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[推し本]続 窓ぎわのトットちゃん(黒柳徹子)/今また広く読まれてほしい

かつて、窓ぎわのトットちゃんを読み、電車の車両を教室として使っているトモエ学園に憧れたものです。小学校の窓からチンドン屋さーん!と呼んじゃったり、上下に開く机をパタパタしすぎたり、いろいろあって公立の小学校を退学になり、今でいうフリースクールのようなトモエ学園に入ったトットちゃん。本人としては精いっぱい考えてやらかしちゃう、そんな天真爛漫な子どもを同じ目線で受け止めるご両親やトモエ学園の小林先生、、、ワタクシ小学生のみぎり、大好きで何度も何度も読んで、大阪市の読書感想文コンクールで賞をいただいたのもいい思い出です。

前作でも戦争の影はあちこちにありましたが、トットちゃんの少女時代は、日本の戦中時代と重なります。今回42年ぶり(!)の続編では、戦争のためにものがなくなっていく様子、九死に一生を何度も潜り抜けたこと、スルメ欲しさで兵隊さんを送りだす場に行ったこと、なんとかたどり着いた疎開先での生活、お嬢様育ちだったお母様(朝さん)の逞しい生活術、バイオリニストのお父様のシベリア抑留など、前作よりも戦争の爪痕がより生々しく、でもあくまで少女のトットちゃんの目線で描かれます。(徹子さんは生涯少女なのだと思います。)

やはり、21世紀に起こったウクライナ戦争の衝撃がきっかけなのでしょう。漢字にはルビをふって子供にも読みやすい文章で、ユニセフ親善大使も務めた黒柳徹子さんが、子供が恐れずにいられることが平和、戦争はあってはならないという想いが滲み出ます。

音楽学校を経てNHK第一期生になったのは有名な話ですが、テレビ黎明期のリアルな第一級資料とも言えます。それにしても徹子さんはパワフルすぎる!

前作同様、いわさきちひろさんの温かい絵の表紙や挿絵でこれも素敵です。

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