見出し画像

しょうゆ焼きそば

白だしとしょうゆ、オイスターソース。

ウチがなにかとしょうゆ派だったのは、我が家がソースといえばウスターソース一択だったのも一因ではないかと思っている。
先祖がウースター地方出身なので仕方ないが(うそ〜ん)、中濃ソースというのが食卓にお目見えしたのは近代に至って(いつやねん)からの話だ。
あんまりお好み焼きとかにウスターソースは合わないだろうし、とにかくしょうゆでカバーする所は徹底してカバーしていた。

焼きそばに関してはソースだった。
これは付属のソースがあるためだろう。
でも中学生くらいの頃、いつもように土曜の昼メシを作ろうとすると、台所(キッチンなんて感じじゃなかったよなァ)には焼きそばが用意してあった。
もちろん材料はあるから後は勝手にやれ、という意味だ。
そこでちょっと思いついた。

しょうゆ味の焼きそばってどうなのよ。

いやどうなのよ、ったってしょうゆ味はしょうゆ味だ。
好奇心にかられたぼくはソースの代わりにしょうゆを入れてみた。
ぼくは子どもの頃からどこか抜けているので(今に至る)本当にしょうゆだけを使ったのだ。
当然の話だがしょっぱい。
んへー...となるくらいしょっぱかった。
とても食えた代物じゃなかったけど、残すと鉄拳制裁が待っているので無理矢理食った。
次週のリベンジを誓って血の涙を流しながら食った。
塩分過剰摂取である。

あのしょっぱさを抑えるにはどうしたらいいか。
母親にそれとなく聞いてみた。
すると「そりゃ、あんた。みりんか砂糖だわさ」と流暢な名古屋弁で答えた。

なるほど。
しょっぱさには甘さか。
目には目を、歯に歯をってやつだな(意味不明)

これで勝った。

ぼくはほくそ笑んだ。
土曜の飯は焼きそばをリクエストしておいて、試してみた。
いくらなんでも焼きそばに砂糖はありえないので、ここはみりんだ。
ミリンダというジュースがあったね、というのはジジイの思い出話だ。
みりんとしょうゆ。
なんだかそれっぽいじゃないか。

食ってみる。
しょっぱさはだいぶ和らいだが、なにか一味足らない。
しょうゆの団子でも食ってる感じだ。
そこで登場するのが万能調味料「味の素」だ。
なんやかや言う人はいるが、あれを使えば確実に旨みが増す。
最初はアジシオでもふろうかと思ったが、しょっぱいのを抑えるためにあれこれ試してるのに塩ふってどうする、と脳内のマトモな部分が叫んだのですんでのところで思いとどまったのだ。

優勝した。
旨い。
どちゃくそ旨い。

なんだよ、なんでもしょうゆのくせになんでウチの焼きそばはしょうゆじゃないんだよ。

その戦果を母親に告げ、これから焼きそばはしょうゆにしてはどうか、と進言した。
「そんなもん、めんどくさいがね。あんたやってくれるならええよ」

そんなしょうゆ焼きそばなのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?