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僕の夏の始まり【ショートショート】

ハイシーズンとは、ずっと、夏場のことだと思っていた。
なぜだろう。気温が上がり、気持ちも上がってくるからだろうか。
暑くなると叫び出したいような喜びに体が満ち溢れる。
僕はずっと、夏がくる度、ハイシーズンがきた!と喜んでいた。

しかしハイシーズンとは、観光客が集い宿などが忙しくなる時期のことだと知った。サマータイムとでも間違えていたのだろうか。
けれど日本ではサマータイムの導入はされていない。
ひとまず、僕なりのハイシーズン、ということにしておこうか。紛らわしいけれど造語である。僕のは夏を指すこととする。

ハイシーズンになると、無性にビールを飲みたくなる。
ビーチで波の音を聞きながらのビールは素晴らしい。青い海青い空白い砂浜。ビーチチェアに座りパラソルの下。これだと南国がいいかもしれない。日本の海もいい。日本なら海の家で焼きそばなんか食べながら‥というのに憧れる。
夜ならビヤガーデンは外せない。昼のビヤガーデンもいい。だけれど夏の夜、冷え始めたけどまだ暑い街の熱気が下から上がってくる、ビルの屋上のビヤガーデンなんか最高だ。いつも自分の置かれている喧騒を、見下ろしての開放感。色んなフードがあるのもいいけれど、焼肉しながらなんかもいい。
あとは餃子にビール。近所に美味しくて安い中華料理屋があったときは、せんべろセットが最高で足繁く通った。外国料理だとタイなんかもいい。スパイシーな料理にシンハーなんかも異国情趣でいい。あれ、シンハーはタイだったろうか。
あとはこれ。日常的な風景で意外かもしれないが、縁側でビール。これも好きだ。縁側はビールのためにあると言っても過言ではない。風鈴の音を聞きながら、部屋着のような楽ちんな格好がいい。飲み終わった後にスイカでも食べたいものだ。

ビールの話に終始してしまったが、僕の持つ、ハイシーズンがきた!という感覚がどんなだか、わかってもらえただろうか。

ここまで書いて、ビールもいいけれど、やっぱり僕はかき氷が好きだなあと思う。今度はかき氷の話でも書いてみようか。

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