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テクノロジーと社会

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#イノベーション

《連続投稿573日目》不景気が跳躍台になる会社

 日経電子版の記事【日本電産の永守会長「不景気の後ほど最高益のチャンス」】では、日本電産の2020年4~6月期連結決算についてのウェブ説明会の骨子がリポートされています。  この記事で最も印象深いくだりは、何と言っても末尾の次の一節ではないでしょうか―― (記事より)永守会長「過去のことをどうこう言ってもしょうがない。外部環境が悪くても自分たちで風を起こし、たこを揚げる戦いができるチャンスだ。リーマン・ショックの1年後には最高益を出した。今期も、すぐに最高益をたたき出す元

《連続投稿546日目》パリ協定達成のための3つのイノベーション

 日経電子版の記事【パリ協定達成には…大規模移動制限、10年継続が必要】には、何と言っても冒頭の次の一節でグッと引き付けられます。 (記事より)新型コロナウイルスの感染拡大で2020年の温暖化ガス排出量は前年比8%減程度と過去最大の減少幅になるとの見方が強まっている。大規模な活動制限が世界に広がったためだ。ただ国際的な気候変動対策「パリ協定」の目標を達成するには今年並みの削減を10年間続ける必要がある。パリ協定の高いハードルが改めて浮き彫りになった形だ。  コロナ危機によ

《連続投稿500日達成!》『専門家科学』から『市民科学』への回帰

 日経電子版の記事【あなたの出番です 科学の発見に市民の力】は、科学の研究に一般の市民が関与する『市民科学』についての興味深いリポートです。  さっそく、記事からそのような事例を拾ってみると―― ▶『市民科学』の事例① 釣り人がネットに投稿した釣果、魚の画像で⇨生態系を研究する。 ② 専用ソフトを自分のパソコンに入れ、ネットで割り当てられた計算を  する仕組みで、世界中のコンピューターを連携し⇨新型コロナウイルスの  たんぱく質を解析する。 ③ スマホで撮った雪の結晶

《連続投稿464日目》『知の巨人』のアーカイブの未来

 日経電子版の記事【「知の巨人たち」の個人アーカイブを残す意味】では、各方面の『知の巨人』が残した書籍・ノート・(アイデアなどを記した)カード類・(著作のための情報の)ファイル・写真・草稿などのアーカイブのポテンシャルが語られます。  記事から浮かび上がってくるのは、『知の巨人』の個人アーカイブを残すことの重要性、そして、そのアーカイブのデジタル化がポイントである事です。  さっそく、記事などからそのようなデジタル化の事例を整理してみると―― ▶個人アーカイブのデジタル

ヤマハの「サイレントギター」~ユーザーが本当に欲しいもの~

 日経電子版の記事【ヤマハ、音の小さなギター2種を投入 夜間でも練習】は、①一般的なアコースティックギターと比べ音量を約2割に抑えながらも、②自然なアコースティックギターに近い深みのある音色を実現した、③共鳴部分がない「サイレントギター」に関するものです。  このごく短い記事を一読して「なるほどな~」と思ったのは、そもそも、ギターの使用時間の大部分は『練習』じゃないか、というものです。  コンサート、コンテストなどの本番でギターが使われるのは、総体的に見ればほんの一瞬のハ

「当たり前」をデータ化すると当たり前でなくなる

 日経電子版の記事【スマートシューズでデータ取得 日常行動から新事業の芽 奔流eビジネス】では、現在進行形の第4次産業革命の時代のIoT化の一潮流である『プロダクトのスマート化』の中で、最近脚光を浴びているスマートシューズについて論じられています。  確かに、様々な動きを検知できるセンサーを内蔵したモジュールを靴のソールに埋め込むなどして、走行ペース・ストライド・着地の重心位置・接地時間など詳細なデータを取れるスマートシューズには、大きなポテンシャルがありそうです。  記

自動車メーカーが農園にコンサル?!

