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[推し本]考える脚(荻田泰永)/生き方を楽してアウトソースしようとしない

無補給で!、単独で!!、徒歩で!!!、北極点を目指すなど常人には想像もつかない挑戦ですが、これは、その挑戦をし続ける荻田さんの著作です。
容赦ない厳しい自然の中では、あらゆるリスクに神経を研ぎ澄ませ、食糧計画、方角の確認、天候の読み、行くか留まるか迂回するか撤退するか、その一瞬一瞬に客観的な事実による冷静な判断と正しい行動ができたものしか生き残れません。
特に北極海は近年の温暖化で、氷が溶けて進めないところがどんどん増えているそうです。数年前は大丈夫だったところが、今は溶けている、など。また、凍っていても基本は海に浮かぶ氷なので、海流によって、苦労して進んだ距離の半分も押し戻されながら進んでいくのです。・・・想像を絶する挑戦です。

北極の次は、カナダからグリーンランドへの徒歩行(ちょっと最初意味がわからなかったのですが、地図を見るとカナダとグリーンランドの近接点があるのです)、南極点への徒歩行と、どうしてそんなしんどい思いをして冒険をするのか。

荻田さんが、一度しかない人生に、この世に、自分の知恵と工夫と身体を通じて得た経験によって、確信をもってコミットしていく様はカッコいい。先人の挑戦者たちの成功や失敗からも謙虚に学び、思考実験だけでなく、仮説検証を繰り返し(そうでなければ死に直結する)、誰かがそういった、このブランドだから大丈夫、といったことに簡単に与しない生き方を実践しているのもカッコいい。生き方を楽してアウトソースしようとしない。簡単には真似できませんが、彼としてはこういう生き方しかないような気もするのです。
単独行で冒険する荻田さんですが、イヌイットとの交流や日本でのスポンサー獲得での様々な企業の人との関わりなど、荻田さんも荻田さんを応援する人も本物を見分ける目というのがより冴えるのか、すごく深いところで信頼関係があるのも魅力的です。

2021年に冒険研究所書店開店。

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