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『何故、実は赤くなる?』~森を歩けば疑問がいっぱい!~

 秋は実りの季節だが、それは、もちろん農業、農産物の事だけではなく、自然界においても同じである。私が自然の撮影によく訪れる白金台の国立科学博物館附属自然教育園においても、秋が深まるにつれ、様々な『実』、果実(fruit)を見かけるようになる。そして気付かされるのが、どの『実』も、最初は緑色系だったものが赤色系、赤い色へと変わっていくという事だ。
 例えば、本稿冒頭に掲げた一見トウモロコシのような『実』(11月19日撮影)は、サトイモ科の植物ムサシアブミの『実』で(註:ムサシアブミの実は有毒。自然界の植物には、花や実、葉、根などに毒性を持ったものがあるので注意が必要だ)、おしなべて小さな『実』の多い自然界においては、差し渡し5センチほどもあるダイナミックなものだ。ただし、5センチと言っても、それは『実』の集合体としてであって、一粒一粒は小さい。
 このムサシアブミの『実』がだんだんに赤くなっていく様子を時系列で見てみると(写真はそれぞれ別の果実)――

11月12日撮影
11月12日撮影
11月12日撮影

 ——緑色から赤色へと変わっていく様子がよく分かる。

 
 このように赤く熟した『実』は、むろんムサシアブミだけではなく、森の至る所にある――

ノイバラ
10月22日撮影
カラタチバナ
11月3日撮影
ナンテン
11月12日撮影
センリョウ
11月12日撮影
マンリョウ
11月12日撮影
サネカズラ
11月12日撮影
カラスウリ
11月12日撮影
ガマズミ
11月19日撮影
サルトリイバラ
11月19日撮影


 森は素朴な疑問でいっぱいだ。単発ではなく、定期的に森を歩き、自然に接する習慣を身に付けていると、いろいろなものが見えてきて、何故だろうという疑問が湧いてくる
 ―—秋が深まるにつれ、森の至る所で赤く色付いた『実』が観察されるようになると、『何故、実は赤くなる?』という素朴な疑問が湧いてくる。
 
 疑問が湧けば、『調べてみよう!』となる
 ——あくまで一般論だが、最初『実』が緑色なのはクロロフィル(葉緑素)のためで、それが秋の深まりとともに分解されていき、かわって『実』が熟して糖分が増えると作られるアントシアニンの出番となるらしい。このアントシアニンが実は赤い色の素となる色素なのだ。
 
 そして、調べていくと、そこから派生して様々なことが見えてくる
 ——この『実』が赤くなる仕組みは、紅葉の仕組みにも通じている。
 ——『実』は赤くなることで自分が熟して甘いことを鳥に知らせているのではないか。鳥に食べてもらって種を運んでもらうために……

 『森を歩けば疑問がいっぱい!』だ。
 習慣的に自然と接することで⇨自ずと観察眼が養われ⇨自ら疑問点に気付けるようになり⇨何故なのか自ら調べようという気持ちになる。そうやって知識が広がり⇨学びの習慣がついて⇨それは、やがて研究・人生の目的、『自分がやりたいことの発見』へと繋がっていくのではなかろうか。



【以上、『随想自然』第21話】
(インスタグラムhttps://www.instagram.com/angelwingsessay2015/で、主に東京都心で見れる自然の写真を紹介しています。)


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