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【実質0円大学生活のすすめ】第47回:大学図書館を使いこなす(7)公共図書館と大学図書館の違いは?02

前回は、公共図書館と大学図書館の違いについて、「さらなる深さ」の観点から稀覯書コレクションを見てみました。今回は、「本の森を散策する」というテーマに戻って「静寂さ」という観点から両者の違いを深堀りしていきます。

公共図書館と大学図書館の違い:静寂さ

第41・42回で紹介しているような「本の森を散策する」という目的からすれば、公共図書館より大学図書館のほうが向いているかもしれません。

なぜかというと、根本的な利用者数が少ないからです。大学図書館は基本的にその大学に所属していないと入館できません。そして、すべての学生が図書館を利用するわけではないため、かなり人口密度が低いのです。

人がいない大学図書館の書架エリアは「朝靄に煙るしずかな早朝の森」にたとえられます。

観光地でもないかぎり、早朝の森はしずかで新鮮な空気に満ちています。地面の草を踏むときの足音や呼吸音も感じられるでしょう。遠くに鳥のさえずりを聞きながら、樹々の枝ぶりや植物の蕾の開き具合をしずかに観察できます。開館してすぐの大学図書館の書架などは、まさにこの状態です。

それに対し、公共図書館はかなり混み合います。それも、早朝から。そして、都市部などで人口に対して図書館の規模が十分でない場合には、新聞のブラウジングコーナーや閲覧室は常時満席になるくらい混み合います。閲覧スペースに関しても、都心部にある区立図書館などでは、週末の閲覧席に座ろうとすれば、開館前に並んで予約しないと利用できないこともあるのです。

さらに、公共図書館はさまざまな属性の来館者が訪れます。幼児からお年寄りまで、マナーの良い人からそうでもない人まで、バリエーション豊かです。このような誰でも受け入れる門戸の広さは公共図書館の魅力ではあります。

多くの人たちが書籍や雑誌などに親しむことは、社会の文化レベルを向上させるためには不可欠であり、公共図書館はその重要な役割を担っているのです。ただ、そのぶん、どうしても静寂さに欠ける部分も出てきてしまいます。

もちろん、大学図書館も混雑するときがあります。年度始めや試験期間などは土日の公共図書館並に混み合います。ただし、混み合うのは合目的行動の場としての閲覧席やキャレルのエリアに限定されます。蔵書が配架された棚が両側に並ぶ「本の小道」は、あいかわらず空いているのです。

以上のような理由から、大学図書館を「本の森を散策する」という目的で訪問するのであれば、いつ行っても最良の環境で楽しめることでしょう。「実質0円大学生活」の科目等履修生であれば、最高のコストパフォーマンスでこの環境が利用できるのです。

今日のまとめ

-大学図書館は公共図書館と比較して、利用者数が限定されるため、知的散策者にとっては、しずかな早朝の森のような環境といえる
-公共図書館はその社会的役割から多種多様な人を受け入れているため、時として静寂さに欠けることがある
-「実質0円大学生活」の科目等履修生は大学図書館の静寂さを享受できるコストパフォーマンスに優れた所属形態といえる

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