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あたしは可愛くなんてない。

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「その感情が愛でも、憎しみでも、悔しさでも。あたしの、あなたへの感情は誰とも違うのだから」…… 1話5000字ほどの読み切り形式で送る、女性同士の感情シリーズ。
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2019年7月の記事一覧

『あたかわ』プチ アイデアはこんな雑なものから

『あたかわ』プチ アイデアはこんな雑なものから



一部ではありますがこんな感じで描いてます。全部iPadにて。

ざっくりラフを描いて、それをもとに

清書して、加工かけるとこうなります。

小説書きは別にイラスト描けなくてよくない?っていう人もいるでしょうが、僕は自分でも描けるようになりたいです。

そこから新作ネタが思いつくこともよくありますので。

(セナちゃん目の下のホクロよく描き忘れます、ごめんね)

夏の微熱(2)

夏の微熱(2)

 この人は男……男の人じゃないと何だか怖い。
 僕は内心怯えていたのだろう。
 必死で、夏樹さんが着ていたもののことなんて考えていなかったのだが、畳の上にはしわくちゃになったハーフトップがあった。
「や、だ……何で、声オペなんかしちゃったんだろ……」
 結局、そういうことなのだ。
「な、つき……さん……」
「マジで自分が気持ち悪い」
 息を切らしながら、夏樹さんは瞳を潤ませていた。
「ひーくん……

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夏の微熱(1)

夏の微熱(1)

 今年の夏は遅かった。
 じめっぽい中僕はシェアハウスの草むしりをしていて、それはあの人を待っていたからだった。
「……夏希さん」
 こういう眩しい日は思い出す。
 スベスベの白い素肌と長いまつ毛、ベージュの潤んだ唇。
 それから、凛々しくも優しいお姉さまの声。
 未だに引きずってしまうのは、何でも忘れるタイプであるはずの僕にしては珍しい。
 仕方ないのかな……確かに、夏希さんのことが好きだったか

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あたしは可愛くなんてない。

 あたしが玄関の扉を開けると、そこにはずぶ濡れの女の子がいた。
「いや、でも……でも、あなた本当は」
 男じゃないか。
 あたしがそう言いたいのを知っているのか、彼女は切羽詰まった声で「いいから何とかして」と言った。
「……なぁ、肉まん……どうしよう」
 その晩はまるで台風でもやって来たかのようで、梅雨の風情もへったくれもなかった。
 そんな中、女の子は胸元のはだけた、白いワイシャツ姿でうなずいた

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