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#29 パターンが限られているほうが、豊かなんじゃないか?と、ふと感じた。 in ボリビア

2022年7月22日 viernes
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いま、ボリビアは冬です。そして乾季。朝晩はすごく冷えるけど、昼の日差しはめちゃくちゃ強くて、暑い。余談ですが、ここ最近、左の鼻だけ鼻くそがたまる。さらに血が混じっていてちょっと痛い。たぶん、乾燥が原因だろうな。そして体が冷えているのか、体調も低調気味。

そんな最中(どんな最中?)、Universitaria[ウニベルシタリア]というイベントに向け、夜に広場や学校の敷地内でダンスの練習をしている人たちを見かける。寒いのにー・・・みんな元気。

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夜になるとこの広場に、ダンスの練習をする人たちが集まる

ボリビアでは、夏(2月)のカルナバルだけでなく、6月に行われていたGran Poder[グラン・ポデール]、そして今年は9月に行われるUniversitaria[ウニベルシタリア]でも、みんなこぞってダンスグループを作ってパレードに参加する。こんなにも年中、踊りまくるボリビア。そしてそのダンスの型は、20種類以上はあるが、パターンが決まっている。Universitariaでは大学の各学部によって、どのダンスを踊るかが決まっているらしく、それを練習してパレードに参加するという感じらしい。そしてUniversitariaでは、素人参加もわりと簡単にできるようす。活気のあるイベントだ。
職場の生徒と話していても、「私はCueca[クエーカ]が好き」「俺はCapolares[カポラレス]を踊る」とか言っている。学校で基本の型は習っているので曲がかかるとみんな一緒にステップを踏んだり、と、そんな光景を単純に「なんかいいなー」とおもう。毎年必ずくるイベントに向けてみんなで準備している環境があるから、みんながその話題を共有できるし、それによってつながれる。性別、年代問わず。それって、すごくいい。お祭りの文化だ。ま、なかには「踊るのは苦手・・・」ていう子もいるけど。
毎度毎度お決まりのパターンをなぞって、楽しんでいる人たちを前にすると、「自由であること」は豊かなのか???とおもってしまう。決まりはあるものの、その中では選択肢があるわけで、完璧にこれ!じゃなくてもいいじゃん、ていう。たぶん、彼らはそもそも完璧を求めてない。

お昼ごはんのバリエーションにしても。どこの食堂に行っても、メニューの構成、内容が一緒。

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まずはSopa(スープ)。数種類の中から日替わりで。
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Segundo[セグンド]:メインのお皿。3−4種類から選ぶ。だいたいお肉のメニュー。
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この日はチョリータさんと相席。

他とは違うメニューを作ろうという意思は、ほぼみられない。でも、ボリビアの人たちはそれで満足しているようだし、(むしろ、いつもの、お決まりのメニューを欲している)そうであるなら何もいうことはない。自分のプライベートな時間を削ってまで、必死に新しいものを生み出そう(求めよう)としなくても、今の状態で足りているなら、持っている時間は家族や好きな人たちと好きなことをして過ごす。職場の同僚も夏と冬、それぞれしっかり2〜3週間は休暇をとっているし、そういう面では健全だな、とおもう。

みんな知ってるお決まりパターンを共有しているボリビア人は、そのおかげか、孤立することが少ない、ようにおもう。わりと一人で過ごすことも多い私だが、ボリビア人の友人はそれを心配し「元気?大丈夫?」と連絡をくれたり、今日は同僚の教員から「いつも一人でいるけど、大丈夫?」と連絡があった。さびしそうに見えるらしい。というか、みんな優しい。
最初は「ほっといてくれー」とおもっていた私だが、そんなふうに気にかけてくれるのはやっぱりありがたいことで、一緒に過ごすことができるなら、そうしよう、という気持ちになった。なっている。

一緒に過ごす、といえば、ボリビアは家族の単位で動く人たちが多い。赤ちゃんもよく見かける。ちなみにパパ&ママが若い!いや、たまにおばあちゃん?!て感じのママにも遭遇するが。。。日常的に家族の姿を見続けていると、「いいな、家族作りたいなー」とそんな気持ちになる。しかも夫婦の仲がいい。結婚式に行くと結婚したくなる、というあの原理です。身を置く環境でここまで感じ方が変わるものか、ともおもうが、まあそれが自然か。

