Eisuke Takehara

子どもたちに伝えたいこと。 日々おもうこと。 教育者として思うこと。

Eisuke Takehara

子どもたちに伝えたいこと。 日々おもうこと。 教育者として思うこと。

最近の記事

「生きていく」を楽にする考えを1つ

※ 方法論ではなく感情の話です. 昨今の教育現場ではキャリア教育と称して,小学校段階から「生きること」「働くこと」を教育現場に入れるようになりました. それはよく言われる「良い大学に入って,良い会社で働くこと」というモデルケースが本当に正しいのかを再び考えるきっかけになりました.00年代でも戦争があったり,不景気があったり,本当にこの世の中は永続的なのかを考えさせられました. 一方で,キャリア教育という言葉が先行し,「やりたいことを見つけよう」「やりたいを仕事にしよう」と

    • 「グローバル」を考える①:ローカルとグローバル

      いつからか日本の教育界はグローバル教育の推進のもと,高等教育機関も中等教育機関も英語教育に力を入れ始め,外国語圏(特に英語圏)の文化を知り、学習していく流れができてきました. グローバルな視点で物事を見たり, 海外の知見を取り入れて課題解決に取り組んでみたり, これはこれで必要なことではあると思います. しかし一方で,グローバルばかりに目をやりすぎてローカルが疎かになると,なんのためにグローバルを学ぼうとしているのかわからなくなってきます. その結果,何が起こるか. 「

      • 生成AIと子どもが得るべき力とは

        昨年の新語・流行語大賞では「生成AI」が選出されました. 確かに生成AIは教育界にも衝撃を与えました.GPT3.5が登場したときは「これで論文が人間の手で書かれなくなる」と騒がれたのは久しいですが,最近ニュースにChatGPTが以前ほどは登場しなくなりました.私はよく使っていますし,自分の「ChatGPTくん」を作成しています.仕事でも活用して付き合い方を模索しているところです.デジタルの力のすごさと将来性は必ず今後の教育にも影響を与えることになるはずです. そのため,学校

        • 学習目標を立てるとは

          仕事をしていても学習をしていても「目標」を立てることは重要だとよく言われます. 目標立てずして仕事や学習をすることは荒野をやみくもに歩くようなもので,仕事の目的や学習の目的がないと「なんのためにしているのか」がわからなくなり,歩みが止まってしまうから,と言われます. だから目標を立てることは重要だといわれるのです. ただ,目標の立て方には2種類あると考えられます. それは ①定量的な目標の立て方 ②定性的な目標の立て方 があります. 私は英語に関わっているため,それを例

        「生きていく」を楽にする考えを1つ

          個性に合わせた教育を考える

          「個性を大事にする」 「個性に合わせて教育を行う」 このような言葉が聞かれるようになって久しいですが,この教育を行うためにはどのようにすべきなのか,考えていきたいと思います. 「個性」とはその人の性格や能力や気質,資質といったものを総合的に見たときに現れてくるものです. そのため,算数や理科の「成績が良い」から理系である,とか両親や兄弟姉妹に優しく接するから「優しい」性格であるという一側面で判断できるようなものではありません. 以前受け持った生徒に,5段階評価で,国語「4

          個性に合わせた教育を考える

          「英語を学ぶ」という未来を想像する

          現在,AI技術の発展に伴い,語学学習は本当に必要なのだろうか,と議論されることがあります. 確かに,数年前ポケトークを初めて触れたときにはその翻訳の正確性や速さに非常に驚いたのはよく覚えています. またYouTubeの自動字幕生成と翻訳機能が結びつけば,「自動翻訳」はかなり現実性が結びつき,きっと,「かければ相手の言葉が勝手に自分の言語に翻訳された言葉が視覚的または聴覚的に認知できるようなメガネ」が開発されるだろうと思います. そこで,我々人間はこのような世界が想像できるの

          「英語を学ぶ」という未来を想像する

          英語の授業における表現活動の再考

          英語科の授業で行われるの表現活動というのは,たいてい以下のようなものでしょう. 自己紹介 1年間の思い出 3年間の思い出 スピーチコンテスト(あるテーマに関する自分の考え) 英語の授業における表現活動(アウトプット活動)の内容に目を向けると、以下のような「日本語」になることが多いかと思います。 私の名前は〇〇です。 私は15歳です。 私は△△出身です。 私の好きな食べ物は▢▢です。 私は✕✕を飼っています。とてもかわいいです。 私には兄が1人います。 彼の名前は◇

          英語の授業における表現活動の再考

          「かわいい子には旅をさせよ」は「親よ、子離れせよ」

          子どもができると、自分が小学生のときに学んでいたものを思い出す良い機会になることが多いですね。 季節を意識することや、その月々に行われる行事なども大人だけだとさらっと流してしまうこともありましたが、子どもの制作物やおたよりで意識させられることもしばしばあるものです。 その他にも、学習内容であれば、百人一首や諺も懐かしさを覚えることもあります。 特に個人的には、諺は先人たちが過ごした時間の中で紡がれた短いフレーズであり、それは現代の世においても色褪せることはありません。 猫に

          「かわいい子には旅をさせよ」は「親よ、子離れせよ」

          思想と行動

          今年に入り、哲学を少々勉強してみようという気になり、読み返したり、ギリシア哲学や中国の思想家を調べたりしている。 本当にかじっている程度ですが、2020年頃に「哲学を専攻した人間はmiddle ageになるころには給料が最も高い」という記事を発見し、衝撃が走りました。 次のリンクはそれとは違うのですが、Salary GrowthではPhilosophyは最上位であるとグラフに書かれています。 現在は特に陽明学を調べているのですが、なかなか現代の日本では聞かない名前です。

          教員や大人が行動すべきこととは?

