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仕事で使えるApple Watchの魅力と素敵な未来【前編】

2023年9月にwatchOS 10と新たなApple Watchシリーズが発表されました。個人の健康意識や法人における健康経営にどのようなインパクトをもたらすのでしょうか。

Apple Watchを活用した健康経営アプリ「Wellness Aile」の開発責任者であるアツラエ取締役の有海哲也とTechチームマネージャーの早川 輝にwatchOS 10の注目すべきポイントと可能性について聞きました。

【プロフィール】
有海哲也
株式会社アツラエ 取締役 健康経営アプリ「Wellness Aile」開発責任者
早川 輝
株式会社アツラエ Techチームマネージャー




心の健康状態をチェックできるようになったwatchOS

──watchOS 10ではさまざまな新機能が登場しました。お二人が個人的に注目しているポイントはありますか?

有海:マインドフルネスに追加された「心の状態」機能です。日本でも近年メンタルヘルスケアの重要性が認識されるようになってきました。今回、Apple Watchで自分の今の気持ちを記録できるようになった点に注目しています。

──いつでも簡単に記録できることが重要なのでしょうか。

有海:その通りです。年に1回のメンタルヘルスチェックでは、その直前の状況に結果が左右されがちです。長期的な変化を知るには日常的な記録が重要で、自分自身の状態をより正確に把握できるだけでなく必要な対策を早めに講じることができます。

──これはサードパーティーアプリの機能として取り入れることは可能ですか?

早川:現時点では「心の状態」のAPIは公開されておらず、センシティブな情報を含むためサポートする予定もないとのことです。ただし、「ショートカット」アプリを利用して一部の機能を補うことは可能かもしれません。また、将来的にはユーザー自らがメンタルの状態を含む健康状態について共有できるようになるかもしれません。

──例えば、どのような形で?

早川:その意味で注目しているのは、年内にiOS 17の機能として追加が予定されている「ジャーナル」アプリの存在です。これはいわゆるデジタル日記のようなもので、機械学習を利用してユーザの写真や音楽、ワークアウトのデータを分析しておすすめの出来事を提案し、日記として記録できるアプリです。こちらは将来的にAPIが公開される予定です。今のところ私たちは心の状態を記録して可視化することに慣れていませんが、日々の活動の記録が総合的な健康管理に繋がっていくと信じています。特にApple Watchに親しんでいる20代など若い世代に試してほしい機能ですね。

有海:健康状態を会社が管理するというよりは、一人ひとりが毎日の記録を振り返って「今週は働きすぎたので疲れているのだな」と長期的な変化に気づくために使っていく、そんな姿勢が今回のアップデートで鮮明に現れているような気がしています。

株式会社アツラエ 有海 哲也

早川:“「心の状態」の記録は自分自身を知るのに役立ちます。若い世代にこそ試してもらいたいです”

在宅ワークにも役立つApple Watchの新機能

──アツラエの開発した「Wellness Aile」についてもお聞きします。watchOSのアップデートに合わせて追加した機能などはありますか?

早川:Apple Watchの環境光センサーを用いた「日光下で過ごした時間」機能に対応しました。ユーザーはiPhoneの「ヘルスケア」アプリだけでなく、アプリでも日光下の時間をグラフで確認できるようになりました。例えば、高齢者であれば早朝の散歩や日当たりの良い部屋で過ごしている時間などをダッシュボード画面で把握できます。

──ビジネスシーンではどのように役立ちますか?

有海:具体的な活用方法は、今後契約しているお客様からのアイデアなどを参考にしてご提案していきたいと考えています。例えば、弊社のように在宅勤務者が多いワークスタイルでは、意識して日光を浴びるきっかけ作りにも役立っています。

早川: iPhoneの「ヘルスケア」アプリでも、日光が健康の維持に果たす役割が述べられていますね。

──Apple WatchやiPhoneは起立を促したり画面を見過ぎないように推奨するなど健康に関するアドバイスが充実している印象です。

早川:「スクリーンタイム」をはじめ、画面を見過ぎないようにおすすめする機能がありますね。watchOS 10ではデジタルクラウンによる操作や指先のジェスチャーでの「ダブルタップ」など、画面を見なくても操作できるようにUIが見直されています。

株式会社アツラエ 早川 輝

有海:“Apple Watch Ultraがあると日光を浴びるきっかけを作ってくれます”

個人の体験からApple Watchの魅力を伝えていく

──MDMへの対応などエンタープライズ向けの機能強化もwatchOS 10の大きなポイントとなりそうです。

早川:開発の視点では、法人向け機能の強化はビッグニュースだと思っています。一般的なApple IDとは別に組織で運用できる「管理対象(マネージド)Apple ID」がありますが、この機能が拡張されたことでApple Watchの法人導入がよりスムーズになります。Appleとしては管理対象Apple IDとiCloudの技術をもっと活用してもらいたいと考えているのでしょうね。

有海:ビジネス視点のお話で言うと、健康経営優良法人に認定されている大手の企業さんであってもApple Watchの一括導入にはまだハードルを感じられているところは多いようです。

早川:iPhoneも登場してからしばらくは「仕事に使える端末ではない」と言われた時期がありました。ところが今ではモバイルのデファクトスタンダードとなっています。Apple Watchについても今後何年かすれば「当たり前」の時代が訪れるかもしれません。

有海:性能や費用対効果といった観点でApple Watchを選ぶのではなく、自分の健康状態やライフスタイルがどう改善していったかという体験を広げていくことが重要ではないかと思います。なので、私たちとしても、Apple WatchやWellness Aileがこんなに高性能なのだとアピールするよりは「こんな素敵な未来が待っているんだよ」というメッセージをお伝えしていきたいと考えています。

有海:“Apple WatchやWellness Aileがあると、こんな素敵な未来が待っていると伝えたいです”

【予告】

後編では、新発売の「Apple Watch Ultra 2」を使いはじめた有海、
早川の両名の体験がどのように変化していったのかについてご紹介します。