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「あなただけのZINEをつくる」ワークショップ イベントレポート

この記事では、atelier grayで行われたイベントのレポートをお届けします。

2022年9月30日(金)19:00~、atelier grayにて「あなただけのZINEをつくる」ワークショップが開催されました。

このワークショップは、印刷会社である加藤文明社が、写真家の西澤丞さん、平和紙業さんと一緒におこなっているZINE制作プロジェクトの一環として企画されました。
(これまでのZINEプロジェクトの記事はこちら⇒  

写真家の西澤丞さんは、ものづくりへの情熱の塊!クリエイター目線で印刷のわからないことや印刷でやってみたいことを私たちに話してくれます。

平和紙業の西谷さんは、「この印刷なら…」「この写真なら…」といろいろな紙を提案してくれる、紙のコンシェルジュです。

3者で企画を進めるうちに「このZINEづくりの楽しさを、みんなにも伝えたい!」という想いが生まれ、3回目となる今回はワークショップイベントを初開催することになりました。

印刷工場でオリジナルデータを印刷

ワークショップの会場となったのは、加藤文明社の新宿工場2階のatelier gray。金曜日の遅い時間でしたが、9名の方にご来場いただきました。

まずは、パーソナリティとして出演する3人がご挨拶。今夜は印刷会社写真家紙屋の3者がみなさんと一緒にZINEを作ります!

(左から)平和紙業 西谷浩太郎さん、写真家 西澤丞さん、加藤文明社 青栁里奈

今回参加者のみなさんに作ってもらったZINEは、以下の仕様の冊子です。

タテ172mm×ヨコ242mm 
中綴じ or 平綴じ冊子(ホチキス留め)
全8p(うち1ページは全員共通)
両面フルカラー印刷

参加者のみなさんには、事前に7p分の画像/イラスト/PDFでのオリジナルデータを入稿してもらっています。はたしてどんな仕上がりになっているんでしょうか…!

5種の紙で刷り比べ

それではお待ちかね、一人ひとりにそれぞれのZINEの刷本(本になる前の印刷した紙)を配布します。
自分の写真やイラストが印刷された紙を見て、早速大盛り上がりのみなさん。

ですが今回の体験はそれだけではありません。なんと、同じデータを5種類の紙で刷り比べてみます!

・グロスコート 四六判 135kg
・Aプラン ピュアホワイト 四六判103㎏
・アトモス シャモア 四六判120㎏
・新草木染ハーブ マダー 四六判94.5㎏
・スノーフィールド 四六判105㎏

用紙見本帳

セレクトしたのは平和紙業の西谷さん。馴染みのある紙から、見たことのない個性的な紙まで多種多様な紙たちが揃いました。

参加者のみなさんは西谷さんから紙の種類や仕上がりについての解説を聞きながら、自分のデータに似合った紙や好みの風合いの紙を吟味していました。

「自分では絶対に選ばない紙だけど、意外とマッチしていい感じに仕上がっている」
「手触りが気持ちよくてめくりやすい」
「少し黄色っぽい白のほうが、真っ白よりも味があっていい」

お互いの刷本を覗き見ながら、参加者のみなさんの間ではさまざまな感想が飛び交っていました。


「折り」「綴じ」「仕上げ」製本の工程を体験

じっくり印刷の仕上がりを比べてもらったところで、ここからは刷本をZIINEの形に製本してみます。
今回の製本の流れは、①折り ②綴じ ③仕上げ の3工程です。

①折り
まずは折りの工程。
1枚の紙を折り、8pの折丁を作ります。折丁とは、印刷された1枚の紙をページ順になるように折りたたんだもののことです。

みなさんにお配りした刷本には、端にノンブル(ページ数)を振りました。

本になると見えなくなる位置にノンブルを配置しています

今回は8p折なので、1pが先頭、8pが最後になるように刷本を4つ折りにします。折るときの基準になるのが、折トンボという線です。左右のトンボに合わせることで、真っ直ぐ並行に折ることができます。

拡大して見てみてください!


目印があるとはいえ、大きな紙を綺麗に折るのはなかなか難しい作業です。紙の質感やコシも異なるので、慎重に折っていきます。

②綴じ
ページ順が通るように折れたら、真ん中をホチキスで綴じます。

折り目に沿って縦にホチキスする中綴じでも、折り目から数ミリをホチキスする平綴じでも作ることができますが、当日は中綴じが大人気でした!

中綴じ用ホチキスで冊子を綴じます

③仕上げ
いよいよ最後の工程、仕上げです。綴じられている背以外の三辺を切り落とし、本として読める形に仕上げます。製本用語ではこれを「三方断裁」と呼びます。
今回はカッターを使って、トンボに合わせてまっすぐにカット!みなさんこれが一番難しい工程のようで、私たちも一緒にお手伝いしながら仕上げまで進めました。

3つの工程を経て、オリジナルZINEの完成です!

8pのZINEが出来上がりました

刷本の状態から冊子の形に仕上がると、また印象が変わります。みなさん完成した自分のZINEをじっくり見たり、他の参加者のZINEを読んでみたりと大盛り上がりでした。

参加者の声

・さまざまな紙でイラストの印象の違いを見ることができて良かった(デザイナー)
・印刷/写真/紙のプロに、直接いろいろな話を聞くことができた(フォトグラファー)
・紙による表情のちがいを楽しめ、本づくりに対しての意欲が刺激された(イラストレーター)
・個人の本づくりでもこんなに自由にできるのか!と驚いた(その他)
・それぞれのZINEを見ながら楽しく会話ができ、参加者どうしの交流の場になった(製造業)

ワークショップイベントを経て

私たちが続けてきたZINEづくりの楽しさを、みなさんにも共有したい!という想いから企画したこのワークショップ。ですが開催してみた結果、「ただ楽しんでもらうだけでなく、クリエイターの方のものづくりに役立てられるのではないか」という気付きがありました。
例えば、今回みなさんに見比べていただいた「数種類の紙への印刷」は、普段私たちがお客様にお渡ししている「本紙校正」に似ています。
実際の本紙校正では、5種類もの紙で刷り比べる機会はめったにありません。普段から本づくりに携わっている方でも、きっとこのワークショップでそれぞれの紙が持つ表情と絵柄の組み合わせを比べ、新たな発見が得られるはずです。

そしてもうひとつ、「聞きたいことをなんでも話せる」ということもこのワークショップの醍醐味になりました。

ZINEづくりを通してみなさんとたくさんお話ができたこと、疑問や質問にお答えできたことは、私たちが「相談できる印刷会社」で居続けるうえでとても大切なことです。
本づくりは工程が多く、難しいと思われがちです。だからこそ私たちはいつでもお客様の疑問に応え、気軽に相談してもらえる存在でありたいと思っています。

これからもクリエイターのみなさんの頭の中にあるたくさんのアイデアを、形にできるようにお手伝いしていきたいと思います。

「今作っているものについて、プロに話を聞いてみたい
「まだどんな形になるかわからないけど、印刷を試してみたい

そんなクリエイターのみなさんの想いに応えるコミュニケーションの場所として、今後もワークショップを開催していく予定です。

次回開催の際は弊社のSNSで告知しますので、ぜひチェックしてみてくださいね。


ここまでお読みいただきありがとうございました!

次の記事もお楽しみに。



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