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税務職員がよく見るちょっと残念な確定申告5選

いよいよ確定申告・住民税申告の時期になってきました。
税の仕事に関わり、毎月、数百から数千枚の確定申告書を見ていると、とても惜しくて残念な税の申告の内容に出くわすことがたびたびあります。

還付を受けるためにせっかく確定申告をしているのに、残念な申告をしてしまったせいで意図した還付が受けられないということがあります。

中でも個人的に特にちょっと残念だと思う申告は、次の5つです。

今回は、まず1つ目のふるさと納税ワンストップ特例でのちょっと残念な申告内容をご紹介したいと思います。


  1. ふるさと納税ワンストップ特例申請後の確定申告

  2. 住宅ローン控除の源泉徴収票記入漏れ

  3. 年少扶養(16歳未満)と住民税非課税

  4. 意外に使える雑損控除

  5. 配当控除と申告不要制度

1.ふるさと納税ワンストップ特例申請後の確定申告


税の相談を受ける中で最も多いものの一つに、自分のふるさと納税の限度額を知りたいという質問があります。
ふるさと納税の限度額については、その人の所得や各種控除額に応じて変わるので、一概に答えることは難しいのですが、おおよその限度額であれば、総務省のホームページの限度額早見表から分かりますので、ここでは割愛させていただきます。

ふるさと納税を行う際、後々わずらわしくなる確定申告を省ける手段として、ふるさと納税ワンストップ特例制度があります。

ふるさと納税ワンストップ特例制度とは、確定申告を行わなくても、ふるさと納税の寄附金控除が受けられるしくみです。
ふるさと納税の納税先の自治体が1年間で5自治体までであれば、この制度を利用できます。

しかし、ここまでの説明しか見ていないせっかちの人が一定数おられるようです。

各自治体や、さとふる、ふるさとチョイスのようなふるさと納税を仲介する業者では、必ず次のようなワンストップ特例の注意事項を明記しています。

ワンストップ特例制度の注意事項
・控除対象は住民税のみ
・ふるさと納税をする都度、ワンストップ特例申請書の提出が必要
・「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」の送付締切に注意
・申込内容が変わった場合は期限までに変更届出書の提出が必要
・確定申告を行うとワンストップ特例制度による申請は無効

このうち、特に重要なのが最後の「確定申告を行うとワンストップ特例制度による申請は無効」という箇所です。

つまり、ワンストップ特例制度を利用している人が、確定申告の時期になって、医療費控除を受けようと確定申告をするときには、再度、寄付金控除の額を含めて申告をする必要があるということです。
 
ふるさと納税をするタイミングと、その翌年に確定申告をするタイミングがズレていることで、先の注意書きを忘れてしまうこともあると思います。

このことを知らずに、寄付金控除額を省略して確定申告をしてしまうと、還付を受けるつもりが、逆に追徴をされることもあります。

このように、ふるさと納税ワンストップ特例制度は、確定申告をする人は要注意です。

ちなみに、誤って寄附金控除を忘れて確定申告をしてしまったとしても、修正申告をすれば、大丈夫ですのでご安心を!

今回は文章が少し長くなってしまったので、ここまでにします。

次回は、住宅ローン控除での惜しい申告についてお話ししたいと思います。

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