンでさえ、その痕跡が見え隠れするのですから。

 ちなみにこの船の船員には「Jacob / ヤコブ」がおります。秘教的知識の大元であるカバラの象徴の「ヤコブの梯子」のヤコブです。



・カデューシャス号

 カデューシャス号が示すは「カドゥケウスの杖」です。最も古き持ち主はギリシア神話のヘルメスですが象徴は違います。

 そっちのヘルメスじゃなくてヘルメストリスメギストスが象徴するほう。つまりヘルメス主義、ひいては中世の錬金術を象徴します。



・ノバリス号

 ノヴァリス号が示すはドイツの思想家ノヴァリスです。彼の思想「ロマン主義」は恋愛賛美、民族意識の高揚、中世への憧憬といった特徴をもち、近代国民国家形成を促したと言われています。今現在でも残っておりますでしょ?残っているというか煽られてますでしょ?恋愛賛美や民族意識の高揚をドラマやスポーツで。

「パンとサーカス」

 このように”ことごとく”船の名は宗教思想を象徴します。上手く理解できない場合は「宗教の建て付け」というものをよく考えて下さい。宗教というものは「どこからもツッコミようのない道徳」を盾にしながら、「哲学を元にした神話」という矛を大衆に刷り込み行動させるものです。

………さて。
………気づきました?

 人間が乗る船の名が、ことごとく宗教思想なのです。Matrixから脱出した人々が、宗教思想に乗っているってことです。つまりプラグを抜いただけでは真に自由になったとは言えないのです。ここがポイントです。



オラクル

・思い込み

赤いキャンディを刷り込んでくるでしょ?

 多くの人が預言者を「導く者」と勘違いしておりますが、彼女もエグザイル。人間にCodeを刷り込むプログラムです。預言者は、人間に選択肢の幻想を与え「自分の自由意志で生きている感覚」を抱かせ、Matrixの安定性を高める目的のプログラムです。簡潔に述べれば、実際にはすべての結論は機械が決定し、それをコントロールしているとしても、人間に選択肢を提示し、自ら決定したかのように思わせることで、人類が支配されていることに気付かせないようにしているプログラムです

 赤いピルを飲んで自由になる道すらプログラムの一つなのですよ。

 現実世界でオラクルを演じるイーロンもRed Pill を刷り込んできますでしょ?

 預言者を「導く者」と見るか「誘導する者」と見るかで、物語は大きく変わります。映画も現実も。ではそんな預言者に心酔した者を見てみましょう。



モーフィアス

 ネブカドネザル号の船長、伝説のモーフィアス。彼の名の語源はギリシア神話の夢の神モルフェウスであることは有名ですが、その真意は残酷な真実を告げる神。モルフェウスが登場する神話を見てみましょう。

 ”セイクス王とアルキオネ王女という傲慢なカップルは、しばしば互いを「ゼウス、ヘラ」と神の名で呼び合いました。この冒涜行為がゼウスの怒りを買い、セイクスが海に出ているときゼウスは雷で撃ち殺してしました。夫の死を知らぬアルキオネは、悲しみに暮れながら帰らぬ夫を何日も待ち続けます。そんな彼女を不憫に思ったモルフェウスは、彼女の夢にセイクスの姿で現れ夫が死んだ事を告げます。その後、夫の死に絶望したアルキオネは自害してしまいました”

 この神話からモルフェウスは「夢で残酷な真実をつげる神」という象徴を持ちます。Matrixという夢の中で主人公に真実を告げるモーフィアスにぴったりの名前。………というのが一般的なDecode。わたくしは更に付け加えます。

・モルヒネ

 モルフェウスは夢の中で多くの形を模倣して現れることから「Phantasos /  Fantasy / 幻想」とも言われ、人間からは「惑わす者」と恐れられた側面もあります。また、人々を夢心地にさせ幻想を見せる「モルヒネ」の語源もモルフェウスから。

モルフェウスは、人間の歩調、特徴、話し方を表現することに
これほど長けている者はいないと言われた。

 「Matrix Reloaded」のモーフィアスの演説シーンを思い出して下さい。ザイオンの人々をその演説で酔わせ夢心地にさせ、一つの方向へ導きました。預言者のCode通りに。

