マガジンのカバー画像

1日の終わりに。

66
1日の終わりには、その日のことを思い返す時間がある。
運営しているクリエイター

記事一覧

1日の終わりに。2024.3.24

1日の終わりに。2024.3.24

一年分、食ふ分ばかり
手前の味噌を仕込む

わらはの小さきほどは
わらはの手に混ぜさせ
敷き詰めし後
表面を触らせて
わらはの手のひらの菌をつけたりき

今には我がほかに触る人あらず

ただ、歳をとりしために
おばあの屯食のごとく
旨みがいだすべかるべくなれるやもと
おのれの手のひらに淡き頼み持ち
味噌を寝かす

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

一年分、食べる分だけ
手前の味噌を仕込む

子供が

もっとみる
1日の終わりに。2024.3.17

1日の終わりに。2024.3.17

新酒の折節に利き酒
蔵開きへ出向く

軒先には杉玉
杉の穂先を球状にせる造形物は良き酒うようにと願掛けられたり

酒蔵のほかにえ飲まぬ原酒を
見、にほひ、味わひ
やをら、ねんごろに嗜む

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

新酒の季節に利き酒
蔵開きへ出向く

軒先には杉玉
杉の穂先をボール状にした造形物は良い酒ができるようにと願が掛けられている

酒蔵でしか飲めない原酒を
見て、香り、味わい
ゆっ

もっとみる
1日の終わりに。2024.3.16

1日の終わりに。2024.3.16

暖かしな
おどろかば、地面は春真っ盛り
のらぼう菜は椋鳥に食はれ
きはは一面オオイヌノフグリとホトケノザ
かくて、いと恋しきオルレア
この小さきちいさき花弁と花びらがすだきて
葉っぱはディルのごとく
細かなる集合体は美しさ満載

