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原美術館の閉館

現代アートの原美術館(東京都品川区)が閉館した。施設の老朽化が理由らしい。そこまで頻繁に行ったわけではないが、作品を見学した後、帰りに庭の緑を眺めなら楽しむ併設のカフェ「カフェダール」が好きだった。失ってから分かる"あの空間"が贅沢だったこと。

トップ写真:閉館前の原美術館。差し込む夕暮れの光=吽行撮影の画像を基に阿形作成

閉館と聞いて、その前に久しぶりに足を運んだが、平日にもかかわらず、老若男女で賑わい、併設のカフェも長い列。うんざりし、あきらめて帰ってきた。それが心残りだ。

原美術館の開館は1979年(昭54)。建物は38年(昭13)に竣工された実業家の私邸だった。設計は当時の代表的な建築家である渡辺仁。上野の東京国立博物館本館や銀座の和光本館(旧・服部時計店)の設計者だ。それが贅沢の所以。庭にイサム・ノグチの彫刻作品などがあり、不思議と落ち着く。

今後、原美術館の所蔵品は、群馬・伊香保の姉妹館が引き継ぎ、春に「原美術館ARK」として再始動する。設計は磯崎新。新天地にもすでにカフェダールはあるようで、公式ホームページによると、「放牧場を望むテラスでくつろげるカフェダール」というキャッチコピー。すっかり観光地だ。(うん)

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