 それを裏付けるかのように「Matrix Resurrections」では、偶像化されたモーフィアスが崇拝されていました。偶像崇拝はやっちゃダメって古代から言われています。神を擬人化し祀ると強力な洗脳手段になり得るから。ゆえに我々の住む現実世界では偶像崇拝が蔓延しております。と言いますか偶像崇拝しかありませんでしょ?偶像崇拝という洗脳技術を利用され支配されての今ですから。モーフィアスは誠に良く現実世界を象徴しているのですよ。では続きましてザイオンの名の象徴を見てみましょう。



ザイオン

・聖地

 Matrixから目覚めた人々がくらす人間の地下都市ザイオン。その名が示すはギリシア語の「Zion / 聖地」からと言われておりますが、これまでに述べてきた船の名の象徴から考えますと、「Zionism / シオニズム」の方のZionです。自由になった人間の聖地ですらシオニズムという思想で染め上げられているということ。

百目のアルゴス

 また、最新作では「Zaion / ザイオン」の名は「Io / アイオ」になっています。この「Io / イオ」が示すはギリシア神話の女神イオ。ゼウスにより牛の姿に変えられ「百目のアルゴスに監視される女」です。アイオもザイオンも自由になった人間の聖地と受け取る人が殆どですが、機械の監視下・支配下にあるというのが実在です。要するにMatrixから脱出できてないのです。全ては機械のシナリオ通り。

 シオニズムの救世主の最後の姿を思い出して下さい。盲目です。盲人が盲人の手を引くと必ず穴に落ちるもの。事実、救世主を信じたトリニティは命を落としました。要するにMatrixもマシーンシティもザイオンも全部機械が作り上げた世界なのです。

 パスポートの有効期限が2001年9月11日である主人公ネオの、Matrix内の名前はトマス.A.アンダーソンです。「ダヴィンチコードを乗り越えて」でも鍵となった「疑い深いトマス」と同じ名前です。また、王立協会からロイヤル・メダルを受賞している同姓同名の科学者トーマス・アンダーソンがおりますが、彼の研究の中には「阿片の結晶化成分に関する研究」がありますの。人々に夢を見させる阿片は、加工するとモルフェウスが語源となっているモルヒネとなり、悪い人が加工するとヘロインになるもの。 

 救世主というものは疑い深く見なければ、阿片のように人々を惑わすドラッグなのですよ。そんな救世主が導く世界で唯一、機械の干渉が及んでいないものは""だけでした。

欺瞞に満ちた世界では、自然が唯一の光なり。

Matrixっていうものは人の考えを武器に変える。人の夢も。人が大事にしているものもね。

Matrix Resurrections : Bugs

 多くの人は、自分が物事をコントロールできないという考えを嫌い、無条件で自由が良いものだと錯覚しています。自由意志がなければそんな人生は意味がないと。しかし逆に、もし地球上の何十億もの人間全てが自由意志で行動したなら、どれほどの混乱が生じるかを想像してみてください。

 何事もバランスと調和が大切です。どちらか一方だけが素晴らしく、どちらか一方だけが悪いという二元論ではないのです。問題は、誰が二元論を用いて世界を動かしているかってこと。"誰が"物事の善悪を勝手に決め人間をコントロールしているのか?



何が現実か分からなければ抵抗できない

Matrix Resurrections : Bugs


 Matrixシリーズの中で唯一「真の光」を見たトリニティのように、来週からの記事であなたは徐々に実在の光を見ることになるわ。「真の光」を。どういう人々が建築家で、どういう人々がエグザイルか?気付いていないかもしれませんが、このお話は「レンヌルシャトーの謎」「ダヴィンチ・コード」「ダヴィンチコードを乗り越えて」そして「Matrixシリーズ」と、実はずっと繋がっているの。ずっと一つのCodeで繋がっているの。


 では本件はこれまでと致します。わたくしの綴る文章であなた様のMatrixに亀裂が生じましたなら引き続きお付き合いをお願い致します。


続きはこちらから。


-- 作品紹介 --


デジタルBook :『ダヴィンチコードを乗り越えて』


本:『Divine Ratio Re:Decode』


本:『As above So below』

アパレル&小物:Cavalier Camp


動画:Channel 113
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