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兄との最期の日【記録エッセイ】

こんにちは
アラフォーからの豊かな人生をガイドする
女性専門カウンセラー朝比奈卵です

なぜこのことを書きたくなったのか

最近、看護のときのことを聞いてみたい
と言われることがあったり

師匠のお弟子仲間の先輩が
長野県【小諸】の記事を投稿をされ

兄の遺志を受けて向かった場所
高原小諸病院へ
一人電車で向かったこと
あの時の空気感を強烈に
思い出したからでしょうか
(多分そうだと思います^^)

ということで
今日は兄との最期の日を綴らせて頂きます

兄のことは以前
二度ほどブログに書いています
戦友~兄~
本当は怖かった兄の死~看護の孤独~

スポーツ万能だった兄は
本人も自分は元気だと思っていたのですが
発熱があったり
治まったりを
1ヶ月ほど繰り返し

その間
急速に痩せたことから

近所のクリニックを受診
→大学病院へ
→ステージ4の末期がん
(腸から肝臓転移)

余命1年となりました
(実際には10ヶ月で亡くなっています)

すでに手術はできないと言われていましたが
腸がガンに覆われ鉛筆一本も通る余地がなく
それだけはどうにか手術で改善した方が良い
ということになり手術が行われました

その手術を待つ間
待合室から見た空を忘れられません

その時
兄よりも先に
医師から余命を聞いたのは
私だったからです

「お兄さん、頑張って動けて1年あるかどうかです」

37歳の私と
39歳の兄
看護する方も
される方も
あまりに突然のできごとであり
若過ぎました

すれ違いのまま母を亡くしてしまった兄
父とは未だ犬猿の兄
離婚して独り身の兄

医師の話を聞いた瞬間
私は兄が心配で心配でたまらなくなり
先生に言いました

「兄に余命を知らせないでもらえますか」

でも、それは絶対にできないとのこと
若いからこそ
尚のこと、言わなければならない

「残りの命をどう使うか」

本人が考えるべき重要なこと
だと言う…

そんなことをまともに
考えることができるんだろうか…

どんな手を使っても
余命は伝えないでもらいたい
としか考えられませんでした

でも

それはできないという以上
兄へはいつ伝えるのかと尋ねました

恐らく抗がん剤を始める前に
伝えることになる
とのこと

それはいつか
詳しくは決められないとのこと

私はそれから毎日祈りました
実家の仏壇の前で真剣に

それ以外
どこにいても
心が勝手に祈っていました

そんなある日
兄が言いました

お前は今更なにを祈るんだ
まさか
病気が治りますようになんて祈るのか?
俺は絶対そんなことしない!
できない!

私は言いました

お兄ちゃんが最後まで
お兄ちゃんらしく
いられるようにって祈ってるんだよ

私も泣いていましたが
兄も泣いていました

とにかく本当に

最後まで
それしか心に無かったように思います

お兄ちゃんが最後までお兄ちゃんらしく
いられるように

ホテルで看護していたある日
血便が出ている
とのことで見ると確かにそうでした

もうこれ以上は限界だと思い
病院へ

それから亡くなるまで
まさか二日しかなかっただなんて…

でも
驚くことに兄は最後まで
自分はまだ生きる
というつもりだったと思います

だってその時
体力回復に努めようとしていたのですから

か細い声で私に言ったのです

そろそろあれ、買っちゃうか

最初の手術の前後
抗がん剤の前後
あらゆるときに飲んでいた

高カロリーの栄養飲料

メイバランスMiniカップ(コーヒー味)

それと

コーヒー牛乳
ポカリ
オレンジジュース
ヨーグルト
フルーツゼリー(ミックス)

いつもの体力回復セットを
買って来てというのです

また

療養していたホテルへは
自ら電話を掛け

急な出張で部屋を出ることになった
料金は2日後に妹が支払いに行く

とのこと

もうまともに声が出ていませんでしたので
相手は聞き取りづらかったのか
何度も伝えていましたが
電話を切ったあと
兄が言いました

病気で入院なんて言ったら
次、戻るとき入れてもらえないかもしれないからな

えっ…お兄ちゃん

と驚きましたが
これからも生きようとしか
思っていない様子の
兄の心に

あぁ良かった…
と安堵したことを覚えています

翌朝
看護師さんと会話していた兄は
突如
意識不明となり
亡くなりました

兄の心は最後まで
「生」
を見ていたと思います

でも、もちろん
きれいごとばかりではなく

余命宣告を受けてからは
兄は猛烈に死に引っ張られていたと思います

もうすぐ死ぬと言われているのに
死んでしまいたくなるんですね

やはり人って
身体が限界でも
心が限界でも
生きることができないんだと思います

余命宣告に対する
心のケアの充実が図られなければ

心が生きることは
難しい場合があると感じました

でもそんな中
最後の最後まで
「生」を見てくれた兄に
心からの愛情と敬意を表します

本当にありがとう

お兄ちゃん

最後までお兄ちゃんらしく居れたね^^

アラフォーからの豊かな人生をガイドする
女性専門カウンセラー朝比奈 卵
















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