なぜ、イマドキ女子は”焼きいも”に夢中なのか?

フードプランナーの渥美まいこです。食に関する謎(私ぐらいしか思っていないかもしれないけども…)について、独り言のように考察しています。
今回のテーマは「焼きいも」です。
少し肌寒くなってくるこのぐらいの季節から、無性に食べたくなりますよね。私はこの秋、焼き芋全種類を味比べしよう!と鼻息荒くしています。

一般財団法人 いも類振興会によると、2003年頃からさつまいもの消費量が伸びているのだとか。確かに、焼きいもの専門店が人気だったり、イベントが開催されたり、SNSでもさつま芋をよく見かけます。
なぜ、今さつまいもファンが増えているのでしょう…。

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焼きいも=昭和の冬のおやつ。

「焼きいも」と聞くと、みなさんはどんなことをイメージしますか?
恐らく、世代間でかなり異なるのではないかと思いますが、30代半ば以降〜の方なら「い〜しやきいも〜おいも〜」とおじさん声で町中を走る石焼芋移動販売車のサウンドが脳裏をよぎる方も多いでしょう。
「冬になったら焼き芋!冬の風物詩!」と日本人に沁み込ませた、草の根コミュニケーションは偉大なものです。

または、サザエさんのエピソードを思い出す方もいるかもしれません。
チャーミングなサザエさんの性格と焼きいもとの相性は抜群なようで、何度かサザエさんに登場してきます。食べ過ぎると「おなら」が出やすくなるとか、老若男女に愛される焼きいもは、ファミリーアニメにぴったりだったのかもしれません。


さつまいもとの接点が消えて、共通体験が消滅する。

そんな焼き芋も、一時期(2000年近辺)は暮らしの中でめっきり見なくなりました。
ダミ声の焼き芋移動販売車にも遭遇しませんし、サザエさんは視聴しなくなってしまったから、エピソードに出合えません。落ち葉を集めて焼きいも…なんて現代日本では、迷惑行為でしかありませんしね…。

いつの間にか焼きいもとのエピソードを育む「原体験醸成ポイント」が無くなっていたように思います。

それでも、焼きいもカルチャーが消えず(逆に盛り返し)、若年者にも愛されている理由を考えてみました。


理由① 「ほくほく→ねっとり」へ。
品種の代表選手交替で、スイーツポジションに。

前述のいも振興会によると、江戸後期〜2002年まで、日本のさつまいもと言えば、肉質が締まった硬いほくほく系の品種が人気だったようですが、2003年頃に鹿児島県種子島産の「安納紅(通称:安納いも)をはじめとする、ねっとり・しっとり系の芋が人気に。そのあと、このトレンドを支えるように代表品種となった「べにはるか」が2007年に登場。2011年には、全国規模で普及しはじめたようです。

ほくほくの「昭和の焼きいも」は確かに、安納いもと比べれば甘みはソコソコ。だからこそ、大学芋など糖類をプラスする料理が広がったのでしょう。
対して、「平成の焼きいも」は、そのままでOK。
しっとり&ねっとり系は、おやつというよりスイーツ
口の中で絡む感覚は、カスタードクリームやチョコクリームのような粘性に近いところもありますよね。
さつま芋は、嗜好性の変化に合わせて、仕掛ける代表品種を変えて、スイーツのような存在感を際立たせていったのでしょう。

もちろん、そのポジションに持ち上げていったのは中食スイーツ。
コンビニスイーツで気軽に安納芋ブランドと接触したことで、風味や食感への理解・認識が広まったことは言うまでもありません。


理由② イメージが一巡。ベジスイーツの座に

20代女子の友人に、焼きいもの話をしたとき(それがこの記事化のきっかけなんだが)、彼女は石焼き芋移動販売について全く知らず、Googleの検索結果を眺めて驚嘆していたことがありました。

これは彼女だけではないはず。
そして、この「知らないこと」が幸か不幸か、焼きいもにとってはいい結果へリンクしたのかもしれません。
おじさんのダミ声イメージの「石焼きいも」、サザエさんがよく食べる「石焼いも」ならば、年頃の娘たちが声高に「石焼きいも食べたい♡」とSNSで発信するのは現実的ではありません。

焼きいもへのイメージが一巡したことと同時に、時代が焼きいもに追いついてきました。
ベジスイーツという視点です。菓子ではなく、ナッツやベジスナックを間食するモデルたちが増えたことで、さつま芋の登場シーンと、菓子では創出できないヘルシーイメージの獲得できたことも大きいポイント。
一見、何も変化していないように見える「焼きいも」も、私達の嗜好性や時代性に合わせて変化したいたのだなぁとシミジミ…。

さつまいも、神かよ…。

理由③ 焼きいもは、「かき氷」のヒットと近しい。

この「焼きいも」ブームを見ていると、何かのブームと近いなぁ。
とフワフワと感じていて、何かを思ったら個人的にはかき氷かなと思います。

かき氷と近しいところ。
それは、限定感と原体験のない懐かしさ、だからこその新しさ。

【限定感】
かき氷と焼きいも:季節限定スイーツ。だからこそ、今食べたいと思う存在。

【原体験のない懐かしさ】
かき氷と焼きいも:両方とも昭和期からあるおやつの存在。原体験している人もしていない人も、情報としては商品を認識している(馴染みがある)。

【新しさ】
知っているけど既視感はない。だから新しく見える。※写ルンですのブームと同じ原理ですね。だから、発信トピックとして優秀である。



いかがでしたでしょうか? 地味に奥深かった「焼きいも」。
焼きいもって意外にもSNS映えもいいんですよね。その視点も、ファンが増えている理由かもしれません。
ちなみに「さつまいもフレーバー」としてファンが増えたから、焼きいもファンが増えた。という視点もあると思いますが、それだと、甘栗が盛り上がっていない理由が説明できないなぁと思ったり。

さつまいもフレーバーより、マロンフレーバーのほうが商業的に多様化されているのに、甘栗が人気!とは、なかなか聞いたことがありませんものね。

また、何か疑問に思ったら、更新します!



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コメント2件

面白いですねぇ。僕の地元ではまだ冬になると必ず「石~焼き~いも~焼きいも~~」と車が走っているので今の人たちがあれを知らないということを初めて知りました。でも最近の焼き芋カーではしっかり「べにはるか」を売っていました(笑)焼き芋カーも最近のトレンドをしっかり押さえてるんですね^^ あのねっとりを初めて食べたときは本当に衝撃でした。
読んでくださってありがとうございました!
最近の焼き芋カーもマーケティング戦略があるんですかね(笑)。べにはるか食べたい、うらやましいです。。

「い〜しや〜きいも〜」のサウンドで季節の訪れを感じ、落ち葉で焼き芋をするというのが、幼少期の憧れでした(笑)。最近の芋や果実は糖度が上がって、スイーツ感覚になりましたね。商品開発によって、食品のポジショニングも変わることを最近つよく感じます。
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