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ハプニング集

6
これまでに発生した人生のハプニングまとめ
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110万円の給湯器を買いそうになりました

110万円の給湯器を買いそうになりました

私の朝は遅い。

20代後半に差し掛かってもなおニート同然で祖父母の一軒家にへばりついている私にとって、11時50分までに起きていることが、自分を真っ当な人間に留めておくための小さなルールである。

今日も私は11時50分に起きて、半分死んだような顔で一階の居間へのそのそと降りていく。

祖母は私のぶんむくれた寝起きの顔を見て「見てお父さん。この子小さい頃から変わらない顔してるわ。」と祖父に話しか

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タケノコ掘ったら捕まった話

タケノコ掘ったら捕まった話

春ですね。違いました。

春先にこの話を書こうと思っていたのですが、意識もまだらなまま、ただ口をパクパクパクパクさせていたらいつのまにか10月になってしまいました。

特におもしろくもなくタイトルでほぼ完結している話なのですが、私はタケノコを掘って捕まったことがあります。

今は昔、タケノコ採りの翁というものありけり。野山に混じりてタケノコ採りつつ万の料理に使いけり…

我が家では春になるとタケノ

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とある中将閣下とブクロの平日

とある中将閣下とブクロの平日

先日25歳になりました。

記念すべき生後四半世紀の節目ということで、たいへん感慨深く、とくになにを考えているわけではありませんがそれっぽく虚空を見つめ目を細めています。

ここまでそれなりに真面目に生きてきたつもりですが、やはり25年生きていれば多少のエスケープやアバンチュールは避けられないもの。

私有地とは知らず山奥でタケノコを掘って警察署に連行されたり、忘れ物を取りに行くと言いつつそのまま

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パパと私

パパと私

パパと会わなくなって7年経った。

死んでしまったわけではない。パパは私が住む家から歩いて1分ほどの場所に住んでいる。でも会わない。

喧嘩をしたからだ。

私が18になったとき、私とパパは警察が来るほどの大喧嘩をして、それ以来いちども顔を合わせていない。

私のパパはセネガル人だ。アフリカの西の、イスラムの国の人間だ。

私の本名には苗字がふたつ付いていて(戸籍上片方の苗字は名前扱いになっている

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日光とガソリンと女友達

日光とガソリンと女友達

「原っぱ行かん?」

山口がLINEでそう送ってきたのは3ヶ月ほど前だったと思う。

山口は数少ない私の友達で、私の家の近所に住んでいる女だ。背は168センチの私より5センチほど高く、長い黒髪で、いつも殺し屋みたいなピチピチ(私たちはビタビタと呼んでいる)のトップスを着ている。

もともとは高校の同級生なのだけど、よく遊ぶようになったのは高校を出てからな気がする。家が近いので、よく仕事が終わったあ

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アスペルガー冬、26歳の卒業

アスペルガー冬、26歳の卒業

あけましておめでとうございます。

完全に2024年だと思っていたのにまだ2023年だった。人生は長い。

去年の10月に私は26歳になり「若いね」から「若く見えるね」と言われる歳になりました。実際若く見えるのかは分からないが、本当にそうだとしたら、いよいよ甘やかされてのうのうと生きている情けなさが顔つきに出てきてしまっているのではと不安になる。

2022年は特に何も起きなかったような、まあ何か

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