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

暖かいな
気づけば、地面は春真っ盛り
のらぼう菜は椋鳥に食べられ
辺りは一面オオイヌノフグリとホトケノザ
そして、大好きなオルレア
この

もっとみる
1日の終わりに。2024.3.11

1日の終わりに。2024.3.11

桜の蕾を見る折節になりしやと
ぽかぽか暖かくなりしあしたに
眺め眺め風の冷たきあしたに

桃色の膨らみを
らうたく思ふべきけふのおのれに
少し思ひ弛む

さだめて、おどろかばすはといふ間に満開の日を迎へむ

月日は流れ

さだめて、おどろかばけふの日を
え思ひ出さぬほど
歳を重ぬらむ

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

桜の蕾を見る季節になったかと
ぽかぽか暖かくなった朝に
ビュービュー風が冷たい

もっとみる
1日の終わりに。2024.3.10

1日の終わりに。2024.3.10

目所狭くののしれ
ここなるぞとて証のごとく

我らはさる弱くは無き
されどこはくもあらねば

なれば泣くべきなり
かたはらいたき事ならず

明日のある人のみうる事なれば
明日へのしるしなれば

すは息を吸ひてはきて生きたり
一歩一歩 歩めり

たださほどにてありぬべし…

安穏。 我らはすがらにここなるぞ

なればさながらさらけいだして
いで胸を張りて言ふべきなり

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

もっとみる
1日の終わりに。2024.3.9

1日の終わりに。2024.3.9

掛川城の天守閣より見下ろすべき茶室
二の丸茶屋
羽生と藤井の対局も行はれしに
主菓子の羊羹と
なれくらさぬのお抹茶をたまふ

隣には小さき男の子

しかと正座し、手をつきておじぎす

お茶請けのことわりを聞きて
折節をもちて違ふぞかし?と
話せり

始めにお菓子を食ふことも知れり

その手は濃茶と羊羹のうまさを上回りけり

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

掛川城の天守閣から見下ろせる茶室
二の丸

もっとみる
1日の終わりに。2024.3.6

1日の終わりに。2024.3.6

暖冬の年は雪よく降る
春のまだらな雪景色

春の雪はあらまし外に易く消ゆ

昔、卯月に振りし雪の日を思ひ出す
ちょうど入学式
雪の積もる木の前に制服さまに立つ兄と姉

その時の雪もまだら綾なりき

椋鳥もまた雪かと枝にゐる

我もまた雪かと影を撮る

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

暖冬の年は雪がよく降る
春のまだらな雪景色

春の雪は予定外で簡単に消える

昔、4月に振った雪の日を思い出す

もっとみる
1日の終わりに。2024.3.5

1日の終わりに。2024.3.5

寒がらば
雪降れり

傘に降る雪は
水気を帯びたりて
一粒の重みを心地
傘に当たる度に
没没と音を立つ

春先に雪を被る西洋ツゲは
白妙の花を咲かせしユキヤナギを思はす
一粒は花びらのごとく
舞ひそめむ軽さを心地
平平ときこえきもこそ

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

寒いと思ったら
雪が降っていた

傘に降る雪は
水気を帯びていて
一粒の重みを感じ
傘に当たる度に
ボツボツと音を立てる

春先

もっとみる
1日の終わりに。2024.3.3

1日の終わりに。2024.3.3

布作りより手掛けて
一本一本傘を手作りす

雨傘、日傘の受注会
日ごろめでたしなほ知らせ及ぶ

一筆箋の手はやさしく
知らせといふよりは、文(ふみ)

新作の「やまあじさい」の封筒は
楚々とせる山野草のけはひ

手にせる露の間に心奪はる

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

布作りから手掛けて
1本1本傘を手作りする

雨傘、日傘の受注会
いつも素敵なお知らせが届く

一筆箋の文字はやさしくて
お知

もっとみる
1日の終わりに。2024.3.2

1日の終わりに。2024.3.2

白花枝
緑の若芽

わづか少しばかり咲ける白花
無数の白花となる

しなやかなる雪柳
小さき白き花は
心おだしくさする力を持てり

花瓶に刺して
しばし鑑賞す

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

白花枝
緑の若芽

ほんの少しだけ咲いている白花
無数の白花となる

しなやかな雪柳
小さな白い花は
心を穏やかにさせる力を持っている

花瓶に刺して
しばし鑑賞する

1日の終わりに。2024.3.1

1日の終わりに。2024.3.1

下がりの素描用のえんぴつ
画伯なれど、素描は恋し

上手か下手かならず
恋しければ

人に評さるるものはえ描かねど
恋しければ

画伯なれば笑はれば
それもまた良し

そはひとへに平和の象徴

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

お下がりのデッサン用のえんぴつ
画伯だが、デッサンは好き

上手か下手かではなく
好きだから

人に評価されるものは描けないが
好きだから

画伯すぎて笑われるのなら
それもまた

もっとみる
1日の終わりに。2024.2.29

1日の終わりに。2024.2.29

閏年のみ売り出さるる本
「渡り鳥」

四年の月日を経よ
また手にす

通称鴎と呼べり
表紙に空押しに渡り鳥のごとき線画が鴎に見ゆれば

岩谷のめでたき文が八頁
三百五十八頁は余白

二千二十年よりの四年間
その余白には心の暴走書き留めき
麗しき言の葉も書き留めき

二千二十四年よりの鴎には
おのれのごとき言の葉をとぶらひつつ
旅すべく余白と戯れむ
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

閏年にしか発売されない

もっとみる
1日の終わりに。2024.2.28

1日の終わりに。2024.2.28

頭痛く
少しばかり夜空を見上ぐ

木の枝越しに月見えき

枝と月の交差するほど
枝の向かふなる月が
枝押し退けく

遠くの
やわらかなる月明かりは
ひととき
痛みを忘れさせき

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

頭が痛くて
少しだけ夜空を見上げる

木の枝越しに月が見えた

枝と月が交差する時
枝の向こうにある月が
枝を押し退けてくる

遠くの
やわらかな月明かりは
ひととき
痛みを忘れさせてくれ

もっとみる
1日の終わりに。2024.2.26

1日の終わりに。2024.2.26

朝靄が川の上に浮かぶ

おとぎばなしのごとく
映画の一みぎりのごとく

朝日にうつろひて
影のごとく
陽の光は靄の対比を映す

いづこか別の地に訪れしやと
錯覚せむほどに
例の景色は煙のなか

心も時々かくやりて靄かかる

されどそは、案外幻想やうなることなるかもしれずと思はば
少しばかり救はる

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

朝靄が川の上に浮かぶ

おとぎばなしのようで
映画のワンシーンのよ

もっとみる