2022年読了ミステリー BEST10【国内】
いつも年末になると、その年を振り返ります。
今年はおそらく人生において一番本を読んでおり、全部で208冊のミステリー小説を読了しました。
どれも素晴らしい作品ばかりでしたが、せっかくなら自身の年間ベスト10を選んでみました。まずは国内ミステリー編です。
10位 invert2/相沢沙呼
城塚翡翠シリーズ第三弾、今回は可愛いだけじゃない。
本作では翡翠が難しい経験を経て、ひとつ大人に成長していくところが読みどころで、読者としては思わず応援したくなってまいました。
9位 不可逆少年/五十嵐律人
少年犯罪をテーマに、読み手の良心にグサリと切り込む社会派&リーガルミステリー。心理描写や社会問題性を真正面にとらえ、解決策を書ききっている傑作。
登場人物ひとりひとりの心情描写が豊かに表現されており、信念と信念のぶつかり合いが強烈でした。
8位 爆発物処理班の遭遇したスピン/佐藤究
度肝を抜かれる発想力で綴られるクライムミステリー短編集。
今まで見たことのない題材の犯罪を放り込んできたり、鋭角な角度のテーマや展開を見せてきたり、ともかく衝撃度が圧倒的でした。
7位 蒼海館の殺人/阿津川辰海
閉ざされた館で殺戮の渦に巻き込まれる骨太ミステリー、館四重奏シリーズの第二弾。
緻密な構成、込み入った仕掛け、迫りくる緊張感、鮮やかな推理、伏線、あっと驚く真相など、本格ミステリーの醍醐味がぎっしり詰まっている傑作。
6位 俺ではない炎上/朝倉秋成
身に覚えのないSNS炎上案件に巻き込まれるサスペンス&社会派ミステリー。
安全な場所から正論を振りかざしたり、自分のことは棚に上げて他人には清廉潔白を求めるといった、自らの行為を戒めるきっかけになりました。
5位 アンデッドガール・マーダーファルス3/青崎有吾
人狼、怪物が大暴れ!狂乱エンタメミステリーの快作、アンデッドガールシリーズの第三弾。
はちゃめちゃなエンターテイメント小説にも関わらず、最後に待ち受けるのは衝撃的な真相。そして一連の笑劇を読み終えた後に、心に残る切なさが強烈。
キャラクター、アクション、本格ミステリーとしての出来栄えが完璧で、超絶おすすめしたいシリーズです。
4位 爆弾/呉勝浩
悪意に満ちた犯人 VS 爆弾を探す警察官たち。絶妙な駆け引きと頭脳戦が熱いサスペンスミステリー。2023年版 このミス、ハヤカワミステリランキング1位。
爆弾魔との舌戦、警察官ひとりひとりに宿る正義感に痺れる!エンターテイメント性も社会問題性も高い、ランキング1位もうなずける名作でした。
3位 マリアビートル/伊坂幸太郎
東京から盛岡までの新幹線の中、雇われた殺し屋たちが各々の因果と都合で殺し合うサスペンス&ミステリー。今年公開されたブラッドピット主役の映画「ブレット・トレイン」の原作です。
始まっていきなり面白く、最後までジェットコースターのように二転三転、敵味方入り乱れての大騒ぎ。怒濤のエンターテイメント小説です。
2位 プリンシパル/長浦京
敗戦直後の日本復興の足跡 ヤクザ、政治家、GHQ… 悪党たちの繁栄と暗躍を綴ったクライムミステリー。
主人公の女性が魅力的過ぎる!まさに暴力の世界のプリンシパル。ヤクザが大嫌いながらも、誰よりも能力を持ち、誰よりも業が深く、誰よりも任侠の道筋をきっちり通していく。
戦争直後の裏社会の描写も見事で、読者の興味を惹きつけてやまない。完成度の高い作品。
1位 名探偵のいけにえ/白井智之
新興宗教団体のキャンプ地をベースに繰り広げられる殺戮劇、作り込みと重厚感が抜群の多重解決ミステリー。2023年版 本格ミステリーランキング1位。
いくつもの細かい伏線もしっかり仕込めていて、何重にも推理と解法を重ねていく。どんでん返しといった一発大技でなく、積み重ねたロジックで読者を引き込んでいくのは圧巻です。
まとめ
毎年たくさんのミステリーが出ているのに、同じような作品がほとんどないのは驚きです。さらに作品ごとに作家先生の強みや魅力が溢れていて、どれだけ読んでも興味が尽きません。
今年もたくさんのミステリーを楽しませていただき、作家先生、出版社のみなさまには感謝しかありません。ありがとうございました。
なお各作品の詳しいレビューはこちらのbooklogに上げています。是非ご覧ください。
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