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『音を聴くひと』

雑誌『アフリカ』をつくっている下窪さんの作品集『音を聴くひと』。
手に入れてからちびちび味わうように読んでいた。

下窪さんにご連絡することがあったので、あらためて読みなおす。
『音を聴くひと』には、エッセイ、小説、それから魅力のひとつである編集後記などが収録されている。

湖だったり、山肌だったり、人間にとっては突然、清水が湧いているところがある。下窪さんのことばはそんなふうに、そこに流れているものを美しいまま掬って、できている。
それは、ヨガの精神のように、「今あることを感じる」もので、握力も強すぎず弱すぎないから心地良いのだ。

創作と現実がいり混じっているものも、とても楽しい。AC/DCである。直流と交流。異なる流れ方をする電気が感じられる。

ふしぎなのは下窪さん自身の禅的な、やっぱりヨガ的なスタンスかもしれない。作品を書いたら、もっとたくさんの人に読んでもらいたい、そう思うのは自然なことだけれど、そういうものとちょっと引いたところにいるのが対談からわかる。
書くことって、どういう意味をもつんだろう。
もし頭がかたくなってしまったら、『音を聴くひと』を読んでほしい。

わたしはこの作品集がとても好きで、好きだからこそ感想は書けずにいた。
ぜひ下窪さんをつかまえて、この一冊を読んでください。
下窪さんをつかまえられなかったらオンラインで↓


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