          ・SDGsを考え、行動できることを探る ・AIは、地球との共存と少子化を解決するために使うもの 学校教育の太い幹は人格形成であることは間違いない. しかし,教員志望者の減少は教育の質の低下を招きかねない. 同時に,少子化は偏差値が昔と同じでも,その数値は相対的なものであるため,質は低下していると言われている. そこに生成AIの登場で教育には大きな影響を与えるものだと考えられるようになった. 確かに,生成AIは高等教育機関をはじめ,中等教育にも影響は与える. 論文,レポート

          教員や大人が行動すべきこととは?

          部活動の地域移行についての私見

          教員はめちゃくちゃ忙しい. その勤務時間や勤務内容を軽減するために部活動を教員以外の大人が担うという動きがある. それはそれで教員は助かると思う. 教員の働きは,いわゆる売り上げや収益には関係ないので,部活動が減っても「企業」のような母体の利益の増減はまったくないと言ってよい. そして教員としても部活動をしなくてよいのなら,16時からは教材研究や生徒対応,保護者対応に時間を使うことができるのであれば非常に助かるのだから,ある意味Win-Winなのだろう. 問題はどこにある

          部活動の地域移行についての私見

          コラム:子どもの「なぜ」地獄のわけ

          子どもを育てていると「なぜ地獄」が起こりませんか? パパ、なんで自転車に乗るの? パパ、なんで自転車って速いの? パパ、なんで電車って速いの? パパ、なんで電車が速いのに自転車なの? パパ、なんで車じゃないの? パパ、なんで公園いかないの? パパ、公園行きたい。なんで?公園じゃないの? ねえ、なんで? パパ、なんで? 質問が5,6個続いてくると何かふつふつと沸いてくるものがありますね。 心に余裕があるときは「知りたいことが一杯でいいなぁ」。 余裕がないと「ちょ、ちょ

          コラム:子どもの「なぜ」地獄のわけ

          夏休みの宿題についての私なりの考え

          新型コロナウイルス感染症の感染者数が夏休み直前に激増し、「この後どうなってしまうのか、貴重な夏休みがまた『自粛、自粛』となってしまうのか」など不安が多かったところではありますが、ニュースを見る限り、昨年よりは旅行者数も増えたようで各々が素敵な夏休みを過ごせたのであれば大変喜ばしいことと思います。 もちろん、感染されたり、不安を感じられたりして描いていた夏休みを過ごせなかった方々にとっては辛い日々であったと思います。早くのご快復をお祈り致しますと共に、早く皆様が安心して過ごせる

          夏休みの宿題についての私なりの考え

          差別、インクルージョン、ジェンダー:「生理的に受け付けない」をどう対応するか。

          今回の記事はまとまっていないので、読みづらく申し訳ありません。 LGBTQ+やジェンダーについて生徒と話したり、生徒同士が話したりすることは必要なことだと思うので、話題にあげて時間を取っています。 インクルージョンとは、「多様な人々が互いに個性を認め、一体感を持って働いている状態」ということ。 結構、この「個性」という言葉が引っかかる。 つまり、LGBTQ+の個性についてだけではなく、LGBTQ+を受け入れられない人の個性も認めることもダイバーシティを認めることになる

          差別、インクルージョン、ジェンダー:「生理的に受け付けない」をどう対応するか。

          「自助・共助・公助」の観点で考える学費というハードル

          今回は、首都圏の私立学校に焦点を当てて話していくので、そぐわないこともあるかと思います。ご了承ください。 社会保障の始まりは16世紀イギリスと言われており、困窮者の中で「働ける者」と「働けない者」を選別し、働ける者には働くよう働きかける。これが、自助。 一方で、怪我や病気によって働けないと判断した場合は、援助する。これが公助。 年金のような社会保障制度は共助。 このように世の中には、生活困窮者には国民全体から集めた税金を活用し助ける制度や社会保険料から共に助け合う制度が

          「自助・共助・公助」の観点で考える学費というハードル

          学ぶ子、学ばない子。経験なくして学びなし。

          現在では、初等教育機関に留まらず、幼稚園でも、また乳児、胎児にまで英語教育を行うような時代になっており、その効果の検証はなされないものが親の不安を煽り、結果金を出してしまうようなことがある。(私も興味本位で幼児用英語学習用のCDやDVDを購入してしまいました。) 「幼児教育」 「脳力開発」 こう呼ばれるものは個人的には疑わしい目で見てしまいます・・・。 と言いながら我が子のことになると「したほうがいいのかな」と思ってしまうのが、感情に流されてしまう親というものなのでし

          学ぶ子、学ばない子。経験なくして学びなし。