 日経電子版の記事【日産、イチゴ農園に「カイゼン」指南】は、日産自動車が工場などで培った『カイゼン』のノウハウを農業など異業種に応用するコンサルティング事業に関するリポートです。  さっそく、記事で取り上げられたイチゴ栽培用ビニールハウスでの事例を整理してみると―― ▶イチゴ栽培用ビニールハウスでの事例 (課題1)イチゴを熟度の高い状態で収穫することにこだわると、振動      などで果実の表面が傷付き易い。      ⇨(今まで)作業者が、約3キロの収穫かごを抱え、最盛

くら寿司に見る『伝統とデジタルの融合』

 日経電子版の記事【くら寿司、握れ海外市場 浅草の新型店で訪日客取り込み 帰国後の現地利用狙う】は、くら寿司が新たに開いた和の内装を特徴とするグローバル旗艦店をリポートしたものです。  イノベーティブ(革新的)なものが次々に登場する変化の激しい時代に、伝統的なものはいかにして生き残ってゆけばいいのか?  伝統の良さを生かしながら、現代人、そしてインバウンドの心にも刺さる尖ったサービス、ユーザーのインサイトに肉薄するサービスをどのようにデザインしてゆけばいいのか?  ――

サスティナビリティとディスラプション

 日経電子版の記事【エネルギーバトル 電力、代わる主役(上) 技術が変える供給網、大手介さず個人で融通】は、再生エネルギー(自然エネルギー)のテクノロジーとIT(情報技術)によって、個人間・地域内で電力を自在にやりとりできるようになった現状をリポートしています。  まず、記事から、新旧電力のビジネスモデルを対比してみると―― ▶新旧ビジネスモデルの対比●電気は、需給バランスが崩れると停電する。 ⇩ (旧来のモデル)電力会社が、巨額の投資で多くの巨大発電所と長大な 送電網

『テック化』でイノベーションを

 日経電子版の記事【肉、旅、トイレ…全産業に「テック化」の波】では、世界最大級の技術見本市「CES」を題材に、フードテック・エドテック・ヘルステック・リーガルテック、等々……あらゆる産業に広がる『テック化』の潮流がリポートされています。  そもそも、AI+IoTをコアなアクセラレータとする現在進行形の第4次産業革命の時代は、文字通り『イノベーション(革新)の時代』であり、長年にわたって未解決であったり、俄かに顕在化した社会課題へのソリューションとなる、今までにない全く新しい

いかにしてイノベーションを成し遂げるか?

 日経電子版の記事【エンジニア料理人の発想 0度で火入れ、調理ミリ単位 世界最速三つ星シェフが語るイノベーション(上)】は、「(記事より)2008年にオープンするや、僅か1年5カ月でミシュラン史上最速の三つ星に輝いた「HAJIME」」にイノベーションの何たるかを探る好リポートだと思います。  この興味尽きせぬリポートを読んで気付かされるのは、記事が料理を題材としていながら、そこに浮かび上がってくるもの、仕事に臨む考え方や姿勢といったものに、広くビジネスの世界、スタートアップ

プリンターのイノベーション~アイデアがプラットフォームになるまで~

 日経電子版の記事【ものに印刷、予想外のヒット リコー開発物語 リコー携帯プリンター開発(上)】・【「開発中止」跳ね返した顧客の声 リコー新市場開拓 リコー携帯プリンター開発(下)】は、イノベーティブなリコーの携帯型プリンター「RICOH Handy Printer」のワクワクするような開発物語です。  2本の記事を通読して感じるのは、この画期的な携帯プリンターの開発が、アイデアの段階からプラットフォームへと至るまで、アイデア⇨マーケティング⇨プロモーション⇨プラットフォー

もっと増えても良い産学連携

 日経電子版の記事【ちりめんじゃこ異物、AIで除去 広島の産学が実用化】は、海産物卸大手カタオカと尾道市立大学が連携し、「ちりめんじゃこ」の製造工程で必要な異物除去にAIを活用、というリポートです。  このような地域の企業と地域の大学との産学連携は、その出発点が、地域の課題であるか、企業の課題であるか、大学の課題であるかを問わず、新たな可能性を探るオープンイノベーションの好例であると思います。  そのポテンシャルは大きく、地域・企業・大学の3者それぞれに大きなメリットが期

ローテクを切り捨てるリスク

 日経電子版の記事【風力を貨物船の推進力に 金沢工業大が帆の素材を開発】は、貨物船に帆を取り付けて、その風力エネルギーと、従来からのエンジンを合わせて推進力としようという施策をリポートしたものです。  このような施策は、温暖化ガスの削減を狙ったものですが、そもそも、蒸気機関が発明され、蒸気船が登場し、その外輪船が、効率的なスクリューに置き換わっていく過程で、何故、帆船、帆を使って風力エネルギーを推進力にするテクノロジーが廃れていってしまったのでしょうか?  ――合理的に考