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桜を見る目があるうちに

 富岡町の夜ノ森桜――。2023年4月1日までは、「帰還困難区域(福島第一原子力発電所事故の影響による立ち入り制限区域)」として、バリケードが設置され、立ち入ることができなかった区域。道中のさびれた看板や崩れかけた建物を横目にしつつも、6号線を南下し、夜ノ森駅に到着すると、あいにくの雨にもかかわらず花見客でごった返していた。

 雨の影響もありあまり長居できなかったけれど、撮った写真を見返すと雨のしずくがなかなかいい味を出してくれていた。








 桜が咲いてくれている期間は思いのほか短いし、この時期はほとんど仕事に忙殺されている。だから毎年桜の季節を見逃してしまうし、今回の遠征も少し無理して行った感じはあるけれど(天候の運にも見放されてしまったし)、こうして撮った写真を見返す時間はやっぱり悪くないなと思う。
 人生であと何度桜を見られるだろう――なんてね。坂本龍一のような感受性を持てない人生だったけれど、美しいものを享受する権利は誰にでも等しく与えられている。少しでも多く、開かれた美を受け取っていく人生を送りたい。


※また、富岡町から30分ほど6号線を北上すると道の駅「なみえ」があります。昼食含め、なかなかいいところです。


 次は近場の公園の桜。自分の生活圏内で桜を見ると「あ、春が来たんだな」って思うよね。なんだかんだ、桜とはそういうものかもしれない。
 半袖のトレーニングウェアで、家族連れの隙間を縫うようにしてこそこそ写真を撮っている無精ひげを生やしたおっさんを見かけていたら多分それが僕です。気にせず楽しんでください。僕は僕で勝手に楽しみますから。




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