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メモ読) 気候カジノ_第 Ⅰ 部 気候変動の起源

勉強用に読んでいる本
ノートにメモっていたのですが、どうせメモするnoteならOPENにメモしようと思って、ここでメモ

第 Ⅰ 部 気候変動の起源

第1章 気候カジノへの入り口

 地球温暖化は人類と自然界にとって大きな脅威である
 「我々は気候カジノに足を踏み入れつつある」= 経済成長が、気候システムと地球システムに意図せぬ危険の変化をもたらしている
 ロードマップ
  第 I 部 地球温暖化の科学について概要
  第 Ⅱ 部 気候変動による影響の分析
  第 Ⅲ 部 気候変動政策の経済的側面
  第 Ⅳ 部 気候変動政策に関する主な疑問の考察
  第 Ⅴ 部 地球温暖化政策の行く手を阻む大きな障害
地球温暖化の科学、影響、政策の循環フロー(図表1−1)
 (経済)経済成長により二酸化炭素が排出される
  ↓
 (気候)二酸化炭素濃度の上昇やその他の理由により気候変動が起こる
  ↓
 (影響)気候変動が生態系や経済に影響を及ぼす
  ↓?
 (政治)気候変動政策により二酸化炭素排出量が減少
  ↓?
 (経済)

第2章 二つの湖のエピソード

アメリカ ニューイングランド地方南の塩湖
中央アジア アラル海
 かつて4番目に大きな湖
 半世紀で10分の1に縮小
 限界耕作地にアラル海に水を引き入れるために河川の流れを変えた
まずは、どのような破壊的力が働いているのか理解する
その上で「科学的分析」「綿密な計画」「すぐれた制度」「市場と適切なチャンネルづくり」

第3章 気候変動の経済的起源

なぜ気候変動は経済問題なのか

 人間活動のほぼすべては、直接的間接的に化石燃料燃焼につながっている(★)→ 大気中に二酸化炭素が排出される → 二酸化炭素は長年にわたって蓄積されて地球の気候を変える → 深刻な被害をもたらし得る様々な変化を引き起こす
問題:二酸化炭素を排出する人がその特権の対価を支払うことも、排出によって害を被った人がその代償を受けることもない点
外部性:排出された二酸化炭素によって生じる損失はコストとしてカバーされていない

なぜ地球環境が特別な問題なのか

 1、この問題に地球規模の外部性が存在し、化石燃料の使用など世界の人々の日々の生活から生じること
 2、何十年、何百年先まで、地球や人類、自然環境システムに影響を与えること

なぜ二酸化炭素排出量は増えているのか

出発点は人間とその日常生活
我々の活動でその過程に二酸化炭素が含まれていないものはないと言って過言ではない
代替燃料の方がお金がかかる
平均年2.6%の割合で二酸化炭素排出量は増えている
世界人口 20億人(1900年)→70億人(2012年)
GDPは増加しているが、二酸化炭素排出量の伸び率はGDPほど急激ではない
脱炭素化の理由
 1、ほとんどの製品で1単位あたりの生産に必要なエネルギー量が減少
 2、経済構造の変化によって、エネルギー集約型産業、活動からそうではないもの(IT、製薬・医療関連など)へ移行しつつある
 3、炭素強度の高い燃料(石炭など)から低い燃料(天然ガスなど)への移行、さらには、再生可能エネルギーや非化石燃料(原子力や風力)へのエネルギー転換
エネルギー効率は時代と共に向上しているが、そのスピードは排出量の増加を食い止めるには不十分

モデル ー 理解するためのツール

気候変動の予想
 第一ステップ 二酸化炭素やその他の主要な温室効果ガスの将来の排出量推定する
 第二ステップ 排出量の推定値を気候モデルや、他の地球物理モデルに入力し、二酸化炭素濃度や気温などの変数がどう変化するか予測する
モデルとは、複雑な現実を簡略化したイメージ
気候モデルとは、いくそうもの大気と海洋を含めた地球を数値的に表現し、分単位から時間単位という短い時間ステップでシミュレーションするもの

統合評価モデル
気候だけでなく気候変動の化学や経済学の他の速滅っも含んだ包括的モデル
 経済成長、二酸化炭素の排出、気候変動、経済への影響、記憶変動政策の効果測定など

DICEモデル(Dynamic Integrated Model of Climate and the Economy)
イェール大学で開発
経済・エネルギーモジュール…さまざまな地域の将来の経済成長、二酸化炭素排出量
小規模な炭素循環モジュール、気候モジュール…世界平均気温
経済の規模と気温上昇の程度から損失の計算も可能
政策モジュール…二酸化炭素排出量を制限するか、二酸化炭素に価格をつけることで排出量を削減できる

