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孫がいると幸福になるのか

割引あり

平均して何歳くらいで「孫」が生まれるものなのでしょうか。おおよそ50代後半から60代前半くらいだと推定されているようですが,もちろん人によっては非常に若く孫ができる人もいれば,もっと年長になってからできる人もいることでしょう。


孫ができること

孫ができることは,こころの健康に影響するのでしょうか。

家族観の絆があることやないことは,精神的健康の保護因子や危険因子になることが想像されます。しかし,孫が存在するかどうかという点に焦点を当てた研究では,精神的健康によい影響を与えるという結果とそうではないという結果とが混在しているようです。また,祖父母になることを変数に加味した研究というのも限られているという指摘もあります。

移行

祖父母に「なる」というライフイベントに注目する意義もあります。子供はいるけれども,そこから孫が生まれるというのは,自分の子どもが親になる時期が遅かったり,自分の子どもに子どもが生まれなかったりすることも加味して考える必要が出てきますので,なかなか複雑な現象です。

孫が生まれるというのはまさに世代交代で,自分がつながっていくような感覚を得るライフイベントであるかもしれません。

子どもの有無

子どもの有無と精神的健康との関連を検討した研究は,これまでにも行われています。ヨーロッパの大規模な研究でも,子どもがいないことは精神的健康を下げることに関連するという報告が行われています。男女では,女性よりも男性の方が,子供がいないことで精神的異健康が下がるという研究もあれば,女性だけにおいて子供がいないことが抑うつに関連するという研究があるなど,なかなかこれも複雑です。

また,子だくさんの親は,子どもがいない人よりも抑うつ傾向が高いという研究もあります。子どもがいない人の方がその後の人生で資源の不足に悩まされることが少ない傾向があるという指摘もあります。

このように見てくると,孫がいるから単純に精神的に健康だろうと想像するのは,間違っているようにも思えてきます。では,実際にはどうなのでしょうか。大規模な調査データを分析した研究がありますので,こちらの論文で結果を確認してみましょう((Grand)childlessness and depression across men and women’s stages of later life)。

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13229400.2023.2230970?src=

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