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叶うならもう一度、あのイランへ


皆さんこんにちは、
アサヒパック広報の小林です!

普段こちらのアカウントでは、お米の袋の専門メーカーである弊社アサヒパックのことや、お客様のご採用事例などを中心にご紹介しています。


そんな中ふと、こんなお題を見つけてしまいました。

#行った国行ってみたい国


見た瞬間、とある国について「書いておきたいなあ、、、」「皆さんにも知ってほしいなあ、、、」そんな気持ちがムクムクと湧き上がってきてしまいました。


というわけで今回は少し脱線をして、私がどうしてもいつか再訪したい国

「イラン」

について書かせていただこうと思います。

渡航の目的が「サッカー観戦」だったのにも関わらず、なぜ「お気に入り」の「気になる存在」になってしまったのか。。。

少し長くなりますが、お付き合いいただけますと嬉しいです!


新入社員、イランへ向かう

きっかけは小さな口約束


時は2018年、私は現職場へ入社して未だ1年と経たない頃です。
当時はまだ広報ではなく、内勤営業として勤務していました。

ようやく職場の雰囲気にも慣れてプライベートな話もするようになりました。特に上司であったAさんとは「サッカー」の話題で会話が弾みます。

Aさんは千葉の「柏レイソル」サポーターで、私は以前の記事でも少しだけ触れましたが、茨城の「鹿島アントラーズ」推しです。


そんなある日、こんな話をしたのです。

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Aさん 実は俺、何年か前にACL(※)のアウェイ戦を見に中国行ったんだよ。

小林 えっ!!いいですねぇ~。行けるんだったら僕もアウェイ観戦、海外遠征なんて行きたいなあ。。。

Aさん じゃあ今年、鹿島がいいとこ・・・・まで進んだら行っちゃいなよ(笑)。

小林 ほんとですか!?じゃあその時は是非お願いします!!

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※ACLとはAFC Champions Leagueの略で、アジアサッカー連盟に属する地域の中でナンバー1のクラブチームを決める国際大会です。当時のレギュレーションで、決勝トーナメントはホーム&アウェー2試合の合計で勝敗が決まりました。
ちなみに、柏レイソルは2015年大会でベスト8まで勝ち進み、準々決勝で中国の「広州恒大」と対戦しました。


2018年シーズンを戦う鹿島アントラーズは主要タイトル19冠、節目の20まであと一つに迫っていました。さらにACLは唯一獲得したことがなく、ファンとしても「是非取ってほしい」そして「その瞬間を見届けたい」そんな大会だったのです。

前年2017シーズンのACLはラウンド16で、こちらも中国の広州恒大に敗れた
2017年5月30日 県立カシマサッカースタジアムにて


Aさんはきっと冗談半分の会話だったのでしょうが、当の本人は既に行く気満々。その機会を今か今かと伺っていました。

『行っていいって言いましたよね!?(歓喜)』


さてさて、その年の鹿島アントラーズはと申しますと、、、
鬼門だったベスト16の壁をようやく乗り越え、激戦となった準決勝を内田篤人さんの劇的なゴールなどで勝利し、ついに決勝へとたどり着きました。


つまり、これ以上ない「いいとこ」まで来てしまった訳です。

私は休暇の申請用紙を手にAさんのもとへ向かいます。

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小林 Aさん、『行っていい』って言ってましたよね?ご迷惑をお掛けしますが、決勝行かせてください!!

Aさん ああ、覚えてるよ!(笑)。言っちゃったからねぇ、、、気を付けて行っておいで!!

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こうして、入社1年未満の新入社員が数日お休みをいただき「サッカーを見るためだけに海外遠征」という、人生で初パターンの旅に出る許可が下りたのでした。いやー、ありがとうアサヒパック…。


気になる対戦相手ですが、中東イランのペルセポリスFCに決まりました。

イ、イラン、、、だと・・・!


私の頭の中では当初「個人手配で〜」などと悠長なことを考えていたのですが、いや、イランは流石に治安とかどうなのよ?というか言葉は何語?アラビア語?通貨は何さ??そもそもどうやっていくよ???