予測 ー 基本的な考え方

二酸化炭素排出量は、人口、1人当たりGDP、GDPの炭素強度により決まる
二酸化炭素の増加率は、3つの増加率の和に等しい
排出削減には、人口増加率を下げる、生活水準の上昇を抑える、炭素強度を低下させる(脱炭素化)の3通り
現在の経済学者たちは、経済成長に痛みを伴う制限を課すことに焦点を当てるよりも、低酸素技術に向けて経済の舵を切ることに重きを置いている
EMFモデル … スタンフォード大学で開催されたエネルギーモデリングフォーラムによる後援のもとで研究されたさまざまな統合評価モデル
EMFモデルの平均値とDICEモデルの予測結果はほぼ一致

気候カジノにおける二酸化炭素排出量予測の不確実性
全てのモデルが、二酸化炭素排出量の継続的な増加を予測(増加率年0.5-1.7% 増加率が年1.2%の場合、排出量は100年間で3.3倍)
将来の二酸化炭素排出量の不確かさ。排出量増加の決定要因になる、将来の経済成長や技術革新、エネルギー利用に関する推定量がモデルによって異なることに起因。最大の未知数は世界経済の今後の発展に関する不確実性

不確実性への対処に関する経済研究の結論は、GDP、人口、排出量、気候変動に関する最も有力なシナリオからスタートし、この最有力ケースの損失と影響に最も有効に対処できる政策を選択する
次に、低頻度大規模リスクの可能性について検討し、危険な結果に備えて保険をかけるべく、追加の策を講じる
ただし、それらの問題が消えてなくなると絶対に期待してはいけない

第4章 将来の気候変動

気候変動の科学

「気候」とは通常、数ヶ月から数千年までのさまざまな期間における、気温、風、湿度、雲量、降水量などの統計的平均や、変動性として定義される
「気候変動」とは、長期的に見た際の、こうした統計的性質における変化である
気候(climate)は、一時的な気候プロセスの状況を占める「気象(weather)」とは異なる
気候は予期するもの(厳冬など)、気象は実際に起きるもの(一時的な吹雪など)
本書では「地球温暖化」と「気候変動」を同義語として使用する

排出から蓄積まで

「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」…気候変動科学の評価を行う国際機関
1958年 マウナロア観測所にて二酸化炭素濃度のモニタリングが開始
半世紀で25%上昇している
氷床コアを用いた研究によると、二酸化炭素濃度はこの100万年ほどの間、190ppmから280ppmの範囲で遷移していたが、今日の濃度は390ppmを超えている
このことから、地球はホモサピエンスが出現した時代に見られた二酸化炭素濃度の範囲を大きく逸脱している

二酸化炭素濃度の上昇は気候をどう変えるのか

太陽から感じている熱は、放射エネルギー、あるいは放射熱と呼ばれる
太陽から届くエネルギーの大半は目に見えるが、高温で波長が短い
高温放射の約3割は宇宙に跳ね返される
残りは大気と地表に吸収され、地球が暖められる
二酸化炭素やメタン、水蒸気などは地球が受け入れとる高温の放射熱よりも、地球から出る暖かい放射熱を多く吸収する
放射熱が地表付近で留め置かれるため、地球の平衡温度は上昇する「自然の温室効果」
温室効果の強化には収穫逓減の法則が当てはまる(一定の土地から得られる収穫は、資本や労働の投入量を増やすほど高まるが、収穫の増加は次第に小さくなる)
人類が過去数千年間で数千年間で全霊のない大規模な地球物理的変化を引き起こしていることは、科学的に見てほぼ間違いない
海水温の上昇、氷河や氷床の融解、極域での温暖化の増幅、成層圏の寒冷化、北極海における氷帽の縮小など、他の「指紋」もくっきり表れている
自然変動ではなく、温室効果ガス由来の温暖化に連動している

将来の気候変動予測

大気中の二酸化炭素濃度が70年かけて倍増した場合、70年後の気温上昇は1.8 ℃、その後二酸化炭素濃度が安定した場合の平衡気温の上昇の平均3.0℃強
気温上昇幅に関する不確実性は、この基本的な温室効果を抑制または増幅させ得る追加要因が、モデル開発者によって組み込まれることで生じる
温室効果を増幅させる最大の要因は、気温上昇に伴う水の蒸発量の増加
モデル開発者にとって雲は地球を冷やしも温めもしうるものであり、雲の形成をモデル化することは極めて困難であり、モデル間で差を生む要因の一つになっている

