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イギリス・ギリシャ・中国でダークな性格の機能は違う

割引あり

他の人を自分の有利なように利用するマキャベリアニズム,共感や自責感が欠如するサイコパシー,誇大な自己感覚や他者からの特別扱いや賛美を求めるナルシシズムという3つのパーソナリティ特性は,ダーク・トライアドと呼ばれています。


それぞれ

もともと,マキャベリアニズムは通常範囲のパーソナリティ特性として1970年代に研究がはじまったものです。

サイコパシーは精神医学や法医学がベースでしょうか。犯罪者集団の特性の研究としても行われてきて,そこから一般の人々のパーソナリティ傾向へとシフトしてきた経緯があります。

ナルシシズムは,20世紀初頭のフロイトの概念化によって注目を集めて,1980年頃に自己愛性パーソナリティ障害の臨床的な研究と,測定する尺度開発による調査的な研究の展開によって,多くの注目を集めました。

ダーク・トライアドのそれぞれのパーソナリティ特性は,それぞれの研究の背景があるのです。

共通点

それぞれ異なる研究から発展してきた経緯があるにしても,マキャベリアニズム,サイコパシー,ナルシシズムは,共通点があるとされています。

◎共感性の低さ
◎他者からの搾取
◎敵対心の高さ

これらは,他者に対する攻撃性やさまざまな不正行為,自分自身に特別な権利があるという感覚などの背景にある特徴だとされています。また,他の人から見るとダーク・トライアドの高い人の方が魅力的であったり,ある種の創造性の高さだとか,病理レベルがあまり高くないといった特徴は,ダーク・トライアドの利点もあらわしています。

男女差・年齢差

ダーク・トライアドの性差と年齢差については,多くの研究で検討されています。これらは,国によっても文化によっても,経済状況によっても異なる可能性があります。また,ダークな性格の持ち主の年収はどうでしょうか。

今回紹介する研究は,イギリス,ギリシャ,中国の人々を対象にした調査データを分析したものです。これらの国は,経済状況も背景の文化も大きく異なります。はたして,3ヵ国で男女差や年齢差に違いは見られるのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Sex differences in the Dark Triad are sensitive to socioeconomic conditions: the adaptive value of narcissism in the UK, Greece, and China)。

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