と、一周考えた末、鹿島アントラーズが主催するガイド付きのツアーに申し込むことにしましたとさ。だ、弾丸の日程ですが、安全には変えられんです。。。

イランの国旗 先ほど「旅」などとカッコつけましたが、
これ以降は普通に「旅行」と呼称しておきます。気持ち的に…笑


お値段はやっぱりそれなりに(!)しましたが、自分の中の「勘」がこう叫ぶのです

『何を犠牲にしても、この機会を逃してはいけない』と。


もちろんこれは現在からみた結果論ですが、この後起こる世界的なパンデミック、反政府デモなどの情勢不安、そして何より決勝戦の試合結果…、全てを鑑みて「あの時の勘は正しかった」「行っておいて本当によかった」そう心から思います。

そしてまた、同時にこうも感じます

「またいつか、もう一度」と。

テヘランの人たちは熱く、そして温かかった

バザールで店員のお兄さんを撮影 このあと笑顔で手を振って分れた

ほぼ丸一日をかけて首都へ


先述のとおり今回は「ACL決勝2ndレグ観戦ツアー」に申し込みをしました。そのため飛行機、ホテル、試合チケット、ビザ取得などは全てお任せ。楽ちん~~(笑)。

ちなみに、先行して行われた茨城県立カシマサッカースタジアムでの1stレグは2-0で見事勝利を飾り、最高の状態でアウェイへ向かいます。

2018年11月3日 茨城県立カシマサッカースタジアムにて


そして、いよいよイランの首都テヘランへと出発です。

羽田からUAEのドバイ経由で目的地を目指します。

ドバイ国際空港 当日は思ったよりも人が少なかった印象
デーツ(ナツメヤシの実)は中東で非常にポピュラーなドライフルーツ
空港でお土産用に並んでおり、その「黒糖の様な味わい」にハマり帰国後もよく食べるように


乗り換えでの待ち時間は4時間ほど。
その後、約3時間飛行機に揺られイランの「エマーム・ホメイニー国際空港」へと降り立ちます。

着いた瞬間の感想は「寒い!!」でした(汗)。何しろテヘランは標高1200mの高地に位置しており、時期も11月。砂漠の広がる中東のイメージとは少々異なる気候なのです。


ここからはバスで市内のホテルへと移動していきます。沢山写真で記録を残せればよかったのですが、ここで添乗員さんからNGが。。。

というのも、イランの方々のサッカー熱はすさまじく、特にテヘランに本拠地を置く「ペルセポリスFC」と「エステグラルFC」はそれを二分するチーム。明日に向けて数千万人いるとされるペルセポリスサポーターが全土から首都へと集結しており、対戦チームのファンが集団でいると分かれば、その熱が「悪い方向に向く」可能性がある、そうで…。

そのため空港も早足で抜け、バス内も「なるべく窓のカーテンを開けないで」とアナウンスがあるほど。えぇ~そこまで…(汗)。


「テヘラン  渋滞」で検索した画像が道中のイメージどおりです(笑)。車線なんてあってないようなもの。路肩まではみ出た渋滞の中をえっちらおっちらとバスは進んでいきます。これだけ古い車が走っていれば「埃っぽいなあ」と感じるのも無理ないですね。。。

2時間ほどかけてようやく市内のホテルへ到着…。長かった!!

パルシアン・エンゲラブ・ホテル


いやー、正直へとへとです。
ひとまず翌日行われる試合に向けて、ここでしっかりと休息を取ります。

【イランのこと①】公用語は「ペルシア語」


ここで少し、今回の旅行で知ったイランのことを記しておきたいと思います。

公用語はアラビア語…ではなくてペルシア語です。

道中で立ち寄ったお店 ほんのこれっぽちも読めません(汗)


ペルシア語は、アラビア語と同じアラビア文字を使って書きますが、言葉としては全然違う言語なのだそう。その関係性は漢字における「日本語と中国語」によく例えられます。見分けがつかないのも納得です。

【イランのこと②】通貨は「イランリヤル」だけど・・・


通貨は「イランリヤル」です。桁数が多いことで知られていますが、公式レートと実勢レートに乖離があったり、ぼったくりの両替屋もいるとかで、今回は空港到着時に添乗員さんがご準備くださったものと交換をしました。

…だったのですが、ここで問題発生。

試合当日の午前、自由時間があったのでSIMカードを求めて個人的にホテル近くの商業施設へ向かったのですが、お会計の際の金額が合わないのです。お互い言葉が通じませんので、片言の英語やボディーランゲージでやり取りするのですが、、、

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店員 3,000,000だよ!

