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イスラエル、報道では伝わらないリアルを感じてみる

中東の火種、イスラエル入国。

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国境からエルサレムまでは、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区。
そう、ここはパレスチナ。

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海抜-250m、世界一低い都市エリコ。

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自治区内は今までと同じくアラブ人が住むアラブ文化圏。

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聖地エルサレム。
旧市街は城壁で囲われた凝縮世界。

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荷物満載の自転車で、いざ突入。

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狭い城壁内は、ユダヤ、キリスト、イスラムの三宗教の聖地がひしめき合っているだけでなく、人々の日常の生活がここにはある。
ユダヤ人もアラブ人も巡礼者たちも、ギリギリの緊張感で持ちこたえながら共存している。

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狭い路地で、不意に人の流れが止まって渋滞となった。
様子を伺うと、アラブ人の若者が殴り合いのケンカをしている。
あー、やっぱアラブ人はすぐ暴れるんだ。
まもなくアメリカ人っぽい人が「No violence!」と仲裁に入る。
あー、やっぱアメリカ人は口出しするんだ。
その横を、東洋人がそそくさと通りすぎる。
あー、やっぱ東洋人は我関せずなんだ。
このシーンだけで世界の縮図を見た気がした。

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アラブ人と同じくユダヤ人も、自分が何者であるかを言葉で語るまでもなく身なり服装で主張している。

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ユダヤ人は、もの静かで礼儀正しく、外国人の僕に対して不必要に干渉してこない。
今までは、どこへ行っても人々は僕を見て過剰に反応し、なんやかんやと騒がれたり、ジロジロ見られたり、チャイナだのニーハオだのマニーだの言われたり、アラブでは子供じみたちょっかいを出されることが多かったが、ここではほとんど視線を感じず、かといって冷たい感じでもない。

ユダヤ教を母体として生まれたキリスト教とイスラム教は広く民衆に受け入れられて世界中に普及した。
しかし元祖のユダヤ教は厳しい戒律と選民思想により、ユダヤ教=ユダヤ人という閉ざされた信仰のもと、あえて外に広めようとはしない。
世界中に離散したのはローマによって永久追放されたからで、その後各地で迫害されながら、1948年、実に2000年もの時を経てこの地を奪還した。
話せば穏やかで紳士なユダヤ人だが、何万人殺すことになろうがこの地だけは断じて渡さない、という強固な意志が伝わってくる。

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軍は当然全員ユダヤ人、男も女も国民皆兵。

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ユダヤのシナゴーグ、キリストの教会、イスラムのモスクが狭い城壁内で隣り合っている異様な光景。

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教会にもモスクからのアザーンが轟く。

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ひときわ輝く岩のドーム、ここでムハンマドが昇天した。

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エジプトに続きヨルダンでもパレスチナでも、相変わらずアラブの少年たちからよく石を投げられる。
体に当てられるならまだいいが、自転車に当てられて激昂、少年相手に大ゲンカしてしまったこともあった。

その昔、完全武装のイスラエルの戦車に対して、石を投げて立ち向かうパレスチナの少年の写真が激写され、話題になった。
世界の人々はこの少年の勇敢さに感嘆し、イスラエルの大人気なさを批判した。
僕もその一人だった。

でも今は思う。
石を投げるような民族に対して、同レベルでやり合ったってしょうがない。
イスラエルとしては、石を投げるような民族には圧倒的な武力で制圧する必要があった。
パレスチナ人だって、強力な武力を持てば、イスラエルと同じか、あるいはそれ以上の武力行使をするだろう。
もしイスラエルが敗北してパレスチナが実権を握ったら、パレスチナ人はユダヤ人を皆殺しにするだろう。
双方ともに平和的解決をする気などさらさらない。
世論は弱者に同情し、弱者が正義であるかのように考えがちだが、支配構造は世の常、どちらが正義でどちらが悪というのはない。

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エルサレム新市街はユダヤ人のエリア。
ヨーロッパのような街並み。

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地中海に面した首都テルアビブ。

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パレスチナ自治区外のイスラエルはまるで別世界。
近代的な都市、生活水準も物価も非常に高い。
中東といえば石油だが、イスラエルは石油が出ない。
しかしユダヤ人には、離散中に世界中で築いた莫大な経済基盤がある。

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理由はわからないがイスラム圏では自転車の地位が低く、見下されている感じがあった。
カイロのショッピングモールに自転車で行った時は警備員たちが群がってきて「ノーバイシクル! ノーバイシクル!」と吠えられた。
広大な敷地に自転車1台停めることも許されないらしい。
宿も、たいていの国では部屋に自転車を持ち込んで保管できるが、イスラム圏ではまるで汚れた物でも見るかのような目で、部屋への持ち込みは断固として拒否されることが多かった。

しかしユダヤ人のイスラエルは、文化圏としては欧米に近い。
サイクリングがさかんで、道路には自転車レーンがある。

そして交通マナーも、なんと歩行者優先。
歩行者や自転車のために、車が止まってくれる。
アフリカ〜中東を旅していると、これは驚くべきことだ。
今までは、けたたましくクラクションを鳴らしながら突っ込んでくる車から逃げ回るのが常識だったが、突然ドライバーがお行儀良くなって、かえって戸惑ってしまった。

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やはり、イスラエルとパレスチナは別の国だ。
イスラエルという国の存在自体を認めていない国もあるが、イスラエルという国は確実に存在する。
この土地をアラブ人が領有するというのは考えられない。
そしてアラブ人が住みついているパレスチナをイスラエルが領有しているのも不自然。
ヨルダン川西岸地区はヨルダンにあげてしまえばいいし、ガザ地区はエジプトにあげてしまえばいい。
エルサレムは難しいところだが、ユダヤ人がイニシアチブを持つのが妥当だと思う。
あのデリケートなエリアを粗暴なアラブ人にまかせてしまうのはまずい気がするし、かれらにはメッカとメディナがあるだろう、エルサレムに固執する必然性はユダヤに分がある。

と、単純で乱暴なようだが、今まで本を読んだりニュースを見たりしていても、複雑で解決困難で答えを見出せなかったが、実際にこれらの土地を見てみると、自分の中ですっきりと整理できてしまった。
もちろん現実にはそんなすっきり解決するわけはなく、まだ当分は争い続けるだろう。

ヘブライ語。

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一度日常語として絶滅してその後復活した言語は、ヘブライ語の他に例がない。

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アインシュタインは、ヘブライ大学で相対性理論の講義をヘブライ語でおこなったという。

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ヘブライ語で「こんにちは」は「シャローム」。
アラビア語で「こんにちは」は「アッサラームアライクム」、略して「サラーム」。
「シャローム」と「サラーム」、いずれも意味は「平和」。

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