引っ込み思案な子どもは内向的だと言えるのか

小さい子どもでも,さまざまな個人差があります。心理学では「気質(temperament)」とことばで表現されるのですが,大人のパーソナリティ特性のように,複数の気質特性や気質の類型が研究されています。

行動抑制傾向

気質のなかに,行動抑制傾向と呼ばれるものがあります。アメリカの心理学者ケーガンが研究していた気質概念です。

行動抑制傾向は,新しい場面になかなか順応できないような個人の特徴を表す気質傾向です。言い換えると「引っ込み思案」のようなものだと思ってもらえば良いのではないでしょうか。

子どもたちに中には,初めて会う人でもどんどんニコニコしながら近づいていって話しかけていく子もいれば(行動抑制傾向が低い),親の後ろに隠れてなかなか出て行かない子もいます(行動抑制傾向が高い)。こういう個人差が生じるのは不思議なことですが,子どもたちの姿を思い浮かべてもらうと,たしかにそういう子どもの個人差があることがわかります。

また,同じ家に育ったきょうだいでも,はっきりとこの傾向が違っていることもあります。親は同じように育てているはずなのに全然違うというのは不思議なものです。

行動抑制傾向と性格

こういった,行動抑制傾向がビッグ・ファイブ・パーソナリティとどのように関連するのかを検討した研究を見てみましょう。不安が強い子どもたちと,問題がない子どもたちに対して行われた調査をまとめたものです。この論文です(Relations Between Behavioral Inhibition, Big Five Personality Factors, and Anxiety Disorder Symptoms in Non-Clinical and Clinically Anxious Children)。

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