とりとめもなく書いてしまったが、最近ぼんやりそんなことを考えていた。気づかないうちに、いろんなことをやろうとしすぎて、自分で自分の首をしめていること、多いいんだろうなーと、ふとそんなことをおもった今日。すでに持っているもので楽しんでいるボリビアの人たちは、賢い。


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2022年7月31日 domingo
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午後2時。日差しが強く差し込む部屋でこれを書いている。
実は、25日火曜日にコロナ陽性となってしまった私。それ以降、自宅隔離生活を送っている。ウイルスをもらったであろう先週の土曜日以降に接触した人たちに連絡をとり、陽性の報告。

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このイングリッシュパブで、アルゼンチン、デンマークからの旅行者と過ごした土曜日

そして自分の活動、クラスの調整に、生徒たちにも連絡。ある生徒のやさしいメッセージに心あたたまり、、熱上昇。

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生徒の言葉がいちばん心に響いた・・・早く一緒に活動したい。

やっぱり体が弱った時には、お出汁を欲する、大和魂。
日本人やわー。
そして回復してきて暇になると、お笑いを欲する、なにわ魂。
関西人やわー。
同時期に日本で陽性になった友人、そしてボリビア人の同僚とマメにお互いの状況を連絡しながら過ごしていたこの数日。孤立しないこと、気にかけてくれる人のいる状態、ありがたい。

昨日30日の夜には、自身の提案する活動「Club de Intercambio」で自分の好きなデザインについて簡単なプレゼンをするイベントを予定していたのだが、ありがたいことに配属先の教員から、三年生の課題の一部として生徒を半強制的に参加させたい、と申し出があったので、私は(体調が悪いのもあり)イベント開始の言葉だけ参加することにして、進行は彼らに任せることにした。私がいなくてもオーガナイズできるということがわかったので、この形のほうがよかった気がする。結果オーライ。

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最初の一時間だけ参加。開始時の言葉も鼻が詰まって喋り辛い・・・

そういえば、今週25日の月曜日に、Pecha Kucha Nightを見にいき、このイベントをオーガナイズしているグラフィックデザイナーSusana Machicao[スサーナ・マチカオ]とようやく対面で会うことができた。余談。

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ラパスではいま、月に一回 PechaKucha Night が開催されている

昨日のイベントでもPecha Kuchaの例を出して、決まったフォーマットの中のほうがかえって自由にできることもある、と、普段からもっと自由にいろんなプレゼン、意見交換ができる環境になればいいね、と話した。
私は最後まで見れなかったが、イベント終了後の教員の反応、アンケート結果の生徒の反応をみると、「いいイベントだった!」「いろんなデザインが見られて、新たな知識も得られた」と、楽しんでくれていたようす。私も録画で確認しなきゃ(全部で三時間はあるのでパワーがある時に、見ます・・・)。
そして、体力もなく頭がぼーっとするなか、三年生担当の教員から「アツコに、教員向けの活動、訓練やなにか、教師が学べる活動もしてほしい」との連絡をもらった。そのうちの一人は、他のプロジェクトでも一緒に活動している教員なので、そんなことをずっと考えていたよう。
打てど響かず、これといった手応えのなかったこの半年。今になってようやく響いた?しかし、あと半年でボリビアでの仕事も終わる、とおもえば、今から何ができるかな、という感じ。

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ATSUKINO(アツキーノ)

2006年〜日本でグラフィックデザイナーとして働いた後、2013年に渡英。スコットランドの The Glasgow School of Art で修士号(Communcation Design: Graphic Design)を取得。帰国後はアートディレクター、キュレーターとしてデザインディレクションとともに現代アートの展示企画制作なども行う。海外での生活、旅を通じて得られる新たな表現や人との出会いが次の可能性につながると信じて動く、旅するデザイナーでありアーティスト。現在は南米のボリビア、ラパスにてJICAボランティア活動中。デザイン教育環境の改善にあたっている。
http://nakanoatsuko.com/
https://shadow-candle.com/

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