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『野の医者は笑う』読了 どこの上下関係もおんなじ 

※ネタバレ注意

あらすじ

筆者が、怪しい”野の医者”の生態を探るため、沖縄のスピ系ヒーラーを渡り歩く。
その中で、”野の医者”とは何なのか、そして臨床心理学とは何なのかについて考える。

”野の医者”と臨床心理学の共通点

結論から言うと、”野の医者”と臨床心理学は、共通点がある一方で、大きく異なる点もある、ということだ。

共通点というのは、患者が各々の治療法を信仰することで、心身症状を治癒させるということである。

まず、各々の治癒のあり方は異なる。
派閥によっても、なにが治癒でであるかさえも異なってくる。

その中で、セラピストが異なる治療法を患者に施し、生き方を与える。
つまり、患者が各々の治療法を信仰し、思い込むことで、効果が出る。

このプロセスにおいては、”野の医者”と臨床心理学は同じである。

”野の医者”と臨床心理学の相違点

一方で、信仰する治療法を疑う姿勢が、臨床心理学にはあり、”野の医者”にはない。

というのも、臨床心理学を信仰するものは、この学問がどういうものなのか、何が正しいのか、その存在を客観的に考える。

その考えによって、研究が生まれ、しなやかに形を変えていく。

(信者たちが研究のスキルを持つものが多いということも影響するだろうが…)

このような、冷静な教祖を訝しがる視点というのが、臨床心理学を学問足らしめていると考えた。

最後に

半年ほど前に読んだ本なので、どこまでが本書の記述か、自身の考えなのか忘れてしまった。なんてまとまりがなくふんわりとした文章…。

この曖昧な記憶の中でも、一つだけ断言できる本書の魅力は、”砕けている”ということである。
心理職の本は、指南書や学問書などの堅苦しいものが多い一方で、この本はそれがなかった。

この砕けた語りで、”野の医者”研究の様をエッセイとして綴られている。

その中で、界隈の上下関係などの表立って述べられにくいようなことが、痛快に述べられていて、本当に面白かった。

気になっている方は是非。

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