小林 OK。(お金を出す)「3,000,000」リヤル・・・だね。

店員 違うよ!(私の手元のお金を一緒に数えて)「30,000,000」だよ!

小林 え?「3,000,000」なんだよね??

店員 そうだよ??

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注:金額は分かりやすく概算に直しています


こんな感じでなぜか一桁多く・・・・請求されるのです。。。

何度か同じ会話をループし「はて、どうしたものか」と困っていると、突然後ろから「アナタニホンジン?」と声を掛けられました。なんと信じられないことに日本語を話せる現地の男性がたまたま店内にいらっしゃったのです!!そんなことある?(笑)

救世主の登場で問題は一気に解決します。

実はイランの街中では、旧通貨である「トマン」という単位での価格表記が現通貨のリヤルと混在しており、上述のお店はトマン表記だったのです。ちなみに1トマン=10リヤルです。つまりSIMカードは「300万トマン(=3000万リヤル)」だったのです。

「昔埼玉で仕事をしていた」という救世主は流暢な日本語で丁寧に説明をしてくださり、また店員さんも根気強く対応してくれたおかげで無事にSIMカードを購入。皆さんに「ごめんね」と「ありがとう」を伝えてその場を後にしました。

イランリアル(紙幣)とUAEのディルハム(硬貨)
惜しむらくは、その救世主たちと記念撮影をしなかったことだ…(痛恨その1)


・・・そして、この辺りでなんとなく気が付くのです。
「あれ?なんだかみんなめちゃくちゃ親切じゃね??」と。

【イランのこと③】お手洗い事情


こちらも写真を撮ってこなかったことを大変後悔しております(痛恨その2)。決定的に違うのはトイレットペーパーを「流さない」こと。

えっ、じゃあ用を足した後どうするの??

といいますと、日本のウォシュレットの様なホースが備え付けられており、それを使って洗って、ペーパーは水気を拭き取るだけ。使用した紙は置かれたゴミ箱へ、という感じなのです。

資料が無くて申し訳ありません!気になる方は是非「イラン  トイレ」で検索してみてください!!

公式発表の入場者数は驚異の10万人(推定)


話を戻しまして、ついに試合当日です。

鹿島アントラーズサポーターのスタジアム入場は、各宿泊先ホテル前で公式バスが順次ピックアップ、その後専用ゲートから何回かに分けて警備員とともに入場…という厳戒態勢でした。しかもそれはキッフオフの5時間も前の話です。なんでそんなことになるのかと言うと、、、


当時、個人のインスタグラムへUPしたストーリーが残っていました。

理由をお分かりいただけますでしょうか。「既に大多数のホームサポーターが集まっていたから」なのです(汗)。そして入場するとこんな感じ、


スタジアムの中も外もごった返してお祭り騒ぎです。
あ、熱い、、、熱すぎるぜペルセポリスサポーター…!!

しばらくするとウェーブなんかも起っちゃったりして。。。
あのー、試合開始までまだ4時間以上ありましてよ??(汗)

会場のアザディ・スタジアム 公式の収容人数は8万人弱
試合開始直前まで画面左の1階一部のエリアが空席のままだった。


圧倒的収容人数に、観客たちの醸し出すこの独特の雰囲気…。アウェイながら「素晴らしい」の一言です。ホームチームの選手たちはいったいどれだけ、この声援に背中を押されることでしょう。

そしてもう一つ、どちらも初優勝がかかったこの試合では、ある歴史的なことが起こっていました。


禁止されていたイラン人女性の入場が認められた試合だったのです。そのほとんどが選手の親族だったそうですが、空席だった1階エリアが開始直前に埋まりだした際のどよめきの理由を私が知ったのは、残念ながら帰国した後のことでした。

そして、ついにスタジアムは満員御礼!それどころか立ち見客で文字どおり溢れかえっています。。。圧倒的アウェイッッッッッッ!!!


