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商店街の老露天商

肉屋直営で美味しいカツカレーを食べさせてくれる店があるー。そう聞いて阿吽コンビで出かけたとある商店街。吽形(妻)が前回のコンテンツ『懐かしい顔』で「城南電機社長の宮路年雄に似ている」といった老露店商は、実際に似ていたかは別にして、こちらも気になっていた。どこか哀愁を感じさせる老人が、マスクとピンクソルトを静かに売る様子は、そこそこ賑わいがある商店街の風景に馴染んでおらず、独特の存在感があった。吽行が気になったのも、それを無意識に感じ取ったせいかもしれない。

トップ写真:美味しいカツカレー屋がある商店街=阿形の写真を基に作成

異質な空間

商店街のそれほど広くない往来。2mほどの板切れを左右に置いた2段重ねの発砲スチロールで支える簡単な陳列棚。その上に置かれたマスクとピンクソルト。その後ろに、不機嫌そうな老人が一人黙って立っていた。

緊急事態宣言が解除された商店街には、ごった返しと言わないまでも、そこそこ賑やかさがある。ただ、そんな様子と老人が立つ露店の周囲はまったく異質だった。どこか寂しげで、商売には決して向かない空間だった。

生活必需品

一方、商材がマスクとピンクソルトというところが面白い。吽形のいう通り、確かに「微妙な組み合わせ」に見えるが、ともに生活必需品というところが共通する。マスクは「ニューノーマル(新日常)」には欠かせない。

ピンクソルトも「浄化ソルト」というスピリチュアルな捉え方ではなく、「塩」という調味料として考えれば、日々の料理に必要で切らすことが許されない。この老露天商は紛れもなくニーズがある商品を売っている。

マスクとピンクソルトを売ることになったのはどうしてだろう。誰かに絶対売れると唆されたのだろうか。あるいは関係者が買ったものを仕方なく売っているのだろうか。いずれにせよ、そこには何らかの物語があるはずだ。

そして、今日も同じ場所に老人は立っているのだろうか。(敬称略、あ)

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