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【発達障害】自分の主体性の育て方

■発達障害者の主体性

 発達障害、特にASDを抱えていると、自己の客観視が困難だったり、経験する自己が弱く言語化が苦手なことで自分の意見を持てなかったり、将来を想像することが苦手で自分でキャリアを形成するのが苦手になりがちと言われています。

 自分ももれなく想像力が乏しく主体性がないため、自分の人生が他人事に感じていました。

 自分が就職する頃には、社会人として求められるスキルにコミュケーション能力が必須になり、義務教育で学んだことが、あまり就職に役立たなかったと感じることがあります。そして、「グローバル化の進展」「労働人口の減少」「産業構造の変化」という時流が、新しい社会で生きていくために必要とされる主体性の育成や獲得といったキーワードが躍るようになりました。
 義務教育ではお上の言うことに従い、物事を忠実にこなす教育を真に受けた自分にとって、それは戸惑いでしかなかったです。 

 発達障害がある人にとって特に一定のハードスキル(仕事をする能力)があり一旦は社会に出てから困難を抱えた場合は、自己理解を通して主体性を獲得することは、機能面の改善以上に社会生活において大いにメリットがあると感じます。


■発達障害の診断を受ける前

 発達障害の診断を受ける前の数年前から「自分は発達障害かもしれない」といった思いがありましたが、自己診断で障害者と名乗ると所属している共同体から「本当の障害者に対して失礼」「都合よく障害を利用するな」といった感じで非難されるので、あまり障害のことを深く考えませんでした。
 そのため自分が感じていた「空気が読めない」や「こだわり」のことも意識はしていましたが、そこまで調べようとも思いませんでした。

 自分の主体性に対する意識は、もちろんそこに自分がいて、感じ、考えている実感はありましたが、今と比較すると主体感は相当乏しかったと言えます。まさに日常的に自己をあまり意識せずに「自動的」に生きていた可能性(広沢、2010)があります。

 さらに、他者も確かにそこに存在し意識はしていたものの、他者の心の存在を輪郭を持って意識できていなかったです。ASDの特性に「心の理論」の弱さがありますが、当時は「心の理論」を意識していなかったので、他者の心の存在を上手く意識することができず、対人トラブルをおこしたりイジメを受けるなど、なぜそうなるのかを理解できませんでした。

 また、環境と自分に対する紐付けが弱く、自己概念が乏しいためか、ただ刺激に対して反応するようなプログラミングされた機械のように生きていました。そのため、発する内容に対して「正論バカ」「ただの一般論」と揶揄され「人としての深みがない」と言われることもありました。

■障害受容と主体性獲得に向けたトレーニング

 発達障害の診断を受け、自己理解を深めるべく発達障害について学んでいるうちにASD者が自己概念が弱く、場合によっては主体性の獲得が困難で一種の「生きづらさ」につながりやすいことが書かれていました。
 そのため、主体性をどのように獲得すれば良いのかを思案していました。そんな中、過去に読んだ本でふと「嫌われる勇気」が思い浮かびました。
 この「嫌われる勇気」には「課題の分離」という概念が紹介されており、社会生活を営む上で、自分の課題とそれ以外の他者の課題が存在し、それを分けて考えるという視点を知ることができました。これをきっかけに「自他分離」という概念を意識することができるようになりました。この感覚は自他分離が元々曖昧になりがちなASDを抱えていると自然に習得するのが難しいと感じます。

 さらに、その「自他分離」を意識して多様な状況で自他分離の区別をつけるトレーニングを課しました。他にも当事者会などで「自他境界」について学んで理解を深め、少しずつ日常生活で実践していくことを心がけました。

 他には最近言われている「自分軸」という観点から、自分が感じる感情や思考を言語化しアウトプットするようにしました。このnoteやスタンドFMはその一環だったりします。
 さらには価値観マップなどを作成しました。詳しい内容は過去記事を参考にしてください。これらの作業は自分が何を考えているかを整理するのにとても役立ち、改めて主体性を持ちたいと思うきっかけになりました。
 月並みですが「言語化」することはとても重要だと確信しています。

■主体性を感じるようになって

 ある時から、「自分で考えて意思決定しているな」という感覚になりました。そして障害を知る前は自動的に生きていた自分の行動が、論理的に一貫していないことに気づかされ、本当の意味で自分で考えるということが何であるかについて感じることができた気がします。

 この時、「自分は自分の人生を生きているのだ」と言っても過言ではないという変化が頭の中で起きていました。まず本当に「自分が考えている」という実感を得られるようになりました。それは先にも述べた通り、現在と比べると「自動的、受動的」に生きていた感覚が強いです。

 次に自分の軸がそれなりにできてきたと感じます。それにより昔より優先順位をつけることに迷いがなくなり(上手くできない時もありますが)、自己不全感が軽減しました。そして何より自分の人生を自分でコントロールできているという実感が出てきたため日々のストレスも和らぎました。

 他には障害開示や自他分離の意識、環境を俯瞰することで「対人トラブル」もかなり減ってきたなと思いますし、お陰様でイジメを受けることもなくなりました。

 このように例え時間がかかったとしても、自己感覚を養うことは生きていく上で非常に大きな価値を感じますし、いわゆる「生きやすさ」に直結すると思います。

■主体性の育て方

 今回は、発達障害を抱えていると自己概念が乏しく主体性を持ちづらい特性があるとされ、主体性を育てる過程を自分の経験談として書かせてもらいました。

 まとめると、「障害特性の理解」「自他境界を知る」「自分がどう生きたいかを言語化する」ことを日々積み重ねていくことだと思います。

 人それぞれだと思いますが、ふと気づくと「自分軸」というものが、自身の内面に現れるのかと感じます。
 非常に抽象的で個人の感覚ですが、「主体性」や「自分軸」について考える人にとって何かの参考になれば幸いです。
 ここまでお付き合いいただきありがとうございます。

 
 


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