オランダでスタートアップが元気な理由
こんにちは、オランダ在住のサービスデザイナーASAKO (あさこ) です。
今回は私がオランダでいろんなスタートアップや支援団体と交流しながら知った、スタートアップが元気な環境の理由を探っていきたいと思います!
起業したくなる税金制度
オランダには、話を聞いてるだけでつい起業したくなっちゃうな〜と思う税金制度をしていると思います(私も実際オランダに来て2ヶ月後に起業しました笑)。
国の制度が国民感情を動かし、スタートアップが元気な文化を間近に見れるのは本当にヨーロッパに移住して感動したことのひとつ!
前提として、所得税はめちゃ高い
所得に対して約30%または50%の所得税がかかります。しかも大企業に勤めてるくらいの年収があると即効50%の税率になる怖い国 (日本は5%〜45%の段階性でほとんどの人は45%になりません)。
起業すると税金優遇がすごい!
オランダの法人税は日本と同じくらい(15%か25.8%)で、所得税と比較するとめちゃ安い!と感じてしまう!笑
しかも起業家には様々な税金優遇があって「あれ、これ会社作った方がおトクじゃない?」と自然に思っちゃう仕組みなのです。
起業したくなる学校教育
オランダは学校の支援もすごい。特に私が通っているデルフト工科大学 (TU Delft) は世界第2位の学校発インキュベーションファーム (※スタートアップの支援団体)として知られ、起業したい/した学生に対して必要な知識やコネクション、オフィススペース等を莫大な予算を使って提供しています。
↓これは入学した時に配られた、デルフト工科大学でどの学生でも受けることができる「Delft Center of Entrepreneurship (デルフト起業家センター)」という団体が開催する起業家コース一覧。最初の概念理解からガチ起業するまで、めっちゃ授業ある!
特におもしろい授業は「Ready to Startup」というコースで、授業内でビジネスアイディアを作って実際の起業家に向けてピッチしその場でレビューをもらったり、他の学生とチームを組んで授業内にプロトタイプして、筋が良いアイディアはそのまま起業して継続的に支援してもらえたりします。すごい
起業家コースで修士が取れる大学院も!
エラスムス大学の「Strategic Entrepreneurship (戦略的起業)」という1年間で修士が取れる学部。説明会行ったのですが、ビジネス知識だけでなくAI等のテックスキル、地域の起業家コミュニティとの繋がりが強く「在学中に起業するのだ」という圧をすごく感じる環境でした(笑)
起業がめっちゃカンタン
オランダでは、ビジネスの登記が秒殺です。
とても使いやすいWebサイト(商工会議所/KvK)からオンラインで登録し、そのままオンラインで面談を予約。面接も予約時間通りで待ち時間ゼロで即終了です。
私はビザ取得のために日本でいう個人事業主のようなビジネス (Sole Proprietorship) を立ち上げたのですが、登録1日・面接20分で完了しました (※登記後にビジネス用銀行口座を作るなど後段の手続きはちょこちょこありますが、とにかく全部スムーズ!)。
法人を立ち上げた友人の話では、法人格も数日でできるとのこと。これは企業のハードル下がりますよね〜
ネットワーキングの機会が多い!
スタートアップ向けのイベントが大きいのから小さいのまでそこかしこであります。ヨーロッパのビジネスではネットワーキングがとても大事にされていて、対面で出会って気の合う人たちがすごいスピードでコネクション広げていく感じです。
中堅規模のイベントであればほぼ毎月ヨーロッパのどこかで開催してるのがみつかり、小規模(数人〜数十人)のイベントならオランダで月に1~2個くらいは顔出せるイベントがある感じ。
↓ 大きいイベントの例: Web Summit @リスボン, ポルトガル
年に1度開催されるテック系スタートアップの祭典です。スタートアップと、投資家やVCと、スタートアップを支援する団体が世界中から10万人集まりその場でガンガンにネットワーキングします。熱気がすごい。
↓ 小さいイベントの例: Female Ventures
私がよく参加しているのは女性起業家がしっぽりと集まるFemale Venturesというイベント。こんな感じで「女性起業家」「ヘルスケア」「AI」「なんでも」とか本当いろんなテーマでコミュニティが運営されています。
お金がなくても助け合える
スタートアップに必要な様々なスキルを持ったメンターとオンラインコールで相談ができる月額制サービス(月額50ドル~ 2023年時点)。
※オランダに限らず世界中から使えます!
ヨーロッパのスタートアップ事情
スタートアップの聖地はポルトガルとドイツらしい
ここまで結構オランダ激推ししてきましたが、それは私が住んでいるからで(笑)スタートアップにオススメ都市として頻繁に聞くのは「リスボン(ポルトガル)」と「ベルリン(ドイツ)」。
この2都市は行政と現地のインキュベーションファームや地元のコミュニティがとてもうまく繋がりあってエコシステムが出来ているんだって。ベルリンには来年一度遊びに行ってみようと思う。
エンジニアの聖地は東欧らしいぞ
ちなみに東欧は世界から優秀なエンジニアを呼び寄せようと政府が頑張っているらしく、例えばルーマニアではエンジニアだと所得税が無料(!)という、世界中のエンジニアが思わず引越しちゃうような税制度らしい。
聖地じゃない国もたくさんある
フランスやイタリアは法人税が高いことで有名で、古参ビジネスのネットワークが強く新規参入のハードルが比較的高い国もあって、本当隣の県に行くだけで文化がちがう!
ヨーロッパは国をまたいでビジネスするのが普通
このように国ごとに法律や文化が違うので、それぞれの良さを使いこなして国をまたいでビジネスするのが普通です。日本に住んでるとあまりない発想だったので学びが多かった。
まとめ
さて、今回は私が発見したオランダやヨーロッパのスタートアップ文化について紹介させていただきました。ヨーロッパはそれぞれの国が異なる特徴や法律を持っており、その制度を皆でハックしあいながら「ヨーロッパ」という環境で国をまたいでコミュニケーションが行われるのがとても面白いところだなぁと観察しています。
ちなみにヨーロッパが一番!とか言うつもりは全くなく、ヨーロッパで活動してると「ヨーロッパはスタートアップが失敗を恐れていてイノベーションが起きない」とか「本当のユニコーンは米国にしか生まれてない!」というような、日本でもよく聞く議論を耳にします。みんな同じ悩みを抱えながらがんばってるんだよな、ということですね!
読んでいただきありがとうございました!
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