キツい酒、キツい酒……。訳より先に酒が出る。疲労がぐっぽりと溜まり、身体中から赤黒い膿が滲み出ている。にゅる・にゅる・にゅる・と。決して、呑まなきゃやってやれないというわけではないんだ、と自分に向かって弁解する。ただ、このままではきっと眠れないだろうと思っただけさ。
ERIC DOLPHYの『LAST DATE』をかける。いったいぜんたい、いつからこんなレコードが部屋に置かれていたのか思い出せない。僕は村上春樹に盲信し、ジャズという音楽を村上春樹というフィルターを通して
ジャズは夜の音楽だ、とスタン・ゲッツは言った。夜はダークで、憂いがあって、そしてあらゆる自由を孕んでいる。石川紅奈の声はまさしく夜の声だ。楽器のように音色豊かに響く声。自身が弾くウッドベースは、音楽に重みとリズムをもたらす。深まっていく夜に潜るには、これ以上ないくらいにぴったりな組み合わせだ。
ボーカリストとしての石川紅奈を聴きたいなら3曲目の「Bird Of Beauty 」や5曲目の「Off The Wall」もいいけど、夜に深く沈みたいなら4曲目の「Olea」がい
久し振りにサイモン&ガーファンクルの『サウンド・オブ・サイレンス』を聴いた。
Hello darkness,my old friend.I've come to talk with you again・・・
ハロー、僕の旧友よ。また君と話しに来てしまったよ・・・
ポール・サイモンがこの曲を書いた1963年、折しもアメリカでは黒人の公民権運動の波が高まっている頃だった。彼の大学の無二の親友も白人運動家として熱心に参加していたが、その年の夏、行方不明とな