結城あさのり

文芸サークル「とりま+」の色々

夏の庭

じわじわと照りつける太陽。べっとりと肌にはりつくワイシャツの感覚が気持ち悪かった。右手に持ったラムネの瓶を傾けたり戻したり、同じ動作を何度も繰り返す。カラン、カランと瓶の中でビー玉が軽い音を立てて鳴り続けている。
 何かが足りない。
 青々と茂った雑草が微かな風にあおられてざわりと音を立てる。大川の黒い髪が風に流され視界を遮る。言いようのない不安につつまれて、背中に汗が伝っていく。
 「おーい」

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物書きのみんな自分の文体でカップ焼きそばの作り方書こうよ

フツフツとお湯が沸く音がする 完全に沸騰するのを待たずに中身を注ぎ入れた 。三分が長い。
イライラと台所を動き回る。 そろそろ良いだろう、 勢い良くお湯を捨ててザッとソースを絡める。 勢いよく一口頬張り顔をしかめた。 まだ固かった。

I'll お試し

キラキラと窓ガラスから零れる光。軽快な音楽が流れる中、平田勝吾は重たい足取りで歩いていく。
どうしてこうなってしまったのか。
 町中から溢れる光が眩しくて平田は足元へ視線を落とす。ザワザワと色んな音が混ざり合い、容赦なく平田に襲いかかる。実体のないそれに押しつぶされそうになりなりながら、ただただ流されるように歩いていた。
 すっかりと冷えてしまった手を擦り合わせると、ぼんやりと光を放っている自販機

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鬼灯ランプ

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ジー、ジーと虫の鳴く音がする。辺りは薄暗くなってきて風が心地いい。
薄暗い道を一人歩く。この辺りは、住んでいる人が少ない。若い人は皆、都会に流れていくし、残った人は段々と歳をとって老人ばかり。サンダルをつっかけて適当な格好で出てきてしまったがもう少しちゃんとしてくれば良かったと少し後悔する。脇を流れる水路から静かに水の流れる音が聞こえる。薄紫に染まった空に、少しだけ変な速さで心臓が動く。大き

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パラソル天動説

彼は怒っていた。それはとても大変物凄く。
「だから、ごめんって!」
「絶対許さん」
彼が怒っている理由は、目の前で土下座している人物である。喧嘩ばかりしている二人であるがこれでも彼らは恋人同士なのである。
ことの発端は彼女の物忘れにあった。普段から教室、自宅、コンビニ、駅……ありとあらゆる所に物を置き忘れる。ボールペン、眼鏡、帽子、読みかけの本、本当に何でも忘れていくのだから困ったものだ。その都度

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