突然いなくなったひと

生湯葉シホさんの「限界の足音」をnoteで読んだのも、かなり前の話になった。

また、突然いなくなってしまった。

この、突然いなくなる人になってしまったこと、過去に突然いなくなった経験があること、こんなことがぐるぐると頭の中を駆け巡っている。だからってなにかを生み出せるわけでもなく、せめて気持ちの端切れだけでもどこかに残しておこうといまデスクトップに向かっている。

なにが起こったのか、3週間経った今でもよくわからない。


仕事では笑顔で働いていた。三交代でキチキチの勤務に出勤していた。

ナースコールは走って取る。時間内に記録も終わらせた。

今日は定時ですね。チンで帰りましょう。そんな話はもはや挨拶と同じくらいのペースでしていたし、チームは協力して働いていたから、比較的早く帰れることも多かった。

プライマリー制度もとっている病院だから、受け持ちも当然ついていたし、受け持ち患者の仕事も逐一こなしていた。わりと回転はよかった。サマリーを残して看護計画も更新していた。

なにが悪かったのか。何が起こったのか。きっかけが思い当たらない。

たしかに体調は悪かった。ずっと悪かった。気持ちの落ち込み、食欲不振、不眠。原因のわからない発熱、吐き気、眩暈。わかりやすいほどに、ウツに片足を突っ込んでいる気はしていた。認めたくはなかったけど。

体力のない人はちょっとの動きで息が切れる。まるでそんな人のように、仕事をしてというより、ただの日時生活で息が切れていた。仕事ではシャカシャカ動いても、家では殆ど寝転がるだけで、夫を困らせた。


時間は止まることなく流れていく。
どんな日も朝がくれば夜がくるし、夜がくれば朝がくる。
息切れする毎日、そして、その日の朝が来た。
年甲斐もなくボロボロ泣いたのに、あれだけ泣いても、何もほどけなかった。


出勤はできなかったけど、上司の自宅に連絡はできた。良いことではないにしても連絡しただけマシだと自分を慰める。色んな感情に押し流されながら。



いつだか、職場の人とこんな話をした。
「急にいなくなるとかやめてよ〜」
「ホントですよね」
「あんた、急にいなくなりそうだから」
「今年の目標、仕事を辞めないですから、ははは」


心が壊れるときというのは、前触れもなく訪れる。
いや、前触れはある。ヒビ割れが見えないだけで。
割れていたうつわに水を注ぎ続けたのは、他でもないわたし自身なのだと思う。


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