今後100年間の気温予測

EMFモデルもRICEモデルも2100年にわたって平均気温上昇幅を1900年の平均気温から3.5℃と予測している

重要な結論

  • 現在の二酸化炭素濃度は少なくとも過去65万年間で地球が経験した基準を大きく上回っている

  • 1900〜2100年の世界の平均気温上昇幅は、シナリオによって1.8〜4.0℃である

  • 21世紀における海面上昇の推定は、シナリオによって18〜60センチメートルである。ただし、これは巨大氷床の影響を除いた数字である

  • 陸地では世界平均を上回る速度で上昇する。北極圏ではそれがさらに加速すると予測される

  • 北極海では21世紀末までに広範囲で夏季に氷が消滅する現象が起きると予想される。もっと早い時点で起きる可能性もある

  • ハリケーンの兄弟化が予想される

  • 大気中の二酸化炭素濃度の上昇が、海洋酸性化の直接的原因になると考えられる

  • 多くの地域では暑い日が増え、寒い日が減ることになるが、それ以外の極端な現象については、今のことろ明確な兆候がつかめていない

  • 多くの予測が抱える不確実性の一つは大気中を浮遊するエアロゾルと呼ばれる微粒子の作用と影響である。エアロゾルは地球を冷やすと考えられているが、この冷却効果の程度や地理的範囲を判断することは難しい

地球温暖化政策が実施されなかった場合、中位推計では、2100年までに世界の平均気温は1900年の水準を3.5℃上回り、この推測に関しては大きな不確実性がある

第5章 気候カジノの臨界点

過去の気候変動

過去の気候変動は今日のものと大きく異なっていた
大規模な気候変動の多くは地球の軌道の変化が原因
地球はこの7000年稀にみる安定した気候に恵まれている

気候変動の危険な臨界点

  • 巨大氷床の崩壊

    • グリーンアイランドや西南局における巨大氷床の急激な融解や崩壊

  • 海洋循環の大規模な変化

    • メキシコ湾流の大西洋熱演循環への影響

  • 温度上昇がさらなる温度上昇を引き起こすフィードバックプロセス

    • 気候、生物圏、炭素循環の間に存在するさまざまな正のフィードバック

    • 地球温暖化が進み、海水が二酸化炭素で飽和状態になると海中で複雑な化学反応が起き、海洋による二酸化炭素吸収量が減少する

    • メタンハイドレート:氷の結晶に包まれたメタン分子。ほとんどが海底堆積物中に存在。寒冷地の永久凍土にも含まれる。気温の上昇によってこの二つの貯蔵庫から大気中に放出されるメタン量が増加し、それが引き金となって温暖化が加速する恐れがある

  • 長期にわたる温暖化の増幅

    • 人間活動に対する気候の中期的応答と超長期的応答の違い

    • 遅いフィードバックプロセス(氷床の崩壊、植生の変化、土壌やツンドラ、海底堆積物から放出される温室効果ガスの増加、植物の腐敗など)を考慮した場合、気候感度は今日多くの気候モデルが算出している値の2倍になる予測もある

今日の二酸化炭素濃度ではサンゴ礁はおそらく長期的現象傾向に突入する
上記4点に加えて、モンスーンの変化、ブラジル熱帯雨林の枯渇なども含まれる

グリーンランド氷床の融解

面積 1,700,000平方キロメートル、氷の厚さ 2,000メートル、体積 2,900,000立方キロメートル
融解した場合、世界の海面は7メートル上昇する
臨界現象。温暖化で氷床が融解。高度が低くなる。高度が下がると気温が上昇する。融解が加速。加えて、氷床は温度が上がると暗色化する。太陽放射熱を吸収するようになり温度はさらに上昇する
簡易氷床モデルを使用すると、世界平均気温が1℃上昇すると、氷床は約2%縮小する。閾値である5℃をやや上回ると、温度上昇、高度の低下、暗色化、融解といった不安定性の不安定性が負のスパイラルに陥り、6℃で完全に融解する
世界で6℃以上の温暖化が生じ、氷床が縮小した状態から、世界の平均気温上昇幅が6℃から5℃に縮小しても、氷床体積にはほとんど変化が見られない。3℃を下回った時点でようやく回復の兆しをみせるが、今日との気温差が1℃前後になっても氷床の規模は現在の5分の1程度。元の体積に戻るのは地球が十分に冷却されてから
臨界点に関する研究はいまだに発展途上
しかし、複雑システムでは危険をはらんだ不連続性が発生し得る

今回がこれまでと違う点は、今世紀以降人間によって弾きおっこされる気候変動のペースの速さ
もっとも有力な説によれば、今後100年間で人々が直面するであろう世界の気候変動のスピードは、この5000年噛んで人類が経験してきたあらゆる変化の約10倍と言われている

まとめ

  • 地球温暖化の根源は経済成長と技術、とりわけ化石燃料の利用にある

  • 二酸化炭素のような目に見えない温室効果ガスが、地球のエネルギーバランスを大きく変えている

  • 地球温暖化、降水量の増加と不安定化、内陸部の干ばつ、海洋酸性化、極域における温暖化の増幅など、予測不能な変化を引き起こすと気候科学者たちは説明している



読んで少しでもあなたの世界を豊かにできたならそれだけで幸せです❤