途中から勝手に入ってしまう人が続出したようで、、、運営サイドもカウントができなかったのでしょう。公式発表での観客数はぴったり「10万人」でした(汗)。どちらにせよすごい。。。

気になる結果はというと、、、ご存じのとおり我らが鹿島アントラーズはついに、悲願のACL2018王者に輝いたのでした!!


試合後の余韻と幸福な疲労感に包まれながらスタジアムを後にします。印象的だったのは、表彰式の間もブーイングすることなく選手を祝ってくれたホームチームのサポーターたちです。本当に素晴らしいスタジアムだったと、もう一度ここに記しておきたいと思います。

熱狂冷めやらぬアザディ・スタジアムを背にホテルへ

ペルシャ文化とビーツ、そしてピスタチオ


さて、弾丸ツアーもついにテヘラン最終日。前日枯らした喉は全く戻りませんが、夜の飛行機まで束の間、観光の時間を満喫します。

まずはゴレスターン宮殿へ。


ヨーロッパとペルシャの建築様式が交わる世界遺産。

修復中だったか、一部窓には布がかけられている


18世紀にテヘランを新都としたカージャール朝。その4代目の王ナーセロッディーン・シャーの命により造られ、近代イランの芸術に大きな影響を与えたそうです。

人慣れしているのか触られに来てくれた猫


続いてサーダバード宮殿へ。

緑の宮殿入口前


1979年にイラン革命で倒れた最後の王朝「パフラヴィー王家」が夏の間だけ使用した離宮。


イラン革命時に倒され、今は足だけになってしまった像。パフラヴィー朝を開いた「レザー・パフラヴィー王」であったと言われています。

最後にタージリッシュにあるバザールへ。ここがすごく良かった!!

赤紫のビーツ屋台 冬の風物詩なのだそう


たった数日前、イラン到着時に抱いていた「不安」やある種の「不気味さ」の様なものは、このころにはもうすっかり無くなっていました。

だって、みんなとっても親切でフレンドリーなんです!!

バザールの奥、小さな広場の様なエリアに青果や香辛料を取り扱う店が立ち並ぶ


一言で形容するなら「温かい」でしょうか。

困っていれば助けようとしてくれるし、何かを伝えようとすれば理解しようと耳を傾けてくれます。そういえばSIMカード買ったときだって、ちゃんと使えるように端末の設定まで手伝ってくれました。

この雑多な雰囲気が、また堪らない
イラン名産のピスタチオ バザールのあちこちで山積みになっている


お土産にはピスタチオを。店員さんに味見させてもらいながら欲しい分だけ量って袋詰めしてもらいます。名産と呼ぶにふさわしい味で「ピスタチオってこんなに美味しかったかなあ?」とニヤニヤしながら首を傾げたのを覚えています。


こうして後ろ髪を引かれつつも、日本への帰路に着きました。

本当のところは、結局見ないと分からない


もちろん、いいことばかりではありません。

トイレは「ウゲッ」と思うくらい汚かったり雰囲気が悪かったりもするし、イスラム教の国ですので細かい規則や、ヒジャブが必要だったりなど…特に女性への制約は多いようです。アメリカを中心とする経済制裁の影響で空港の免税店は戸棚スカスカ、クレジットカードもATMも使えません。

それでも、、、
良い意味で、ここまで印象がガラッと変わった体験は初めてだったのです。


ツアー中、食事であるお店に立ち寄りました。ウェイターの男性はドアを開けて待っていてくれたので、最後だった私は何気なく「ありがとう」と伝えます。すると彼はいたく感動した様子で、勢いそのまま私の手を取り、握手を要求したのです。

その時の彼の笑顔が今でも忘れられません。


私がまたいつか行きたい国、イラン。

次はサッカー観戦ではなく、その文化を深く知るための「たび」として、訪れる機会が来ることを楽しみに待ちたいと思います。


※本記事に記載の情報は2018年当時のものです。
※情勢によっては渡航が危険な場合があります。詳しくは外務省HPをご確認ください。