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[推し本]この夏の星を見る(辻村深月)/あの数年は何だったのだろう

コロナに青春を直撃された中高生のモヤモヤ、もどかしさ、悔しさ、みんなで我慢我慢、と押さえ込まれたエネルギー、、、。
さすが「かがみの狐城」辻村さんならではのティーンの感情の掬い方で、誰を責めても仕方がない状況が切なく、しかし自分たちの手で未来が開かれていく姿に、一筋の光が浮かび上がってきます。
登場人物たちが星の観測をするために空を見上げ、遥か彼方の悠久の宇宙に想いを馳せる時、誰にも邪魔されない自由と解放感があるのがいい。そう、あの時は誰もが、気兼ねなく息をすることも難しかった。

茨城、渋谷、五島列島と、こういうことでもなければ繋がることもなかった中高生どうしが繋がり、リモートで星の観測をする一夏を軸に、ザ・青春な成長物語で読後感もミンティア級に爽やかです。

世界中の誰もが巻き込まれたコロナ禍、様々な動きが停滞したあの数年は一体何だったのだろう、と今になると思います。
この時代を描く限り、コロナをなかったことにした物語はやはりありえないでしょう。
こちらもコロナ禍が描かれた本たちです。


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