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刺身を買うたび思うことがある

お刺身を買う。
食べようと思っていそいそと封を切る。
プラスチックトレーの上に綺麗に並べられたお刺身。
刺身と刺身の隙間に食い込む緑色のバレン。
そしてお刺身にべったりくっつく水分を吸収するための敷物。

この中に、明確な用途がまったく不明なものがある。
そう、緑色のバレンだ。

常々バレンには、これは何故入っているんだろう感が拭えない。
ちょっとした知識人たちは、こう言うと思う。

「昔は刺身が傷まないように笹の葉などを挟んでいた、その名残だよ。」

と。
いや、そんなことは知ってる。
とっくに知ってる、最初から知ってる。
だから、笹の葉が入っているなら、一欠片も疑問に感じたりなどしない。

でも、入っているのはプラスチックの葉の形をしたものだ。
プラスチックにそんな効果はない。
でも、そう言うとちょっとした知識人たちはこう言うかもしれない。

「そのプラスチックに抗菌加工がしてあるからだよ。」

もう、尚更わからない。
じゃあなぜ、全国各地にうんざりするほど自生している竹林を保護しながら、笹の葉を傷み予防のために利用しないのか。
南天の葉にも同様の効果があるが、南天もうんざりするほどぐんぐん伸びて葉をつける。
本来の形が豊富な資源としてあるのに、何故わざわざ変なプラスチックを挟むのか。

そして、買ったものを持ち帰るという立派な役割があるショッピング袋を取り止めて、何故なんの意味もない刺身のバレンは大手を振って使用され続けているのか。

ショッピングバッグの代わりに登場したエコバッグ。今、あなたの手元には何個のエコバッグがあるだろうか。私は大量に持っている。あちこちでエコバッグプレゼント企画によりばらまかれているからだ。

そんなにプラスチックが環境破壊をすることを気にするのであれば、止めたらいいと思うものは他に大量にある。ペットボトルの自販機もそう。豆腐なんて鍋を抱えて行って近所の豆腐屋さんで買ってくれば、プラスチックトレーの出番はない。お肉も魚も、近所の商店街で買っていた時は、紙に包んでくれていたから庭で焚き火をする時に燃やしてお仕舞いになっていた。
そもそも焚き火がしにくくなったのは、ダイオキシンが過剰に出るプラスチック製品を燃やそうとするからで、木から作られたパルプを燃やす分には地球の自浄の範囲内だった。

刺身を食べようと思うたび、バレンを剥がしながらそう不思議に思う。プラスチックの玩具の菊が入っている時も、ただプラスチックゴミを無駄に増やしているだけのその存在が、更に不可解さを訴える。
世の中には、その意味を考えてみれば不思議なことばかりが行われている。