見出し画像

ビッグ・ファイブ・パーソナリティの男女の違い

割引あり

男性と女性で性格が違うのか,という問題は非常に古くからあって何度も繰り返し検討されてきた研究のテーマです。それに,一般にも男性と女性の性格はずいぶん違う者として認識されている傾向がありますし,さまざまな作品でも異なるものとして描かれています。

実際に研究の中では,どのように示されているのでしょうか。


パーソナリティ

パーソナリティ(性格)は,それぞれの人が特定の特徴をどの程度示すのか,どの程度示さないのかということで表現されます。パーソナリティを特性として次元的に表現するときには,人が状況に応じて示す志向,感情,動機,行動の一貫したパターンのことです。あるパーソナリティ特性の得点が高い人は,その特性の低い人に比べて,その特性に関連する心理状態をより頻繁に,より顕著に示すことになります。

パーソナリティ特性の性差は,得点の平均値の違いとして表現されます。たとえば協調性については,男性よりも女性のほうが平均値が高い傾向があります。ということは,男性よりも女性のほうが,ほかの人に優しく,利他的で,協調的であることを表しています。しかし一方で,男性でもこれらの特徴が「ない」ことを意味するわけではありませんし,男性の中には女性よりもこれらの特徴を強くあらわす人がいることも意味します。

女性よりも男性のほうが平均身長は高いのですが,すべての男性がすべての女性よりも身長が高いかというと,決してそうではない,ということと同じです。しかも,ほとんどのパーソナリティ特性の得点は,男女の身長の差に比べれば差は小さくなります。

ビッグ・ファイブ・パーソナリティ

辞書からパーソナリティを表現する用語を見出して整理していく中で見出されたのが,ビッグ・ファイブ・パーソナリティの枠組みです。ビッグ・ファイブ・パーソナリティは,さらにまとめると2つの因子(安定性と可塑性)にまとめることもできますし,ビッグ・ファイブ・パーソナリティのそれぞれの次元はさらに細かい要素(ファセット)に分けられます。

◎外向性:活発,積極的,リーダーシップ,友好的
◎協調性:利他的,やさしい,人を信じる
◎勤勉性:まじめ,目標指向的,規則を守る
◎神経症傾向:抑うつ,不安,怒り,感情の不安定さ
◎開放性:好奇心,創造性,感受性

ビッグ・ファイブ・パーソナリティと各次元の2つずつのファセットについて,2000人以上のサンプルによって男女の違いを検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Gender Differences in Personality across the Ten Aspects of the Big Five)。

ここから先は

1,176字
この記事のみ ¥ 0〜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?